走り回る人はいなかった? アマゾン巨大倉庫の内側

アマゾン外観

Avery Hartmans/Business Insider

  • シアトルから南へ約20マイル(約32km)、ワシントン州ケントにあるアマゾン倉庫を訪問した。
  • 面積は約100万平方フィート(約9ヘクタール)、18マイル(約30キロメートル)におよぶベルトコンベアーが設置され、数多くのロボットが稼働していた。
  • アマゾンは最近、倉庫の従業員の待遇について厳しい批判に晒されており、仕事の評価基準が「残酷なほど強引」と述べた従業員もいる。
  • 筆者が見学中に見かけた従業員は、落ち着いて整然と働いているように見えた。タスクをこなすために倉庫内を走り回る従業員はいないようだった。休憩中の人は見かけなかったが、明らかに不機嫌だったり、ストレスを受けているような人も見かけなかった。

シアトル中心部から南に約20マイル(約32キロメートル)、アマゾンの数ある倉庫の1つがそこにある。

巨大なベージュの施設は、まばゆい豪華な本社とは違って見えた。市の中心部では同社はまだ、本社の建設を進めている。

倉庫から、一方には広大な広場が、もう一方には郊外の住宅地が広がる。遠方にはレーニア山を眺めることができた。

風景は絵画のようだったが、目を転じると広さ約100万平方フィート(約9ヘクタール)のアマゾン倉庫が広がっていた。内部では同社従業員が1日10時間、週4日、品物を顧客に時間通りに届けるために働いている。

これがアマゾンのビジネスの中核であり、同時に最も大きな議論の的にもなっている。倉庫の仕事はあまりにもペースが速く、多大な労力を要するため、トイレに行く時間もないとホラーのような話を現従業員と元従業員は語った

最近ではバーニー・サンダース上院議員の攻撃の的になった。議員はアマゾンは倉庫の従業員の給与を上げるべきと主張、さらにCEOジェフ・ベゾス氏にちなんで、BEZOSと名づけた法案を提出した

高まる批判を受け、アマゾンは10月2日(現地時間)、最低賃金を15ドルに引き上げると発表。アメリカ国内のフルタイムおよびパートタイムの従業員25万人以上に加え、ホリデイシーズンに雇用される季節従業員10万人以上も対象となる。

アマゾンが年間で最大規模となるハードウエア発表イベントを実施した翌日、同社が主催した見学ツアーの一環で、筆者は同社のケント倉庫を訪問した。

世界中のジャーナリストがシャトルバスで倉庫を訪れ、そこでアマゾンが整えた倉庫の様子を見学した。

訪問前には、いくつかのルールが提示された。ゆったりとした服装、録音、見学の列から離れることは禁止、そして決して従業員に話しかけてはならない。

アマゾン側のスタッフが見学ツアーに大勢加わったのは、メディア関係者を統率する以外の理由はないだろう。

それでも、いろいろなことを見聞きできた。

最初に目に飛び込んできたのは、天井から吊り下げられたロボット。倉庫で在庫を移動させるロボットだ。写真のロボットはもう引退しているが、開設以来の従業員だった。

天井から吊り下げられたロボット

Avery Hartmans/Business Insider


施設は広大。面積は約100万平方フィート(約9ヘクタール)、ベルトコンベアーの長さは、18マイル(約30キロメートル)におよぶ。

アマゾン倉庫の内部

Avery Hartmans/Business Insider


1日22時間、年間363日稼働。

アマゾン倉庫の内部

Avery Hartmans/Business Insider


倉庫の一角では、入口に吊り下げられていたようなロボットが、行ったり来たりして、在庫を移動させていた。

アマゾン倉庫のロボット

Avery Hartmans/Business Insider


床のQRコードを読み取って移動。

床に設けられたQRコード

Avery Hartmans/Business Insider


ロボットが動く様子。見ているとうっとりする。決してぶつからないことに感心。


倉庫では黄色い箱が多用され、あらゆる場所で見かけた。各箱にはバーコードが付けられ、倉庫に届いたアイテムは、「ランダム・ストウ(random stow)」と呼ばれるシステムで箱に入れられる。

アマゾン倉庫の黄色い箱

Avery Hartmans/Business Insider

箱に入れられたアイテムは、製品のタイプや販売元によって分けられているわけではなく、ランダム・ストウが“ランダム”に入れている。

アマゾンは、このランダム・ストウによって作業がスピードアップしたと語った。大規模な倉庫には、複数の「ピッキング・ステーション(picking stations)」があり、似たアイテムあるいは同じアイテムごとに分けるとなると時間がかかりすぎてしまう。

アマゾンは、倉庫で毎日、どれだけの数のアイテムが処理されているかを明らかにしていない。季節によって変わるからだ。

ここでは扱われるアイテムには、オーブントースターより大きいものはない。いくつかの箱をのぞいてみると、おむつからサッカーの道具、24個入りの昆布茶まで、いろいろなものが入っていた。

アマゾン倉庫の黄色い箱

Avery Hartmans/Business Insider


アイテムがシステムに投入され、箱に入れられると、ベルトコンベアーで梱包工程に運ばれる。

アマゾン倉庫の内部、梱包工程

Avery Hartmans/Business Insider


従業員はベルトコンベアーから箱を受け取り、スキャンして中身を取り出す。必要な梱包材はシステムが指示する。従業員はダンボールを組み立て、商品を入れ、次の工程へ送る。

アマゾン倉庫の内部、次の工程に送られるアマゾンダンボール

Avery Hartmans/Business Insider


倉庫のあらゆる場所にアマゾンのダンボールがあった。想像し得るすべてのサイズが揃っていた。

アマゾン倉庫にあるアマゾンダンボール

Avery Hartmans/Business Insider


梱包ステーションの1つ。

アマゾン倉庫の中の梱包ステーション

Avery Hartmans/Business Insider


ダンボールはテープで閉じられるとベルトコンベアーに戻され、自動的に重さが計量される。システムはラベルを印刷し、空気を使ってダンボールに貼り付ける。

アマゾン倉庫、ダンボールにラベルを貼るところ

Avery Hartmans/Business Insider


このシステムは「scan、label、apply、manifest」の頭文字から、SLAMと呼ばれる。アマゾンはこのシステムを約20年前に作った。同社がスタートしてから数年後のことだ。

アマゾン倉庫の内部、ラベル印刷・貼付システム

Avery Hartmans/Business Insider


その後、顧客への発送に向けての移動が始まる。静かに進むものもあれば、


驚くほど速く進むものもある。


この倉庫では約3000人が働いている。10時間シフト、週4日、休憩は午前中、ランチタイム、午後にそれぞれ1回。

アマゾン倉庫の内部

Avery Hartmans/Business Insider

見学中、我々は従業員を見かけても話しかけないよう指示されていた。就業時間中だったためだ。1人の記者が従業員を呼び止めようとしたが、すぐにそのまま進むようにと同行のスタッフに言われた。

倉庫のいろいろな場所に飲み物やスナックの自動販売機があった。また、高校のカフェテリアにあるような長いテーブルとイスのある広い休憩室も見かけた。窓から中を見たが、誰もいなかった。

見学中に見かけた従業員は、落ち着いて整然と働いているように見えた。タスクをこなすために倉庫内を走り回る従業員はいないようだった。休憩中の人は見かけなかったが、明らかに不機嫌だったり、ストレスを受けているような人も見かけなかった。

従業員の様子

Avery Hartmans/Business Insider

世界中の別の場所にある倉庫の従業員についての記事では、異なる様子が描かれた

元従業員は、時々、ゴミ箱に排泄物が入っているのを見かけたと語った。忙しくてトイレに行く時間がないと感じていた従業員もいたからだ。

現従業員は、効率を重視する同社の姿勢によって、自分自身のことを、1つのことだけを素早くこなすことを期待されている「ロボット」のように感じると語った。

また、仕事の評価基準は「残酷なほど強引」で、今にも解雇されるのではないかと「常に不安を抱えている」と語る従業員もいた。

アマゾンは、賃金の引き上げによって、倉庫の従業員は引き続き評価基準を満たす必要があるものの、もはや賃金に縛られることはなくなると語った。アマゾンによると、従業員にとっては賃金は高くなり、より理解しやすいものになる。

今回の見学ツアー(賃金引き上げの発表前に実施)の案内をしてくれた同社スタッフは、倉庫の従業員のパフォーマンスは他の職種と同じように評価され、量よりも質が重視されるという見解を繰り返した。

この点に関して言えば、アマゾンは倉庫への批判に対してより敏感になっており、従業員の待遇を変えようとしているように思えた。

批判に対してより敏感

Avery Hartmans/Business Insider



[原文:I took a rare look inside one of Amazon's giant warehouses right before the company hiked workers' wages — here's what I saw

(翻訳:仲田文子、編集:増田隆幸)

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