子育てにも部下育てにも使える、黄金の4つの指標

子供に微笑みかける母親

思っていた以上に好評なので、今回も海外子育てシリーズを書いてみたいと思います。

子育てをテーマに書きますが、ビジネスにおける上司と部下の関係と置き換えて読んで頂くと、マネジメントにも役立つ内容だと個人的には思っていますので、是非ご一読ください。

今日のテーマは、親はどこまで子供に手助けをすべきか?というテーマです。ビジネスにおいては、上司はどこまで部下の面倒を見るべきか、と置き換えて読んで頂いても構いません。

親が何でも手を出しすぎると子供はどうなる?

多くの親は、自分の子供に成功して欲しいと思っています。

これが行き過ぎると、子供に苦労をさせたくないという方向に行ってしまうのは自然なことではないでしょうか。

子供に苦労させたくないと思えば思うほど、子供にとって大変なことに親がどんどん手を出して、自らやってしまうことになりがちです。

もちろん、子供は自分で最初から全部が出来るわけではありませんが、面倒なこと・大変なことは全て親がやってしまうようになると、当然ながら、子供の成長機会が損なわれます。

結果として、子供は本来自分がやりたいこと・出来ることも、全部親がやってしまうため、本来のゴールである「子供が成功する」という方向からどんどん遠ざかってしまう、というケースは多々あるわけです。

娘の勉強を見る父親

一方で、真逆のケースを見てみると、親が子供に厳しくしすぎるというケースもあります。

親の言うことは絶対であり、そのルールに従えない子供をひたすら叱り続ける、という教育方法も、極論では有り得るわけです。

ここでの問題というのは、一体どういった場合は子供に苦労させてでも自ら問題解決をさせ、どういった場合は親が手を出して助けるべきか?という線引きを、どうするかという問題になります

この線引きを曖昧なまま、あるいはケースバイケースで判断してしまうと、子供から見ると、親の意思決定が一貫性がないように見え、常に親の顔色を伺うような子供が育ってしまうでしょう。

これはアメリカに限った考えでもないと思いますが、子供にとって一貫性というのは非常に重要です。

The Need for Consistency(一貫性の重要性)

「子供は世界との接し方を、周囲の人の振る舞いと(その子にとっての)存在価値によって学ぶ。周囲からのメッセージに一貫性があるほど、精神的に安定し、周囲からのメッセージに一貫性がなければ感情のコントロールが出来ない子供になる」

従って子育てや部下の育成においては、一貫性のある線引きが重要になると言えます。

「親が解決すべき問題」vs 「子供が自分で解決すべき問題」の見極め

では、一体どのようにその線引きをすれば良いのでしょうか。

最近教えてもらった線引きの方法を紹介します。

子供や部下がある問題に直面した時に、そのケースにおいて以下の4つの問いに、YESかNOで答えてみてください。

1. 誰かが怪我をする(可能性が高い)

2. 誰かの持ち物が無くなる(可能性が高い)

3. 親(上司)の人権が侵害される

4. 子供(部下)が問題を自分で解決するには幼すぎる(経験やスキルが足りない)

4つに全てNOなら「子供(部下)が自分で解決すべき問題」、一つでもYESなら「親(上司)が解決すべき問題」です。

子供が自分で解決すべき問題であれば、親は基本的には自ら積極的に問題解決をしようとせず、子供が自ら問題解決しようとするのをじっと観察して、助けを求められない限りは助け船を出さない、というのが原則です。

一方で親が解決すべき問題であれば、親が自ら積極的に、子供を制止してでも、問題解決にあたるというのが原則です。

少し分かりにくいかもしれないので、具体例を三つほど挙げてみたいと思います。

例1:子供が宿題を学校に持っていくのを忘れた場合

勉強する女学生

例えば、子供が宿題を学校に持って行くのを忘れてしまい、それを親が始業後に気付いた場合に、どうすべきかというケースです。

宿題を忘れたことで、誰かが怪我をしたり、誰かの持ち物が無くなる可能性はほぼありませんし、親の人権が侵害されることもほぼ無いでしょう。

子供は宿題が出るくらいの年齢なわけですから、宿題を忘れてはいけないということは自分で判断できるはずです。

従ってこの場合は、4つともNOになるので、子供が自分で解決すべき問題、ということになります。

この場合、親が忘れて宿題を学校に届けに行くのではなく、子供が仮にその日は困ることになったとしても、自らその宿題を忘れてしまったという結果と向き合わせる、というのが正しい解決策になります。

その日は先生に叱られるかもしれませんが、それも重要なレッスンだと割り切って、子供と一緒に宿題を忘れないようにする仕組みを作る、というのも良いかもしれません。

例2:2歳の子供が牛乳をこぼしてしまった場合

2歳の子供が、夕食中に牛乳をコップからこぼしてしまった場合はどうでしょうか。

コップに注がれる牛乳

牛乳をこぼしたことで誰かが怪我をしたり、物が無くなったり、親の人権が侵害されることはありません。

一方で、2歳の子供が牛乳をこぼしてしまったことの責任を取ったり、後始末をするには少し若すぎる、幼すぎると、少なくても私は思いますので、この場合は親の問題だと考えます。

親が解決すべき問題であるとすれば、溢れた牛乳を掃除するのも親の仕事ですし、新しい牛乳を注いであげるのも親の仕事です。

例3:7歳の子供が牛乳をこぼしてしまった場合

一方で、7歳の子供が牛乳をこぼしてしまった場合はどうでしょうか。

勘のいい方はもうお分かりかと思いますが、この場合は子供が自ら解決すべき問題だと言えるのではないでしょうか。

この場合は子供が自分でこぼれた牛乳を掃除して、もっと牛乳が飲みたければ自分で牛乳を注ぐ、あるいは牛乳を注いでほしいと親にリクエストするので、親は手を出すべきではありません。

同じ場面に直面しても、人によってYESと答える人もいれば、NOと答える人も出てきます。それぞれの親の価値観によってボーダーラインが異なることは全く問題ありませんが、子供から見て一貫性があることがとても重要です。

今回は子育ての例で書きましたが、「親」を「上司」へ、「子供」を「部下」へ置き換えて見て頂ければ、ビジネスにおけるマネジメントにも十分役立つ内容なのではないかと思います。


シバタナオキ:SearchMan共同創業者。2009年、東京大学工学系研究科博士課程修了。楽天執行役員、東京大学工学系研究科助教、2009年からスタンフォード大学客員研究員。2011年にシリコンバレーでSearchManを創業。noteで「決算が読めるようになるノート」を連載中。

決算が読めるようになるノートより転載(2018年10月30日の記事

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