レストランにとっては、副業のようなものだ。
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- アメリカでは、空き店舗やレストラン、ショッピングモールが、臨時のコワーキングスペースに変わりつつある。
- 新たなコワーキングスペースを作るため、「Spacious」や「Industrious」といった数多くのスタートアップが誕生している。
- こうしたコワーキングスペース業者の中には、空き店舗を活用する業者もいれば、既存の店舗を臨時スペースとして有効活用する業者もいる。
リモートワークをする人とその雇用主にとって、手頃な価格で利用できるコワーキングスペースは必要不可欠だ。そして、都心部にある店やレストランはその高い賃料を払わなければならないし、ショッピングモールのオーナーは"小売業の崩壊"と戦う方法を見つけなければならない。
こうしたそれぞれのニーズに応えようと、アメリカではSpaciousやIndustriousといった数多くのスタートアップが誕生している。彼らは空きスペースや放棄されたスペースを仕事場へと変えつつある。
Voxは最近、ニューヨーク市にあるレストラン「Crave」がSpaciousと提携したと報じた。このレストランでは、夜の営業が忙しくなる前の日中の営業を取り止め、リモートワーカーのために場所を提供している。似たような戦略で売り上げを増やそうとする「DBGB Kitchen and Bar」の取り組みを、Business Insiderも2016年に報じている。
Spaciousは現在、ニューヨーク市で15カ所を展開している。これらのスポットの多くは、夜のみ営業しているレストランだ。こうした店にとって、一定の時間をコワーキングスペースにすることは、効果的な副業 —— 賃料の高い都会で厳しい競争を生き抜くために、収入を増やす1つの手法 —— になっている。
しかし、コワーキングスペースを手がけるスタートアップの中には、さらに先を行くところもある。
スタートアップのIndustriousは、マセリッチ(Macerich)といったショッピングモールのオーナーらと提携し、アメリカ国内のショッピングモール内の空きスペースを整備していると、CNBCは報じた。その具体例として、アリゾナ州にあるモール「スコッツデール・ファッション・スクエア」のバーニーズ・ニューヨークが入っていた場所が最近、コワーキングスペースに生まれ変わったという。マセリッチのような企業にとって、コワーキングスペースを作ることは、いわゆる"小売業の崩壊"をしのぐ1つの方法になっているのかもしれない。
いずれにせよ、コワーキングスペースの増加は驚くようなことではない。働き方に関する情報サイト「AllWork」によると、世界には現在、約1万4400のコワーキングスペースがある。その数はここ5年で200%増と、爆発的に増えているという。
そして、レストランやショッピングモールがリモートワーカーに場所を貸し続ければ、コワーキングスペースの数は増加する一方だ。
(翻訳、編集:山口佳美)