新天皇即位10連休で就活早期化——連休前には内定出す企業も?

新天皇の即位に伴い、2019年はゴールデンウィークが10連休となる方針を安倍首相が表明している。そうは言っても休める人、休めない人、悲喜こもごもになりそうな見通しだが、春には本格化する就職活動にも影響が出るとの見方が浮上している。

「今のご時世、連休中に面接で呼び出せない」「10連休で就活気分が中だるみする前にいい学生を確保したい」と、企業側が4月中に選考活動に目処をつけそうな気配が漂っているからだ。

経団連が2021年卒から「就活ルール」の廃止を決定していることもあいまって、2020年卒の就活・採用は早期化が濃厚だ。

就活

2019年春の大型連休は、就活にも影響するとの見方が浮上している。

「10連休になれば当然、就活生の行動力は落ちる。4月中に説明会をやって連休明けに面接を設けても、学生の頭からは会社のことは抜け落ちているのでは……」

経団連の会員企業である大手企業の採用担当者の間で、ため息が行き交っている。

多くの企業が、2019年入社の新入社員向け内定式を10月1日に終えて間もない10月12日。

安倍首相が新天皇の即位日となる2019年5月1日をこの年限りの祝日とし、2019年のゴールデンウィークを10連休とすると発表したとのニュースが駆け巡った。

これによって、来春の選考活動を連休明けに本格化するようでは、乗り遅れるのでは?とのムードが流れているのだ。

連休前には内定を出しておきたい

現行の「経団連ルール」では、3月が経団連企業による「企業説明会やエントリーなど広報活動の解禁」、6月が「面接や試験など選考活動の解禁」と、定めている。ただし昨今は、人手不足に悩む企業が、3年生の夏のインターンから欲しい学生を囲い込む動きが活発化。6月の「選考活動解禁」については実質、そこで即内定を出すといった形骸化が著しい。

リクルートキャリア「就職みらい研究所」調べ:2019年卒学生の6月1日時点の内定取得率68.1%

さらに、経団連は2021年卒の大学生(現在の大学2年生)から、採用活動の時期を定める「就活ルール」の廃止を決定。そもそも採用活動が早期化ムードの中、

10連休のニュースを受けて、複数の採用担当者から『休みが続いて動きにくい。実際は、過去にあった4月に選考活動解禁のようなスケジュールになるのでは』という声が出ています

そう話すのは、新卒採用のコンサルティング・採用アナリストの谷出正直さんだ。

その結果、「連休前の4月26日までには、ある程度内定を出すくらいに進めておきたいという企業が増えると思います」と、谷出さんはみる。

連休中に採用面接するリスク

就活生

働きやすさを重視する学生からは、連休中の採用活動はどう映るのか。

「休みが続くと動きにくい」と採用担当者が話す具体的な理由は、いくつもあると谷出さんは指摘する。

「まず、売り手市場で学生には余裕がある。10連休はやはり旅行や遊びに行きたいという気分があるでしょう。働き方改革も叫ばれ、これまで以上に学生も企業の働き方に注目する中、連休中に面接を設けること自体が企業には『やりにくい』ようです」

さらに谷出さんは、就職・採用活動の「途切れ」がもたらすリスクも指摘する。

休みが入り、選考や関わりが中断することで、学生による企業への認識や理解が止まってしまう。学生は休み明けで就活をゼロから始めることになる。 それを企業としては避けたいのです

連休は以下のスケジュールとなる見込み。

4月26日 金
4月27日 土 ①土曜日
4月28日 日②日曜日
4月29日 月③昭和の日
4月30日 火④天皇陛下退位
5月1日 水⑤皇太子さま即位
5月2日 木⑥
5月3日 金⑦憲法記念日
5月4日 土⑧みどりの日
5月5日 日⑨こどもの日
5月6日 月⑩振替休日
5月7日 火

6月の「選考解禁」と同時に内定を出そうとすれば、連休後だと3週間程度しかない。少なくとも2〜3回の面接をするには十分とはいえなさそうだ。学生も就活気分が連休で途切れてしまうと、経団連の就活ルールとは無関係に4月までに内定を出している、外資やベンチャーに気持ちが向いてしまう恐れもある。

ただし、10連休を意識して企業が「内定」を急いだからと言って、欲しい学生を採用できるとは限らない。

「内定出しても採用できるかは別問題」

就活生

内定を急いでも、別の問題があるとの指摘も。

SNSを活用し企業と就職希望者とのマッチングサービスを運営するウォンテッドリーの担当者は「企業側が内定を早く出したとしても、学生がそれを承諾するかどうかは別問題」と、みる。

今の就活において「『なぜその企業なのか』という答えを企業側が提示できないと、学生はその企業を選びません。早期に内定を出すかどうかよりも、企業が密に学生とコミュニケーションを取って、お互いが納得の上で内定を出し、それを承諾するという関係をきちんと築けるかどうかが重要なはず」(ウォンテッドリー担当者)。

売り手市場で学生は複数内定を持っていることは、珍しくはない。内定を急いで出したところで、学生の「手持ちの内定カード」から、たった1社に「選ばれる」必要があるからだ。

むしろ翌年の就活ルール廃止が効いてくる?

「全体として早期化がさらに進むのはまちがいないが、ゴールデンウィークはゴールデンウィーク。10連休ではなかったとしても、学生はそんなに活動しない。むしろ効いてくるのは、経団連の就活ルール廃止だと思います

就活ルール廃止の影響がより大きいとみるのは、新卒採用支援サービスを手がける、エン・ジャパン新卒iroots事業部長の林善幸さんだ。

2019に活動を行う2020年卒ではまだ、経団連の就活ルールは存在しているとはいえ「これまで6月の選考解禁前は、建前上は『選考活動ではなく、面談ですよ』としていたのが、堂々と行う会社も増えるのでは」との見方だ。

新天皇即位に伴う10連休、翌年からとはいえすでに決定された就活ルール廃止、引き続きの売り手市場、インターンの時点での人材確保——。いずれも就活の早期化を予想させる要素がでそろっている。

大きな流れでは、各社が足並みそろえた新卒一括採用は、すでにゆるやかに崩れつつあるのかもしれない。

(文・滝川麻衣子、写真・今村拓馬)

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