コインチェックの業務再開は明るいニュースだが……強気と弱気が交錯する仮想通貨業界の「実情」

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撮影:今村拓馬

停滞感の漂っていた国内の仮想通貨業界だが、10月末になって、前向きなニュースが二つ続いた。

10月24日に日本仮想通貨交換業協会が正式な自主規制団体に認められ、次いで30日にコインチェックが新規の口座開設など多くの業務を再開した。

一方で、世界的に取引量の低下が指摘され、国内の業界は強気と弱気が入り交じる状況になっている。

ブルームバーグは10月9日付で、英調査会社ジュニパー・リサーチの調査結果を報じた。報道によれば、2017年末にビットコインの取引量は1日平均で36万件ほどに達していたが、2018年9月には23万件ほどにまで落ち込んでいるという。

日本国内でも、9月に取引所Zaifから70億円相当の仮想通貨が流出したこともあって、取引高の低迷が指摘される。ある取引所の幹部は「Zaifの事案をきっかけに、利用者の仮想通貨離れが顕著になっている」と話す。

グループ内に仮想通貨取引所DMM BitcoinがあるDMM.comは、2018年1月にブロックチェーンの活用を目指す事業を本格化させていた。しかし関係者によれば、2018年秋以降、スマートコントラクト事業部など、ブロックチェーン関連の事業を縮小しているという。

コインチェック業務再開で、成長を期待できるのか

マネックス 松本大 コインチェック

仮想通貨不正流出事件の後、金融庁から業務改善命令を受けたコインチェックはマネックスグループに買収された。マネックスグループの松本大社長(左)とコインチェックの和田晃一良社長。

REUTERS/Toru Hanai

10月29日にネット証券大手のマネックスグループが発表した2018年4~9月期の連結決算(国際会計基準)では、仮想通貨関連のクリプトアセット事業の税引き前損益は約8億円の赤字となった。4月にコインチェックを36億円で買収したものの、本格的な事業再開に時間がかかり、ハッキングへの対策などの費用がかさんだ。

同日夜に開いた個人投資家向けのオンライン決算説明会では、「取引高が激減している中で、コインチェックが再開しても、成長はもはや期待できないのではないか」と、厳しい質問もあった。

マネックスグループの松本大社長はこれに対して、「相場観として、そうは考えていない。世界的にいろいろな取捨選択、選抜が行われているが、仮想通貨交換業全体では、まだまだ成長の段階にある」と反論した。

翌30日昼になって、コインチェックは新規口座開設などの業務再開を発表。業務の再開に時間を要していたコインチェックにとっては、久々の前向きなニュースとなった。

松本社長は10月29日夜のオンライン説明会で、「(コインチェックの業務が)再開すれば、顧客基盤を考えると、早期に黒字化できると考えている」と、強気の見通しを述べている。

北尾吉孝氏

2019年3月期第2四半期決算を発表するSBIホールディングスの北尾吉孝社長。

撮影:小島寛明

グループ内に仮想通貨取引所SBIバーチャル・カレンシーズがあるSBIホールディングスの北尾吉孝社長は、10月30日の決算説明会で「そんなにプロモーションをやらなくても、どんどんお客さんは自然とくる」「(仮想通貨の市場規模が)10年後に2000兆円になると予言している」と、強気の姿勢を崩さない。

SBIグループは、国内外のブロックチェーンや仮想通貨関連企業に多額の投資を続けている。北尾氏は11月7日に、仮想通貨に関する著書を出版する。北尾氏の本のタイトルは『これから仮想通貨の大躍進が始まる!』となる予定だという。

(文:小島寛明)

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