株式投資をする人が市況が悪い時にやるべき2つのこと

今日は株式投資のコーナーです。

今回は皆さんから頂いた質問に回答しながら、マーケットの状況が悪い時に個別銘柄投資をする人がどのような行動をとるべきかという話をしたいと思います。

最初に一つ目のご質問です。

Q&A: 米国の株式市場の見通し、Amazon、アリババ、テンセントの見通し

1) 米国株式市場の見通しはいかがでしょうか?2) Amazon、アリババ、テンセントの見通しを教えてください。

二つの質問をいただきました。

一つ目のアメリカの株式市場の見通しに関してですが、最近株式市場で比較的大きな暴落がありました。

金利の上昇、原油価格の上昇、Amazonの最低賃金引き上げに伴う賃金インフラ懸念など、株価が下落するイベントが重なっています。

株価の下落

【参考】米国株式市場が急落するも、要因となった長期金利の上昇はひと段落! 今週の押し目買いの好機には、ドル高の影響が少ない小型化ハイテク株に妙味が!

市中金利と株式バリュエーションは、喩えて言えばシーソーのような関係があることが知られており、金利が上昇すると株価は下がります。

とあるように、今回株価が下がった大きな要因は、アメリカの金利上昇に連動していると考えるのが自然でしょう。

これから短期間で金利が下がっていくことは考えにくいので、株式市場としてはこれまでのような大きなアップサイドが見込めない展開になって行くのではないでしょうか。

二つ目の、Amazon、アリババ、テンセントがどのようになっていくか?という点ですが、3社とも順調に成長を続けている会社だと思います。

Amazon

Amazonに関しては業績という観点では、成長率も素晴らしい成長スピードも維持できているわけですが、個人的に一番心配しているのは政治リスクです。

というのは、Amazonは過去、会社の規模に対して法人税をあまり払わないように積極的な投資を行ってきたという経緯があり、トランプ政権との相性がとても良いようには見えません。最近は最低賃金を上げるなど、政治的な介入が行われないように次善の策を取っているようにも見えます。今後トランプ政権との間で摩擦が大きくならなければ、このまま順調に成長していくのではないでしょうか。

アリババ

アリババはこれまで成長率が非常に高いまま成長してきていますが、最近ではオフラインへの投資を大きく行っていることもあって利益率が低下しています。

このオフラインへの投資を売上の成長に転換することができれば、さらに盤石な地位を築くのではないでしょうか。

テンセント

テンセントに関しても売上・利益ともにこれまで高い成長率で推移してきていますが、アリババに比べると伸びしろという点で疑問符が付く可能性もあります。

WeChatがかなり多くの中国人ユーザーに行き届いてしまったので、次のWeChatクラスの大きなイノベーションをどのように作っていくのか、という点に注目していく必要があると思います。

マーケットの状況が悪い時に個別銘柄投資をする人がどのような行動をとるべきか

さて、今日は個別銘柄投資以外にもインデックス投資などで、より安全なリスクの小さいアセットクラスに資産の大半があるという前提でお話をします。

(繰り返しになりますが、よほど株式のプロでない限り、インデックス投資などの低リスク投資をせずに、個別銘柄投資だけをすることは絶対にお勧めしません。)

マーケットの状況が悪い時に、個別銘柄投資をしている人がどのような行動をとるべきか?という点に関しては大きく分けて2つあると思ってます。

はじめに、個別銘柄の株価が下落した際にマーケット全体の下落幅と比べて非常に大きく落ち込んでいるのか、それともマーケット全体の下落幅と同程度の落ち込みに止まっているかということを確認する必要があると思います。

もしも前者のようにマーケット全体の下落幅よりも大きく落ち込んでいるようであれば、その場で損切りすることも検討した方が良いでしょう。

やるべきことその1: 何もしない

株価グラフ

REUTERS/Lucas Jackson

個別銘柄の株価下落がマーケット全体の下落と同程度であれば、「何もしない」というオプションがロングタイムで見た時に一番利益が最大化される可能性が高いと思っています。

つまり、株価の下落が単純にマーケットの下落に引きずられているわけですから、個別銘柄に問題があったというよりはマーケット全体の問題なので、その場で焦って行動をせずにマーケットが回復するのをじっと我慢して待つのがより正しいと言えるでしょう。

なぜこのようなことを言っているのかと言うと、個別銘柄投資をする際の大前提として、「マーケットリスクと個別銘柄リスクをきちんと分離して考える必要がある」と考えているからです。

前提として、私自身がマーケットの浮き沈みを正しく理解できるほど自分の投資家としてのセンスを信用していないということがあります。一方で個別銘柄投資をした会社というのは、自分が成長すると信用している会社なわけです。

さらに言うと株式市場というのは、上げと下げを繰り返しながら長期間で見ると少しずつ右肩上で上がっていくというトレンドが明確にあります。

従ってマーケット全体という、自分がよくわからないものが原因で落ち込んでいるのであれば、自分の選定した個別銘柄を信用して待つのが(長期保有を前提にすれば)一番良いと考えています。

やるべきことその2: (今が下げ止まりだと思えば)買い増しをする

株式投資家のイメージ

REUTERS/Brendan McDermid

二つ目としては、もしも資金的に余裕があり、かつこのタイミングが下げ止まりのタイミングだと信じられるのであれば、さらに追加で投資をするというオプションもあります。

これは「マーケットの下落と個別銘柄の下落」という二つのタイミングを正しく推測する必要があるので、非常にリスクが高く素人にはお勧めできる戦略ではありません。しかし、投資の基本原則は安く買って高く売るという点に着きますので、今よりも下がらないという自信があるのであれば、マーケットが暴落しているタイミングというのは買い時だとも言えます。

これ以外にも質問を頂いているので、回答していきます。

Q&A: 実例:買い増しをした時の考え方

柴田さんが保有している個別銘柄を買い増しをしたことはありますか?もししたことがあれば、どんなタイミングで買い増しを決めたのか教えてください。

基本的には、あまり買い増しはしないのですが、マーケット全体が下落した場合など、買い増す場合は、明らかに割安だと思ったタイミングで買っている場合が多いです。

ただし、繰り返しになりますが、投資タイミングを正しく選定するのはプロの投資家でも相当難しいので、一番良いのは、マーケットの良し悪しに関わらず、一定の金額を同じ頻度で買い続けることだと思います。

Q&A: 企業はなぜ利益を出す必要があるのか

いつも拝読さしていただいています。決算資料からビジネスの仕組みが見えてくると言う本も大変面白く拝読させていただきました。Amazonはずっと利益より投資をする企業としてやってきました。

一方、同じECを行う楽天は年々着実に利益を上げています。企業は利益を上げると法人税が取れるので利益を出すよりむしろ投資に資金を回した方が良いと思われるんですが、企業が利益を上げようとするのは株主への対策なんでしょうか?

初めに誤解がないように書いておきますが、「Amazonが利益を出さない企業である」というのは文面上は正しいかもしれませんが、もう少し深く理解する必要があります。

Amazonの決算資料を見ると、「最も重要視するKPIは本業からのフリーキャッシュフロー」だと書いてあります。

つまり、Amazonとしては本業から生み出されるフリーキャッシュフローは非常に重視していて、本業のビジネスからはできるだけ多くの利益を、フリーキャッシュフローという形で生み出したいというわけです。

他方で、Amazonというのは本業から生み出したフリーキャッシュフローを大胆に投資をして、会計上の営業利益は限りなく小さくなるように投資をし続けているわけです。

従ってAmazonという会社を理解する際には、この二つの一見矛盾するように見える考え方をきちんと理解する必要があります。

ただ単に無防備に大きな投資をし続けているのではなく、しっかり本業でフリーキャッシュフローを作り出した上で、そのお金を再投資しているという点は誤解されやすいのでご注意ください。

楽天とAmazonの利益に対する考え方の違いですが、これは日本とアメリカの投資家の違いにも起因している可能性があります。

アメリカのテクノロジー系の会社は、上場しても配当を出さない会社がほとんどです。

ご質問にもありましたが、「株主への対策」と言うか、上場している企業の経営陣の役割というのは株主価値の最大化になりますので、楽天のようにしっかり利益を出して毎年配当をすると言う形での株主還元の方法もあれば、Amazonのように利益を出すのではなく、稼いだお金をどんどん再投資して会社そのものを大きくし株価が大きくなるという形での株主還元の方法もあります。

ご質問にあった「法人税を支払うより投資に回して利益を減らしても良いのではないか?」と言う点に関しては、こればかりは経営者のスタイルそのものなので、どちらが良いということはないと思います。現時点で利益を出すよりも、投資することで将来の利益(の現在価値)が大きくなるかどうか、というのが一番大きいと思いますし、それ以上に「利益に対するこだわり」というのは経営者の生い立ちなどによっても大きく異なりますので、甲乙つけがたいというのが個人的な印象です。

株主価値の最大化を考えた場合に、どちらが良い悪いというわけではないのですが、本業がきちんと利益を稼ぎ出せないと、配当も新規事業への投資もできませんので、企業が利益をあげようとするのは極めて自然な行為だと言えるでしょう。

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この「資産運用・株式投資」のコーナーは、原則として皆さんからの質問に回答していく形にしたいと思います。従って、ご質問の数によって今後の継続可否を決めたいと思いますので、ドシドシご質問ください。


シバタナオキ:SearchMan共同創業者。2009年、東京大学工学系研究科博士課程修了。楽天執行役員、東京大学工学系研究科助教、2009年からスタンフォード大学客員研究員。2011年にシリコンバレーでSearchManを創業。noteで「決算が読めるようになるノート」を連載中

決算が読めるようになるノートより転載(2018年11月6日公開の記事)

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