ランウェイよりインフルエンサー、ZARAデザイナーの仕事術

ショーウィンドウを装飾しているZARA従業員。

ショーウィンドウを装飾しているZARA従業員。

Courtesy of Zara

  • ZARA親会社のインディテックスは、スペインのアルテイショにグローバル本社を構えている。そこでは300人を超えるデザイナーが働いている。
  • デザイナーはZARAのビジネスの中核。新しいスタイルを素早く生み出し、週2回、店舗に新しいアイテムを届ける。
  • ZARAのデザイナーがどのように仕事をしているのか聞いた。

スペイン北部にある広大なZARA本社の奥で、約300人のデザイナーたちは次の大きなファッショントレンドを見つけるために日々、ハードワークしている。

Business Insiderは2018年8月に本社を訪れた時、4人のデザイナーたちと会った。4人はiPadとトレンド予測の本を囲み、11月に販売を開始する年末コレクションの最後の準備をしていた。

年末コレクションの作業には4月から取り掛かっていた。イメージボードとスケッチから始まり、最後にはサプライヤーから生地を調達した。

デザイナーは同社のビジネスの中核、新しさとスピードを重視している。

ZARAは卓越したサプライチェーンと流通プロセスにより、新アイテムを素早く生み出し、世界2238店舗に週2回届けている。だが、グローバルでのファストファッションの激しい競争においてトップを保ち続けるために、新しいファッションを生み出しているのはデザイナーたちだ。

インフルエンサーのパワー

ZARAの配送センター

ZARAの配送センター。スペイン・アルテイショ。

Courtesy of Inditex

ファストファッション業界は、歴史的にランウェイの最先端ファッションを模倣し、似たようなアイテムを高級ブランドよりも低価格で提供してきた。

ZARAとフォーエバー21(Forever 21)は、デザインを盗用し、模倣品を販売していると批判され、過去に厳しい視線を浴びた。

今もランウェイはデザインプロセスの重要な要素だが、ZARAはショーをインスピレーションの場として残し続けているに過ぎない。

現在、デザインプロセスはランウェイを超え、ソーシャルメディア、特にインスタグラム(Instagram)に拡大している。

「パリとイタリアのショーに行き、本を見て、デザインの方向性を決める」と匿名を条件にあるデザイナーはBusiness Insiderに語った(ZARAは会社方針として、従業員がニュースに登場することを許していない)。

その後、デザイナーたちはソーシャルメディアをチェックし、新しいアイテムを発売するのに最も適したタイミングを決める。インスタグラムのインフルエンサーたちも1つの要因になっているとデザイナーは語った。

あるデザイナーは、インフルエンサーが特定のファッションを好んで着ていたら、そのファッションは流行する可能性が高いと語った。

「突然、誰もが同じアイテムを欲しがる。『昨年も販売していたが、最悪の売上だった』ということもある」

インスタグラムは、デザイナーにとってインスピレーションを得る巨大な場。

「今はスマートフォンをであらゆることが分かる。ニューヨーク、上海、東京で着られているものを一度に見ることができる。15年前には考えられなかったこと」と別のデザイナーは語った。

これは幸福でもあり災いでもあるとデザイナーたちは語った。デザイナーたちは今、すべての情報を分類し、どれが本当に流行るのかを見極めなければならない。

そのため、ZARAはあらゆる年齢層のデザイナーを雇っている。各デザイナーは自分が属する年齢層に何が売れるかについて個人的な見解を示す。

ZARAのアイテムは特定の顧客を想定して作られている。例えば、極めてシンプルな服を好む人、露出の高い服を好む人といった具合に。そして多くの場合、インフルエンサーからインスピレーションを得ている。

またZARAのeコマースサイトもデザインプロセスの一部となっている。デザイナーは顧客がオンラインで何を探しているのか、どんなトレンドを追っているのかを知ることができる。

「我々は常に自己修正している」

工場でコートを手直しする従業員

ZARAの工場でコートを手直ししている従業員。

Business Insider/Mary Hanbury

インディテックスのブランドはすべて、売れないものは変更するという考え方のもとに作られている。

「当社にヒエラルキーはない」とインディテックスのチーフ・コミュニケーション・オフィサー、Jesús Echeverría氏はBusiness Insiderに語った。

「我々は常に自己修正している」

そのためにデザイナーは各国のセールス・マネージャーと密接に連携し、売上データと顧客の声を確認して売れているアイテムとそうではないアイテムを見つけ出す。

そしてデザインを変更する必要があれば変更する。変わらないものは1つとしてない。流行りのトレンドがあれば、次のコレクションではそれを大々的に展開する。

「我々はあらゆる種類の顧客を持ち、顧客が望むものすべてを提供しなければならない」とあるデザイナーは語った。それはつまり、96カ国のマーケット1つ1つに対して、スタイルや品揃えを対応させることを意味する。

こうしたトライ&エラー・システムは、ZARAの卓越したサプライチェーンによってサポートされている。

デザインチームからわずか数メートルの場所にパタンナーが座わり、何列にも並んだミシンがさまざまなデザインや生地でプロトタイプを作る。

また、1つのアイテムを大量生産することもない。

「売り尽くしたら、それで終わり」とEcheverría氏は語った。

[原文:These are the tricks that Zara uses to figure out the styles you want before you even do

(翻訳:一柳優心、編集:増田隆幸)

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