香港の海域で発見されたマイクロプラスチックの隣並べられたボラ。香港で開かれた、環境保護団体グリーンピースの記者会見にて。2018年4月23日。
Bobby Yip/Reuters
- オーストリアの研究グループはマイクロプラスチックを人間の排泄物の中から発見した。
- 同研究では8人の排泄物サンプルしか分析していないが、全員のサンプルからプラスチックが見つかった。
- マイクロプラスチックは海洋生物に害を及ぼしている。だが人体への影響はまだ不明。
- WHO(世界保健機関)は、ペットボトル飲料水の90%からプラスチックを検出した調査を受け、2018年3月にプラスチックが人体に及ぼす影響についての調査を開始した。
オーストリアの研究グループはマイクロプラスチックが人間の排泄物にも存在していることを発見した。
この研究は10月23日(現地時間)、欧州消化器病学会誌(United European Gastroenterology Journal)で発表された。
オーストリア環境庁(Environment Agency Austria)とウィーン医科大学の研究者たちは、イタリア、日本、ポーランド、オランダ、ロシア、イギリス、フィンランド、オーストリアといった世界各国の被験者8人の排泄物のサンプルを分析した。
調査期間の1週間、被験者は排泄物のサンプルを取る前に食べたものを記録。被験者は皆、期間中にペットボトル飲料を飲み、プラスチックで包装された食品を食べていた。
そして、8人の排泄物サンプルから、すべてマイクロプラスチックが見つかった。サンプルには最大9種類のプラスティックが含まれていた。
マイクロプラスチックは有害な化学物質や病原体を体内に運び込む可能性があると研究者たちは記した。また、腸の免疫反応を弱める可能性があると述べた。
世界のプラスチック生産量は、過去20年間で爆発的に増加した。これまでに生産されたプラスチックの約半分は21世紀に入ってから生産された。だが、わずか20%しかリサイクルされていないとナショナルジオグラフィックは伝えた。
また世界中で我々は1分間に100万本近くのペットボトルを購入している。
毎年、約180億ポンド(約82億キログラム)相当のプラスチックが海に流れ込み、海洋生物がプラスチックを摂取した後、人間もマグロ、エビ、ロブスターなどを通して摂取している可能性が高いと研究は指摘した。
さらに、製造過程で食品に混入したプラスチックを摂取している可能性もある。
今回の研究は、人間の消化器官にプラスチックが存在していることを示した初めての研究だろう。またWHO(世界保健機関)は、259本のペットボトル飲料水の90%からマイクロプラスチックを検出した研究を受け、今年3月、プラスチックが人間の健康に及ぼす影響についての調査を開始した。
これまでの研究は、魚や水など、我々が摂取する食べ物や飲み物の中にプラスチックが存在していることを示している。しかし、マイクロプラスチックが人体に及ぼす影響は不明確なままだ。
[原文:Scientists have found new evidence that tiny pieces of plastic might be accumulating in your poop]
(翻訳:Yuta Machida、編集:増田隆幸)