アメリカでは、アディダスはアマゾンと提携し、製品をオンラインで販売している。
Getty/Carsten Koall
- アメリカでは、アディダス(Adidas)はアマゾン(Amazon) と提携し、製品をオンラインで販売している。
- アディダスのCEOカスパー・ローステッド(Kasper Rorsted)氏は、両社の関係をさらに拡大する可能性を検討している。
- ローステッド氏はBusiness Insiderのインタビューで、アマゾンのプライベート・ブランドの成長はさほど懸念していないが、アマゾンによる価格破壊と、顧客との直接的なつながりを失う可能性を懸念していると語った。
アメリカでは、アディダスはアマゾンで製品を販売している —— アメリカでだけ、だ。
アディダスはアマゾンのページ「Amazon.com/Adidas」で製品を売っていて、大半のアナリストはアディダスのオンライン売り上げの約半分はアマゾンが占めていると見ている。だが、アディダスはアマゾンを最も重要なオンライン直販店とは考えていない。
「我々のeコマース戦略は全て、顧客といかに直接的につながるかだ」と、アディダスのCEOカスパー・ローステッド氏はBusiness Insiderのインタビューで語った。「そこが最も重要なところだ」
代わりに、ローステッド氏は「Adidas.com」が世界で最も重要な店だと言う。
だが、アメリカのeコマース市場におけるアマゾンの支配は、無視できない。ローステッド氏は、アディダスはアマゾンと「良いパートナーシップ」を築いていて、さらに拡大するかどうか検討していると言う。
しかし、同氏にはいくつかの懸念もある。
「我々は、ブランドを正しい方向へ向かわせてきたことで、価値主導の購買経験にならずに済んでいる」とローステッド氏は言う。「もちろん、これはアマゾンとの我々の関係に対する挑戦だ。アマゾンは効率と価格という2つのパラメーターに導かれている」
アマゾンは典型的なスポーツ用品の小売業者ではない。その価格の訴求力は明らかだ。最安値で提供しようという同社の取り組みは、アディダスの商品を正規価格で売る力を損なう可能性があると、ローステッド氏は指摘する。
「今日のような良いパートナーシップを維持できるよう、我々はアマゾンと密に取り組んでいる。だが、最安値への欲求によって、ブランドを危うくするつもりはない」と同氏は語った。
もう1つの問題は、データ・シェアリングだ。ローステッド氏は、アディダスの他のオンライン・パートナーに比べ、アマゾンはデータの共有が少ないと言う。
「我々にとって、データへのアクセスを手に入れることは基本だ。商業的な観点から、顧客と直接つながることができるというだけでなく、次世代の商品に対する適切なフィードバックを得られるからだ」と同氏は語る。
「もちろん、我々はそこに取り組んでいる」とローステッド氏は加えた。「これは、我々のアマゾンとの戦いだ」
だが、一方でローステッド氏は、アマゾンがアディダス製品を売ることで得たデータを使って、スポーツ用品のプライベート・ブランドを作ることを、さほど心配していない。
「我々はクールでイノベーティブな、優れた製品を生み出している。材料や製造も適切だ —— それは我々が懸念する競争ではない」と同氏は言う。「アマゾンがシューズを作りたいと思えば、作れるし、もう作っているかもしれない。それは我々の懸念ではない」
むしろ「我々はブランドを傷つけず、商品の販売において価格を最も重要なパラメーターにはしない」ことが重要なのだと、ローステッド氏は言う。
「それをした瞬間、ブランドは失われる」
[原文:Adidas CEO explains why the company's relationship with Amazon can be a 'battle']
(翻訳、編集:山口佳美)