サウジアラビアのジュベイル外相は21日、Foxニュースに出演した。
Fox News
- サウジアラビアの外相は21日、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、トルコにあるサウジアラビア総領事館で10月2日にジャマル・カショギ氏が殺害されることを、事前には知らなかったと語った。
- サウジアラビアは20日、カショギ氏は総領事館の中で殴り合いのケンカの末に死亡したと発表したが、その説明に対し、国際社会は懐疑的だ。
- サウジアラビアに制裁を科すことに消極的だったアメリカのトランプ大統領は20日、サウジアラビアの対応には「ごまかしやうそがあった」と述べた。
サウジアラビアのアーデル・ビン・アフマド・アル・ジュベイル外相は、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は反政府記者ジャマル・カショギ氏の死とは無関係で、「ならず者の工作」によるものだと主張した。
ワシントン・ポストのコラムニストでもあったカショギ氏をめぐっては、サウジアラビアが残酷な拷問を加えた後、遺体をバラバラにしたとトルコ当局が非難していたが、サウジアラビアは20日、カショギ氏は総領事館内での殴り合いのケンカの末に死亡したと発表した。
サウジアラビアのジュベイル外相は21日、Foxニュースに出演し、捜査の結果、18人の容疑者を拘束し、情報機関の高官を解任したと述べた。
「皇太子は把握していなかった —— 我々の情報機関の高官ですら、これを把握していなかった」と、ジュベイル外相は語った。
「これはならず者の工作だ。与えられた権力と責任を逸脱して、個人が行った工作だ。総領事館の中でジャマル・カショギを誤って殺害してしまい、彼らはそれを隠そうとした」
ジュベイル外相はカショギ氏の家族に哀悼の意を示し、「責任者を必ず罰する」と述べた。
カショギ氏は10月2日、婚約者との結婚に必要な書類を取得するために総領事館を訪れたが、その後、行方不明になっていた。サウジアラビア当局は当初、カショギ氏は総領事館を去ったと述べていたが、トルコメディアの報道を受け、その主張は変わっていった。
サウジアラビアの関係者は21日、ロイターに対し、総領事館で工作員らは「彼が叫ぶのを止めさせようとしたら、死んでしまった。殺すつもりはなかった」と話している。
ロイターによると、工作員らはその後、カショギ氏の遺体をラグに包んで「地元の協力者」に処分を依頼し、事件の痕跡を総領事館から消そうとしたと言う。
それでも制裁に消極的なトランプ大統領
トランプ大統領は、議会と協力して対応すると言うが……
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カショギ氏の死にサウジアラビア政府が関与した疑惑に対し、アメリカ上院では両党の議員から制裁の発動を求める声が上がっている。一方で、トランプ大統領は制裁やその他の懲罰を科すことに消極的だ。
トランプ大統領は20日、サウジアラビアの直近の対応について不満を示したが、同時に、サウジアラビアへの1100億ドルの武器輸出をキャンセルすることは「彼ら以上に」アメリカにとって大きな痛手になるだろうと再び述べた。
大統領は「サウジアラビアは素晴らしい同盟国だ。だが、今回起きたことは容認できない。推移を見守りたい」と言い、関係者の拘束については「大きな一歩だ。初めの一歩に過ぎないが、大きな最初の一歩だ」と評価した。
その後、ワシントン・ポストのインタビューで、トランプ大統領は、カショギ氏の死に関するサウジアラビアの説明について「ごまかしやうそがあったことは明らかだ」と、非難の色を強めた。
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子について、大統領は「彼に責任があるとは聞いていない」と同紙に語った。「彼に責任がないとも聞いていない。我々はまだその段階に至っていない…… 彼に責任がないことを願う」
しかし、共和党のボブ・コーカー(Bob Corker)上院議員は、皇太子に対し、異なる見方をしている。
「彼がやったと思うかって? そうだ、わたしは彼がやったと思っている」
上院外交委員会の委員長を務めるコーカー議員は21日、CNNで語った。一方で、トランプ大統領はこの問題を正しい方向へ導いているとの見方も示した。
アメリカ、サウジアラビア、トルコは引き続き、カショギ氏の死について捜査を続けている。
(翻訳、編集:山口佳美)