2018年度第2四半期の決算を発表したヤフー。決算説明会に参加したアナリストたちからは、「営業利益がプラスに転じるタイミングはいつになるのか」といった厳しい意見も出た。
撮影:伊藤有
10月31日、ヤフーは第2四半期(2018年7月〜9月)の営業利益が355億円で前年同期から16.9%減少したと発表した。売上高は8.3%増えて2331億円に、親会社の所有者に帰属する四半期利益は29.2%と大幅に減って224億円となった。決算発表会に出席したヤフーCEOの川邊健太郎氏は、「期初に想定した範囲に収まっている」との見解を示した。
営業利益についてセグメント別で見ると、メディア事業の営業利益は、検索連動型広告の売上収益が2期連続の2桁成長となる13%増を記録するなど好調だったが、販売促進費も同時に増えたため、結果的に5.2%減の353億円だった。
コマース事業の営業利益は、ショッピング広告の売上収益が前年同期比28%増、傘下のアスクルグループも売上収益を増やしたが、アスクルの新物流センターの地代・償却費などがかさみ、7.6%減の157億円となった。
ヤフーが発表した2018年度第2四半期の業績サマリー。「想定内」(川邊CEO)とはいえ、厳しい数字ではある。
出典:ヤフー2018年第2四半期決算説明会プレゼンテーション資料
ヤフーが発表した営業利益の増減要因。広告収益の伸びと販管費の増加が一致したのは偶然とのこと。
出典:Yahoo2018年度第2四半期決算説明会プレゼンテーション資料
第2四半期の営業利益は、第1四半期(8.9%減)を超える大幅減を記録したものの、既存事業が堅調に推移していることから、通期の営業利益については年度当初の見通しを上方修正し、1330億円〜1430億円になるとした。
「PayPayは国内最大シェアを目指す」と川邊CEO
10月5日にサービス開始したスマホ決済サービス「PayPay」の紹介画面。2018年度内に加盟店30万店舗を目指して、営業活動が続いているという。
出典:PayPay HPより編集部キャプチャ
決算説明会では、アナリストからモバイルペイメント事業に関する質問が相次いだ。
ヤフーは10月5日に、QRコードやバーコードを活用したスマートフォン決済サービス「PayPay(ペイペイ)」の提供をスタート。中国のアントフィナンシャルが提供する決済サービス「Alipay(アリペイ)」との連携も開始し、訪日客がPayPay加盟店でシームレスに決済できる仕組みを整えた。
同社のモバイルペイメント事業は当初、「Yahoo!ウォレット」に決済機能を追加する形で展開される計画だったが、第1四半期中に座組みが変更され、6月にソフトバンクとの共同出資で設立された合弁会社PayPayが運営することとなった。
ヤフーが2018年7月の第1四半期決算説明会で示した、ソフトバンクとの合弁会社「PayPay」の座組み。
出典:ヤフー2018年度第1四半期決算説明会プレゼンテーション資料
そのため、2017年度通期決算の発表時に明らかにしていた(未来を創造するための)「新たな挑戦への費用」200億円の一部を、PayPayへの出資金に充てた。今後、同サービスのヤフージャパンアプリ上でのプロモーション費用などに追加投資することも検討しているという。
ヤフーは、PayPayを通じたモバイルペイメントの取扱高で、国内ナンバーワンを目指すことを2018年度当初に宣言している。川邊CEOは、「対応店舗が多くなくては日本のキャッシュレス化は進まない。ローンチ直後の現在は加盟店拡大にフォーカスしたい。ソフトバンクの法人営業部隊も大手チェーンなどの開拓に乗り出す。日本国内で最大シェアを目指すつもりだ」と今後の取り組みについて語った。
(取材・文/川村力)