LINEとFOLIO両社長に聞く「LINEスマート投資」“本業以外の収入が必要になる”時代に投資のハードル下げる

LINEアプリ

10月18日「LINEスマート投資」がスタート。同サービスには、LINEのウォレットタブからアクセスできる。(写真は開発中のもので、実際とは一部異なります)

撮影:今村拓馬

メッセージアプリ大手のLINEは、10月18日から「LINEスマート投資」をスタートする。

LINEスマート投資は、同社の金融事業を担当するLINE Financialのサービスとしては第2弾にあたる。第1弾は10月16日に発表された損害保険ジャパン日本興亜と共同で提供する「LINEほけん」だが、スマート投資は2018年1月にLINEと資本業務提携を締結したFOLIO社とともに手がけるサービスだ。

LINEは以前からLINEを日常の“お財布”のように使える“LINEウォレット”の構想を掲げている。今回のスマート投資の提供はまだ完全ではないものの、この構想の実現に向けてまた一歩進めた。

10万円から始める「テーマ投資」を提供

LINEスマート投資

LINEスマート投資のユーザーインターフェイス(UI)は、投資経験者ではなく初心者向けのスマホで使いやすいものになっている。

出典:LINE

LINEスマート投資の中身は、現在FOLIOが提供している「テーマ投資」の仕組みと同じだ。ユーザーは、同社が用意する「VR」や「e-Sports」「ドローン」などといった約70のテーマから自分が投資したいものを選んで投資を行う。

投資されたお金は、そのテーマに応じた国内10社の株式に自動的に分散される。10社はFOLIOがファンダメンタル分析などの結果から「中長期的に有望」と判断された企業だが、各銘柄や保有比率は同社が適宜調整をしている。

LINEスマート投資

「日本を代表する有名企業」など、FOLIOにはないLINEユーザー向けのテーマも用意する。

出典:LINE

そのため、ユーザーは自分が興味を持っていたり、応援をしたい分野を選ぶだけで、ある程度リスクを分散した形で投資活動を行えるというわけだ。また、投資金額は10万円からと、一般的な株式取引に比べて少額で始められる。

加えてLINEサービスならではの特徴として、運用開始までの進捗に応じてLINEポイントを付与。さらに、人気や高還元率順のテーマランキング機能、過去のデータに基づきテーマの母集団であるジャンルの今後の損得を予想するシミュレーション機能なども用意されている。

未来では「本業以外の収入」が必要になる?

両社 社長

写真左よりFOLIO社長の甲斐真一郎氏とLINE社長の出澤剛氏。

撮影:今村拓馬

LINEスマート投資の提供開始にあたり、Business Insider Japanではサービスの狙いをLINE社長の出澤剛氏と、FOLIO社長の甲斐真一郎氏に聞いた。

出澤氏は個人レベルの投資の必要性が上がってきているのに対し、投資分野がいまだに万人化していない点を指摘。LINEスマート投資のメインターゲットが投資初心者であると話す。

出澤氏「規制の厳しさや収益化までに必要な時間やコストゆえに、金融業はいま一番変化していない領域だ。そこにインターネットの便利さを入れていく。

その中でも重要なのが投資分野。これから10年、20年の間に高度成長期のような成長は残念ながら見込めない。自分の労働以外にお金を稼ぐ手段が重要になってくる。

そこで、ユーザーインターフェイスへのこだわりやユーザー中心主義のアプローチを大切にしているFOLIO社と手を組むことにした」

一方、FOLIOの甲斐氏もLINEが抱える幅広いユーザー層に対してアプローチすることで、投資に対する社会的な意識が変わることを期待しているという。

甲斐氏「FOLIO自体も投資初心者向けのサービスではあるが、現在FOLIOにたどり着けているのはもともと“詳しい方”が多い。

LINEという広い入口から最初はテーマ投資に触れてもらい、投資に対するハードルを下げていきたい。

そのためには、ユーザー自身の投資リテラシーを上げることも大切で、LINE NEWSと連携し、投資に関する読み物コンテンツの提供なども検討している」

ロボアド型のおまかせ投資も今後展開

両社 社長

「生活圏に根付く投資を目指す」と語る両者。

撮影:今村拓馬

なお、初心者向け投資サービスと言えば、ウェルスナビやお金のデザインといった企業が提供するロボット型の自動運用サービスも近年注目を集めている。

甲斐氏によると、FOLIOでもロボット型の「おまかせ運用」サービスを開始を予定しており、LINEスマート投資内でも利用できるようにするという。

またスタート時点では未実装だが今後、LINEスマート投資内の保有資産をLINE Pay残高として出金する機能なども備えていくという。

資金循環の日米欧比較

出典:日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較」より

日本銀行調査統計局が8月14日に公開した「資金循環の日米欧比較」によると、各国の家計の金融資産の内、株式等、投資信託、債務証券の合計の割合は、日本が16.2%、アメリカが53.9%、ユーロ圏が31.3%となっている。

投資に対する苦手意識を持つ人をいかに変えることができるか? LINEとFOLIOの手腕に注目が集まる。

(文・小林優多郎)

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