世界初「食べるだけで暗号通貨がもらえるアプリ」を銀座で試してみた

飲食店を利用するだけで暗号通貨がもらえてしまう「東急プラザ銀座で大人の食べ歩き」キャンペーンが9月21日に始まり、早くも話題を呼んでいる。

シンクロライフ 東急プラザ銀座

東急プラザ銀座とシンクロライフのキャンペーンサイト。飲食代金の還元に、ポイントではなく、これから社会で重要な役割を果たしていくであろう暗号通貨を受け取る。まさに「大人の」グルメ。

提供:SynchroLife

キャンペーンは、飲食店での体験をレビューとして投稿できるグルメSNSアプリ「シンクロライフ」で会員登録を行った上で、東京・銀座の商業施設「東急プラザ銀座」内の対象21店舗を利用する。会計時に飲食代金に応じて店舗側の端末で生成されるQRコードを承認すると、代金の3%相当を暗号通貨「シンクロコイン(SYC)」の形で還元してもらえるものだ。

ユーザーが得たシンクロコインは今後、加盟店で使える食事券との交換や、飲食代金の決済に使えるようになる。

食事後に投稿したグルメ画像を対象とするフォトコンテストも同時に開催されており、優秀作品には東急プラザ銀座で使える食事券5万円分や、シンクロコイン5万円分などの豪華賞品が用意されている。

グルメSNSやトークン報酬の面白さを知ってもらうとともに、飲食店側にもシンクロライフを活用したマーケティング・集客の斬新さを体験してもらうのが狙いだ。

参考記事:「食べて、投稿して、暗号通貨をもらえる」銀座で始まる試みは飲食店の課題を解決するか

あっけないほど簡単にもらえてしまった

キャンペーン開始後1週間ほどが過ぎた10月初旬、記者も東急プラザ銀座を訪ね、この「食べるだけで暗号通貨をもらえる」世界初の試みを体験してきた。

個性的な飲食店21店舗から1つ選ぶ。

シンクロライフ 地きんめ飯し

東急プラザ銀座内の飲食店21店舗はどれもかなり個性的。今回は、フロアを一巡して店頭ポスターに圧倒的なアピール感のあった「地きんめ飯し」を選択。

まずは何も考えずに食べる。

地きんめ飯し

人気番組『ワイドナショー』(フジテレビ系)で「SNS映えする人気メニュー」に選ばれた「地きんめ飯し」。さすがに圧巻。3分の1は胡麻だれ丼に、別の3分の1は卵黄+黒七味と混ぜて、残りは出汁をかけてお茶漬けに。

いざ、会計へ。

シンクロコイン

レジそばに何気なく「シンクロコイン貯まります」のサインスタンド。


アプリからQRコードリーダーを起動。

シンクロライフ

スマホアプリ内のウォレット機能を立ち上げ、QRコードリーダーを起動。

店舗側が飲食代金を入力、QRコードを生成。

QRコード

店舗側は自前のスマホやタブレットのアプリに飲食代金を入力。QRコードが生成される。


代金を確認して承認。

QRコード決済

QRコードを読み取ると、飲食代金の承認を要求される。表示はいたってシンプル。


代金の3%還元を受け取る。後で相場が高騰すると……

QRコード決済

ボタン一つで承認完了。「15日以内に時価レートで承認されます」の表示。暗号通貨取引所「LATOKEN」に上場したシンクロコインを、飲食代金の3%分受け取る。今回は約170円。引き出し時に相場が30倍になっていれば、飲食代はタダになる計算……などと想像してみる。


これですべて完了。

シンクロライフ QRコード決済

店舗側も承認を確認し、暗号通貨の受け渡し完了。キャンペーンでは3%還元だが、本サービス開始後は店舗の裁量で最低1%以上が還元される。


世界中の決済手段が使われる銀座でも、暗号通貨還元は他にない。

QRコード決済

外国人観光客が殺到する銀座だけに、中国など他の決済手段が充実している。とはいえ、店舗側としては会計の手間をできるだけ軽減したいのが本音だ。シンクロライフのような還元システムも含め、これからどんな方法が定着していくのかは未知数だ。


食事後の会計から暗号通貨が加算されるまでわずか数十秒。あっけないほど短い時間だった。

QRコード利用の是非

銀座

世界中から人と物、食が集まる銀座で、世界初の「暗号通貨×グルメ」プロジェクトが行われる意義は大きい。東急プラザ銀座は写真右手前。

Shutterstock.com

シンクロライフを運営するGINKANの神谷知愛CEOは、キャンペーンの意義についてスタート前に「シンクロライフを導入することで、飲食店は実際に発生した売り上げの一部を(広告費と見なして)還元するだけで集客できる上、レビュー投稿によってSNS上での拡散効果も期待できる」と店舗側のメリットを強調する。

実際、店舗側の負担はわずかな入力作業以外ほぼゼロ。機器導入の初期費用や手数料などを負担する必要もないので、客も店舗も丸儲けといった印象だった。暗号通貨受け取りにQRコードを利用する現在のアプリに決済機能を組み込めれば、近頃話題のQRコードによる「キャッシュレス社会」の実現を後押しするツールにもなると感じた。

ただ、神谷さんは飲食店支援の視点から、キャッシュレス化については課題が多いことを指摘する。

「実は、店舗側は最近話題のQRコード決済をそんなに評価していないんです。手数料がかかるとか、店頭の端末が増えるとか、理由はいろいろありますが、何よりその使用法やトラブル時の対処法を教えるコスト、オペレーションにかかるコストが大きい。それに、会計時にかかるわずかな手間(で客を待たせること)は、店舗側にとって大きな機会損失でもあるんです」

そうした視点から、東急プラザ銀座での実証実験はユーザーとの接点を増やす機会として活かしつつ、店舗側の負担を増やさない暗号通貨の受け取り方、使い方を今後も検討していくという。

不正流出事件の影響は……

キャンペーン開始の前日、9月20日に暗号通貨取引所「Zaif」で不正アクセスによる約67億円相当の暗号通貨流出事件が発覚した。1月に取引所「コインチェック」で発生した約580億円の不正流出事件に続き、暗号通貨への不信感が高まる中でのスタートとなったが、神谷さんは「事件の影響は今のところほとんどない」と語る。

「今回のキャンペーンも含め、シンクロライフは飲食代金の還元やグルメレビューの報酬として暗号通貨を受け取れる仕組みで、相場の上下で儲けようという投資対象としての暗号通貨とはあまり関係がない。そもそも一連の不正流出事件に関心を持っているのはビジネスパーソンの一部に過ぎず、グルメを楽しむ人たちの多くにとって暗号通貨は付加価値に過ぎないんです」(神谷さん)

実際、キャンペーンに参加している東急プラザ銀座の店舗側でも、客から流出事件に関する問い合わせは特段受けておらず、技術的な問題も含めてアプリをめぐるトラブルは一件も起きていないという。

(文・写真、川村力)

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