Benjamin Zhang/Business Insider
- シンガポール航空は、ニューアーク・リバティ国際空港とチャンギ空港を結ぶ世界最長フライトを再就航させた。
- 1万マイル(約1万6000キロメートル)、最大19時間に及ぶフライト。
- Business Insiderは、シンガポール行きの就航便のビジネスクラスに搭乗した。
- そしてニューヨークへの帰国便ではプレミアムエコノミーを体験した。
10月、シンガポール航空はニューヨークと本拠地のシンガポールを結ぶ長距離フライトを再就航させた。1万マイル(約1万6000キロメートル)、最大19時間に及ぶ世界最長フライト。
ただし、この記録を維持できるのは、カンタス航空が待望のロンドン ‐ シドニー間の20時間ノンストップ路線を就航させる時までだろう(だが、エアバスにも、ボーイングにも、20時間のノンストップ・フライトを経済的に実現できる旅客機はない。なので、あまり期待しないように)。
シンガポール航空は2013年、燃料の高騰によりシンガポール ‐ ニューヨーク間のノンストップフライトを中止した。当時はエアバスA340-500を使っていた。
エアバスA340-500は長距離路線向けの大型機として優れた航続距離と乗客数を誇る一方、1990年代の遺物とも言える機体で、豪華な4発エンジンは経済性に劣るものだった。
全席ビジネスクラスに変更したものの、路線を存続させるだけの収益を生むことはできなかった。
それから5年、事態は大きく変わった。シンガポール航空は新鋭機のエアバスA350-900ULRを7機手に入れた(ULRはウルトラ・ロング・レンジの頭文字)。
エアバスによると、カーボン複合材を使用したA350-900ULRの2基のロールス・ロイス製ターボファンエンジン「トレントXWB(Trent XWB)」は、最新の主翼とあいまって、前世代機と比較すると燃費を25%削減できる。
さらにエアバスはA350-900の燃料タンクを改良、6300ガロン(約2万4000リットル)の燃料の追加搭載を可能にし、A350-900ULRの最大1万1000マイル(約1万7700キロメートル)以上という航続距離を実現した。
我々は先日、ニューアーク・リバティー国際空港とシンガポールのチャンギ国際空港を結ぶ就航便、SQ21のビジネスクラスに搭乗した。
アジアで1週間を過ごし、今度はSQ22便のプレミアムエコノミーでアメリカに帰国した。世界最長フライト・パート2のスタートだ。
10月12日、シンガポール航空はニューアーク・リバティー国際空港とシンガポールのチャンギ国際空港を結ぶノンストップ・フライトSQ21便を再就航させた。
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1万6000キロのフライトは約18時間かかった。大変だったが、ビジネスクラスは快適だった。
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シンガポールで1週間を過ごした。SQ22便でニューヨークに変える時が来た。
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シンガポール航空SQ22便は深夜11時35分にチャンギ空港のターミナル3から出発。
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ゆとりをもって午後9時30分に空港に到着。チャンギ空港にはいつも圧倒される。清潔で整然としており、きらびやかで見るだけでも楽しい。
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端末でパスポートをスキャンし、搭乗券と荷物のタグを印刷。そして検査済みのバッグを預けた。行列はなく、スムーズ。
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パスポートのチェックを済ませた後、ショッピングエリアに向かった。しばらく免税店を見て回ったが、何も買わなかった。マオタイ酒は高すぎてまだ手が出せない。
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出発1時間前、搭乗口へ。保安検査場はほとんどの空港では施設の中央にあるが、チャンギ空港では搭乗口ごとにある。
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搭乗者は160人くらいだったので、手続きはスムーズに進んだ。
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空港の他の場所と同様、搭乗待合室はとても清潔。
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エアバスA350-900ULR。エアバスが納入したULRの初号機(9V-SGA)だ。
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ビジネスクラス67席、プレミアムエコノミー94席の全161席。シンガポール航空のスタンダードなA350-900よりも約90席少ない。
Singapore Airlines
いよいよ搭乗。
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笑顔で迎えられた。
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ビジネスクラスを通り過ぎ、客室後部の3分の1を占めるプレミアムエコノミーへ。
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プレミアムエコノミーのシートピッチはなんと96.5センチ。足元は通常のエコノミーよりも約15センチ以上、ゆとりがある。
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シート幅は約48センチ。座席の間は10センチくらい空いていた。
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リクライニングは最大20センチ、ふくらはぎを休めるカーフレストとフットレストもある。
Singapore Airlines
13.3インチの高解像度タッチスクリーン。シンガポール航空の機内エンターテインメント「クリスワールド(KrisWorld)」が利用できる。
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筆者の座席は幸運なことに31A、最前列の窓際。
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足元はまったく問題なし。
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ここなら、フライト中に立ち上がってストレッチする時も便利。
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搭乗は素早く完了。すぐに出発準備が整った。
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離陸! 搭乗予定時間は18時間25分。
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離陸後すぐに機内サービスが始まった。オレンジジュースとミックスナッツ。
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歯磨きセット、滑り止め靴下も受け取った。
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筆者の座席はプレミアムエコノミーの最前列だったため、スクリーンは中央のアームレストのすぐ前にあるコンパートメントに収められていた。パナソニック アビオニクスのeX3インフォテインメントシステムをベースにしたクリスワールドは、使い勝手がとてもよかった。レスポンスが早く、使い方は直感的に理解できた。シンガポール航空のアプリをスマホにダウンロードして同期すれば、パーソナライズが可能。
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クリスワールドはタッチスクリーンあるいは有線リモコンで操作する。たくさんのボタン。
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反対面はキーボード。
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クリスワールドは1000時間分以上の映画、テレビ番組、音楽、ポッドキャストを提供。この路線ではさらに200時間分のコンテンツが追加されていた。筆者は「ミスターインクレディブル2」を見ることにした。
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プレミアムエコノミーにもアクティブ・ノイズ・キャンセリング・ヘッドホンがあった。
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離陸1時間後、機内食のサービスが始まった。
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選択肢は3つ、魚のディルケッパーソースがけ、オリエンタルチキンライス、ローストカリフラワーステーキのタヒニガーリックソース。
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魚を選んだ。しっとりとして味付けもよく、この写真よりもずっとおいしかった。ブラウニーはうっとりするくらい。ビール、ワイン、カクテルもあったが、水とダイエットコーラを選んだ。筆者の経験では、アルコールよりも喉が乾きにくい。
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シンガポール航空のニューアーク ‐ シンガポール間のルートは3つ。太平洋北部を通るルート、大西洋を通るルート、そしてカナダを北上し、北極を通り過ぎてロシアと中国を南下するルート。
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風向きや天候に応じて最適なルートを選ぶ。我々がニューアークからシンガポールに向かう時は北極ルートだったが、帰りは太平洋ルートだった。
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夕食後、客室乗務員は乗客に水のボトルを配り、客室のライトを消した。就寝時間ということだろう。筆者はコメディの歴史に関するドキュメンタリーを見ていたが、眠ってしまった。5時間以上経ってから目が覚め、足のストレッチをして客室を歩いた。ほとんどの乗客はまだ眠っていた。トイレをチェックするために後方に向かった。
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A350のトイレは小さいが、ひどく窮屈というわけではない。
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予備の歯ブラシやクシがストックされていた。
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オードトワレ、ローション、フェイシャルミストがあった。
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マウスウォッシュはありがたかった。
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席に戻る途中、水をもらうためにギャレーに寄った。客室乗務員が軽食を勧めてくれた。サンドイッチ、チップス、クラッカー、ナッツとドライフルーツ、フルーツから選べる。
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ヒヨコ豆のマサラ、トマト、レタスのクロワッサンサンドを選んだ。あまり見たことのない組み合わせだが、おいしかった。
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朝だ。
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離陸から9時間、客室乗務員が軽食を配り始めた。
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チーズフォカッチャは温かくておいしかった。アガベ入りレモネードも楽しんだ。マンゴームースケーキは酸味が強く、私の好みには会わなかった。
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離陸から10時間、シートは飛行機の座席としては豪華なものだったが、次第に苦しくなってきた。
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そこで、最前列のゆったりとしたスペースを活用してストレッチをした。
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ルートと時間の関係で、外は夜から昼へ、そして再び夜へと変化した。
ルートとフライトのタイミングの関係で、飛行機の外は夜から昼へ、そして再び夜へと変化した。
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再び睡眠とテレビの時間。離陸から約13時間、客室乗務員が何度目かの軽食を持ってきてくれた。今回はダイエットコーラとチーズフレーバーのチップスを選んだ。
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離陸から15時間後の筆者。機内での体験にはまだ満足しているものの、そろそろ大地が恋しい。
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幸運なことに朝食の時間になった。メニューは、エッグキャセロール、焼き豚と野菜のエッグヌードル、リンゴのパンケーキ。筆者はエッグヌードルを選んだ。しっかりと調理されて香りもよく、焼き豚も野菜もとてもおいしかった。クロワッサンはバターの風味ゆたかでサクサク、甘いフルーツとヨーグルトで締めくくった。
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今回のフライトは、良い追い風に乗ることができた。スピードが時速約1100キロを超えることもあった。
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ニューヨークが見えた。
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メットライフ・スタジアム。
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4時45分、ニューアークに到着。予定よりも1時間15分早かった。
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最後にもう一度、シンガポール航空のエアバスA350-900ULRを眺めた。
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フライト時間は18時間25分の予定だったが、実際には17時間となった。それでも非常に長いフライトだったことに変わりはない。
行きのシンガポールへのフライトは何の問題もなかった。だがビジネスクラスだったからだ。率直に言うと、18時間ベッドでくつろぎながら、おいしい料理を楽しむことは、まったく不自由なことではない。
プレミアムエコノミーは違う。「エコノミー」と1文字しか変わらないシートで18時間過ごすと考えると、経験豊かな旅行者でも恐ろしくなるだろう。
だが幸いなことにシンガポール航空はプレミアムエコノミーにも力を入れた。広い足元とゆったりとリクライニングできることで、確かに違いが生まれた。
期待通り、サービスは完ぺきだった。機内エンターテイメントシステムには十分過ぎるほどのコンテンツがあり、飽きることはなかった。
ひと言で言うと、ぜひまた乗りたい。
[原文:I flew on the world's longest flight in premium economy — here's what the 18-hour voyage was like]
(翻訳:仲田文子、編集:増田隆幸)