コワーキングオフィス、大企業需要で市場急拡大。エリア別業態傾向もくっきり

WeWork

東京・神宮前に8月オープンしたWeWorkアイスバーグの外観。道ゆく人から働く姿が見える。

法人向け不動産サービスのCBRE日本本社は、急速に成長しているコワーキングオフィスの現状と今後の見通しをまとめた。2018年9月時点で東京都内のコワーキングの市場規模は346拠点、6.6万坪で、東京23区の賃貸オフィス全体の面積の1.0%に過ぎないものの、賃貸オフィス成約面積に対する、コワーキングオフィス開設面積比率は2018年前半で7.9%に達し、存在感が高まっている。

2017、2018年の開設面積、過去16年合計を上回る

図と編集会議

Business Insider編集部も8月に、都内のコワーキングオフィスを1週間体験した。写真はビジネスエアポート六本木

CBREはコワーキングオフィスを、「異なる企業の従業員や個人同士が机、椅子、会議室などの設備をシェアする」かつ「利用者同士のコミュニケーションを促進する仕組みが構築されている」ワークスペースと定義。利用者のコミュニケーション促進の仕組みがあるどうかで、従来のシェアオフィスと線引きした。

都内のオフィス全体に占めるコワーキングオフィスの比率は小さいが、2017、2018年に市場規模が急拡大。2年間の新規開設面積は、2000~2016年の16年間の合計開設面積(3.3万坪)を上回った。

調査を担当した五十嵐芳生アソシエイトディレクターによると、コワーキングオフィス市場は21世紀に入り、数度の成長期があったという。具体的には、2003年に資本金1円で会社設立を認める特例措置が創設され、起業が増加した時期や、リーマン・ショック後にオフィス空室率が上昇し、ビルオーナーがコワーキングオフィス運営事業者を誘致した時期だ。また、2011年の東日本大震災後には、復興支援の拠点として、コワーキングオフィスの活用が広がった。

「企業イメージ向上し採用に有利」

2017年以降に、コワーキングオフィスが拠点数・面積ともに大きく増えている最大の理由は、大企業の需要拡大という。五十嵐さんは、「従来は個人やスタートアップが、オフィスコストを抑える目的で利用する小規模なコワーキングオフィスが大半だったが、最近は大企業がコワーキングオフィス入居を検討するようになり、それに対応する大規模な施設も登場した。今までと違う需要が、市場を一気に広げた」と説明した。

大手企業の入居動機としては、「人口減など市場縮小に対応し、新規事業創出に取り組んでいるが、社内のリソースだけだと難しい」「事業所の移転や拡張を考えていたが、空室率が低くて移転先が確保できないため、社外とのコラボも期待して一部部署をコワーキングオフィスに移転した」「企業イメージが向上し、採用に有利」といった声があった。

弁護士事務所、保険会社集積エリアでは需要薄

立地

調査では、立地ごとに入居企業の傾向が違うことも判明。丸の内・大手町は近辺に立地する大企業との協業を意識したフィンテックなどの業態が多く、六本木・赤坂は入居者同士のコラボレーションを志向する企業、渋谷・恵比寿はITスタートアップが多かった。拠点数が最も多いのは城西地区で、通勤負担軽減を目的とした利用が目立ち、保育施設併設型も少なくないという。一方、弁護士事務所や保険会社など、情報セキュリティーが重視される業種が集積する飯田橋、新宿のようなエリアでは、コワーキングオフィスの割合が低いことも明らかになった。

起業増加やリモートワークの浸透など、コワーキングオフィス市場には今後も追い風が見込める一方、オフィス空室率はかなりの低水準で推移しており、ビルオーナーにとって、コワーキング事業者を誘致する必要性は低い。

ただ、東京では2020年までビル大量供給が続くため、供給過剰になれば、コワーキングオフィスの一層の増加が予測されるという。

(文・浦上早苗、写真・今村拓馬)

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