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8年ぶりのフルモデルチェンジで注目を集めるMacBook Air。待望のRetina対応ディスプレイのほか、発表された仕様を見る限り、上位機種で画面サイズが同じMacBook Pro 13インチモデルにかなり近い仕様に見える。
改めてAirとProを比較すると、さらに面白い相似性が見えてきた。
本体サイズはProとほぼ同じ、低価格版「Pro 13インチ」を置き換える?
Business Insider Japan
要点だけに絞った比較表を見てみると、アップルが新型MacBook Airの、言ってみれば「リボーン」にあたって考えたであろう位置づけの変更が鮮明に浮かび上がってくる。
Pro 13インチモデルと価格比較すると、一番安いProとは8000円差。つまり、「ほとんど同じくらい」と言ってよい価格のモデルがある。
このモデルは、「Touch BarがないPro」という特殊なモデルで、Proの中でも特に廉価モデルに位置づけられる(そのためCPUがいまだに1世代前の第7世代だ)。
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新型MacBook Airは、このモデルと似た部分、あるいは上回る部分が多い。
例えば、液晶ディスプレイは仕様上は解像度とサイズが同じ。
バッテリー駆動時間はむしろ2時間伸びる。さらに、指紋認証のTouch IDは、従来はTouch Barとセットだったから低価格版Proには未搭載だったが、新型Airでは単体(Touch Barがないのに)でTouch IDを搭載している。
また新型Airの特徴として、発表イベントでは、画面サイズは従来のAirと同じでも「本体の大きさが17%小さい」と語っていた。実は、このサイズというのは、MacBook Pro 13インチと縦横が寸分違わぬサイズなのだ。厚みに0.7mmの違いはあるものの、事実上「ほぼ同じ」と言っていい。
注意が必要なのは、CPUだ。
現時点のインテルの公式ラインナップには、厳密にはこの仕様のCore i5は存在していないようだ。そのため性能がまだ判然としない部分はある。とはいえ、従来MacBook Airが使われていたような用途に使うのであれば、十分な性能ではあるはずだ。
(11月1日 10:50追記)
その後、インテルが新たなCPU「Core i5-8210Y」をラインナップに追加したようだ。仕様を見る限り、新MacBook Airに使われているものと動作周波数や最大周波数が共通している。
Airを「格上げ」して、中途半端な廉価版ProとMacBookはどうなる?
Apple
従来の製品ラインナップでは、Airは「Retina液晶は搭載しない」機種だった。それが、新型AirではRetina搭載になった。アップルが今回の「リボーン」にあたってAirの格上げ化を考えたのであれば、その代わりにラインナップ整理の対象になる可能性がある機種は2つある。
1つは、上で取り上げたPro 13インチの低価格版モデル。装備が古い上に、ProなのにTouch Barがないという、過渡期のモデルだ。これは、セキュアであることを重視する最近のアップルの方針からもズレている。
それを、「Touch Barがなく、価格とともに性能を少し抑えた(しかしセキュアな)機種がAir」と再定義するのは、分かりやすい。
もう1つは、こちらもやや中途半端な存在になってしまったMacBook。性能的にはさほど高くなく、iPad Proシリーズの軽量・高機能化の前に存在感が極めて薄くなっている。それでいて、安いモデルでも14万2800円と、新型MacBook Airより高い。
いまやコンピューターとしての「挑戦」は、10〜13インチクラスではiPad Proの方が遥かに先を進んでいる。Macはパワーが必要な作業、もしくはiOSアプリをつくるための開発者向けのハードウェア。その両方に対して、位置づけに合理性が見出しづらくなってきた低価格版Pro 13とMacBookという構図が見えてくる。
新型MacBook Airの製品としての「体験」がどこまでMacBook Proに近いのか。現地のハンズオンレポートや、国内での実機レビューで確認していきたいところだ。
(文・伊藤有、画像出典・アップル)