撮影:西山里緒
「ミュージックステーション」内の特別CMをはじめとするテレビCM、渋谷の街頭や駅構内での「アガる思い出つくっとく?」の広告……。
今、若い世代を中心にもっとも勢いのあるアプリといえば、ショートムービー投稿アプリ「TikTok」だろう。
しかし、TikTokはアプリを開いても、人気TikTokerのランキングが出てくるわけでもなく、ユーザーの検索機能もかなり使いづらい、初心者には難易度の高いアプリだ。
「なにがおもしろいの?」「誰が人気なの?」と思っている人たちのために、ここでTikTokの基本知識をおさらいし、人気の秘密を探ってみよう。
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1. 「人気トップTikToker」は小学生。ランキング上位を見てみる
駅構内や街中の広告を見た人も多いのでは?(写真は7月13日撮影)
撮影:西山里緒
TikTokは2017年の夏に日本に上陸。アプリ分析を行うApp Annieのデータによると、2017年10月から11月にかけて人気に火が付き、App Storeの無料アプリダウンロードランキングで上位に。その後ブームは落ち着いたが、2018年5月頃から再度浮上し、7月から8月にかけては1位になっている。
10月18日には、エイベックスと包括的楽曲ライセンスで提携し、エイベックスの楽曲2万5000曲がTikTokで使えるようになったと発表した。
そんなTikTokの人気トップユーザーとは誰なのか?
ユーザーローカルが9月19日に発表したところによると、日本でもっとも多くファンを持つTikTokerは「Hinata」(野々山ひなた)さん。小学6年生ながらすでに220万人以上のファンを抱え(10月22日時点)、1位を独走。
2位以下はねおさん(高校2年生、ファン数:91万人)、ゆなたこさん(中学2年生、ファン数:81万人)、渡辺リサさん(高校2年生、ファン数:74万人、いずれも10月22日時点)と続く。トップTikTokerは、いずれも高校生以下だ。
TikTokは年齢別のデータを公表していないが、スマホアプリを分析するApp Apeのデータ(2018年3月時点)によると、ユーザーの約4割が10代と圧倒的。20代が約3割と、10〜20代がユーザーの約7割を占めている。
2. 「トランジション」とは? まるで映画のようなTikTok動画も
TikTokの撮影テクのひとつ、トランジション。
撮影:西山里緒
TikTokが今までの動画投稿アプリと違う点は、スマホのカメラを駆使して、カット割りに工夫を凝らした動画が撮れるところだ。
音楽に合わせながら画面を切り替える、こうしたテクニックは「トランジション」と呼ばれる。
最近はあまり見かけないが、筆者の体感では1年前くらいに、トランジションにこだわった動画が多く投稿されていた。「TikTok、オモシロい!」を感じるには、トランジション動画をまずはチェックしてみるのがオススメだ。
TikTok上陸初期から人気を集めてきた「Tender黄梦(工藤夢)」さん。トランジションの上手さに定評がある。
出典: tiktok _japan
3. 15秒でバズを生む。TikTokで流行している曲をフォローしてみる
「四角三角いや◯でしゅ」の曲は、2万6000以上の動画がTikTokに投稿されている。
出典:TikTok
TikTokの最大の特徴は、流れてくる曲に合わせて自分でも動画が撮れること。
人気のある曲はすぐに拡散し、1曲につき数千・数万の動画が投稿されることもめずらしくない。
この「TikTokでの流行」をうまく生み出しているのが、DJ集団「レペゼン地球」だ。YouTuberとしても活動してきた彼らは、過激な企画や下ネタ満載の歌で人気が急上昇。2018年夏にはYouTubeでアカウントが停止(垢BAN)されたことでも話題になった。
YouTuberとも、ラッパーとも、DJともいえる、独特の地位を確立したレペゼン地球。下ネタバリバリの歌詞で人気を博す。
出典:【レペゼン地球】曲チャンネル
DJとしてのスキルも活かし、自分たちで作った楽曲の多くをTikTokで投稿。その元ネタ(曲)はYouTubeにもアップされ、400万以上の再生回数を記録するものも。TikTokとYouTubeの相乗効果で人気になったアーティストの代表例が「レペゼン地球」だといえる。
4. 続々参入している、芸能人をフォローしてみる
2018年10月にはPerfumeもTikTokに参戦した。
出典:Perfume
2017年の秋から冬にかけてはYouTuberのTikTokの参入が目立ったが、2018年の夏からは、多くの芸能人がTikTokを始めている。
しかしTikTokは毎日投稿をし続けなければすぐに忘れられてしまうので、芸能人でも「トップTikToker」になるのは難しい。
芸能人の中でも、早くから曲のPRなどにTikTokを活用してきたのがきゃりーぱみゅぱみゅだ。2018年10月22日現在、ファン数は30万人以上。
お笑い芸人の狩野英孝も、2018年2月頃と早い段階でTikTokに参入。その後も継続的に動画を投稿し続けており、ファン数はすでに40万人を超える。
5. 次の流行は「#TikTok映え」?「#TikTokグルメ」をチェックしてみる
#TikTokは、グルメ動画にも手を伸ばしている?
出典:TikTok
「メイク動画」「ダンス動画」「お笑い動画」など、ジャンルレスのプラットフォームとして、動画投稿アプリの勢力図を書き換えようとしているTikTok。
彼らが次に挑むのは「料理動画」かもしれない。
2018年10月現在、TikTokのトップには、「#TikTokグルメ」のキャンペーンが開催されている。詳細を見てみると、10月10日から31日までの間に、「#TikTokグルメ」と店名のハッシュタグをつけて動画を投稿すると、毎週抽選10名に限定グッズがもらえるというもの。
今は、おいしい食べ物やおしゃれなカフェを投稿するアプリといえば、インスタグラム一強だ。
けれど、TikTokが「グルメ動画」を制圧するプラットフォームになれれば、「TikTokがインスタを超える」時代が本当にくるのかもしれない。
(文、西山里緒)