Fabric Ventures
- 2018年のヨーロッパのICO調達額は、約41億ドル(約4600億円)。アメリカの26億ドル、アジアの23億ドルを上回った。
- 2008年の金融危機までは、銀行業界がヨーロッパのトップ人材を集めていた。だが、もう違う。
仮想通貨では、ヨーロッパがアメリカとアジアを圧倒している。
2018年のヨーロッパでの「トークンセールス」は約41億ドル(約4600億円)。アメリカの26億ドル、アジアの23億ドルを上回った。
トークンセールス、つまりICO(イニシャル・コイン・オファリング)では、大量の仮想通貨が「トークン」として販売される。
下図を見るとICOの調達金額は、ヨーロッパがアメリカ、アジアを圧倒していることが分かる。
Fabric Ventures
VCファンドのFabric Venturesは、ヨーロッパでのトークン・ブームの背景を解説した報告書を発表した。
より多くの開発者
Stack Overflowによると、ヨーロッパには550万人の開発者がいる。一方、アメリカは440万人。
そしてヨーロッパの大学は、STEM関連の博士号を持つ人材をアメリカの2倍、生み出している。
ヨーロッパには常に技術的な才能を持つ人材が存在したが、2008年の金融危機までは、銀行業界がトップ人材を集めていた。だが、もう違う。
「資本へのアクセスを民主化する動きの中で、ベンチャーキャピタルから資金を集め、グローバル企業を築くために、もうアメリカに移住する必要はない」と報告書は記した。
有利な規制
フランスのブルノ・ル・マイレ財務省は、フランスは「ブロックチェーン革命を逃さない」と述べた。同国はICOのグローバル・ハブになろうとしている。
スイスも同様の目標を掲げ、イギリスは仮想通貨のタスクフォースを発足させた。
報告書によると、「分散型ネットワークとそこから生まれる資産のために、トークン開設者にとって最もフレンドリーで先進的な規制環境」を提供しようとする激しい競争が生まれている。
ヨーロッパの「都市国家」としての成り立ち
ヨーロッパには約50の国々があり、経済規模が小さい国もある。そして率直に言って、うまく行っていない国もある。
ヨーロッパの新興企業はいずれも、小さな国内経済の枠組みに捕われてしまうことを避けるために、最初から世界規模に拡大しなければならないことを理解している。
多様で多国籍なチームは、もはや当たり前だ。
[原文:Europe is killing it in crypto]
(翻訳:一柳優心、編集:増田隆幸)