“オッサン”にならないために今日からできること 山口周×北野唯我【後編】

北野唯我さん(左)と山口周さん。

『転職の思考法』著者の北野唯我さん(左)と『劣化するオッサン社会の処方箋』の著者の山口周さん。

撮影:西山里緒

年齢に関係なく、古い価値観に凝り固まり、新しい価値観を受け入れられない「オッサン」たち。企業をはじめ、さまざまな組織にはびこる「オッサン」たちの中でミレニアル世代が生き抜くためには。

話題の本『劣化するオッサン社会の処方箋』の著者、山口周さんに、ミレニアル世代を代表してベストセラー『転職の思考法』著者の北野唯我さんが聞く「オッサン社会を生き抜く方法」。 後編はイベントに駆けつけた参加者たちからの質問に答えます。

Q1 「交差点」はどうやって見つければいい?

会場からも多くの質問が。

会場からも多くの質問が。

撮影:西山里緒

北野唯我さん(以下、北野):「得意なこととビジネスの結びつけ方がわかりません。山口さんの言う『交差点』はどうやって見つければいいですか?」とのことですが……。

山口周さん(以下、山口):あまり無理やり結びつけることはしなくてもいいと思います。人が本気で好きなものは必ずマーケットがある。得意なことも、そんなに得意でなくてもいい。仕事で給料がもらえている時点で、その仕事のプロとして十分やれているということなので。

僕が人からやってみたらと言われて、なるほどと思ったのが、人生の中で本当に楽しかったことや好きなことを横に3つ並べて、仕事で比較的他人より上手にできるなということを縦に3つ並べてみること。その9つの交わるところで何かやってみるとしたらと考えていくのもいいかなと思います。

Q2 オッサンとバトルになったことは?オッサンたちの嫉妬を避けて、組織で早く上にいくには?

北野:すごい切実な質問がきてますけど(笑)

山口:バトルになることはあるんですけども、中長期的に見てそこの組織にいることがまだ自分にとって得だと思うのであれば、政治を利用した方がいい。つまり、自分と敵対しているオッサンをやり込められるような、もっと権力のあるオッサンを取り入れていく。(上を)取り込むのはそんなに難しくなくて、基本的に上から気に入られるには「アドバイスを求める」「質問をする」という2つのことをすればいい。

北野:中にはその大ボスと仲良くすることを快く思わないオッサンもいます。「お前、俺を飛ばして」みたいな。そういう人がいたらどうしたらいいですか?

山口:上との関係性次第かなとは思います。大ボスに自分がけっこう可愛がられているなと思えば無視しておけばいい。でも結局権力のないオッサンは何もできないので、聞き流しておけばいいんです。

Q3 子どもたちの教育で大切だと思うことは何ですか?

山口:いろいろなことを体験させてあげることかなと。僕も(キャリア)5打席目でバットに当たったと言いましたけど、結局打席に立ったから得意な性分が分かったのであって、子どもも同じだと思うんです。

子育て

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北野:他の家庭とは違う、山口家特有の子育てルールなどは?より自由にさせているとか。

山口:まあ、自由ですよね。あとは子どもを下に見ていないところですかね。預かっている感じ。人格として全く同等だと思って尊重しているし、彼らから随分教えられる側面もあるので、人間としてフラットな関係というのはちょっと他の家庭とは違うかもしれないです。

Q4 オッサンを生まない教育のあり方とは?

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山口さんが、子どもに見せたい映画は?

撮影:西山里緒

山口:やっぱりオッサンってある種の美意識に関わる問題だと思うんですよね。美学や哲学といったリーダー教育みたいなのは大事なんじゃないのかなと思うし、基本的に「みっともないことはしなさんな」ということかなと思います。

北野:もし、山口さんが学校の校長先生だったら、どんな授業をしますか?

山口:それが一番難しい。

北野:(笑)。やっぱりリベラル・アーツ的なことですか?小学校、中学校、高校、大学だと、どこが一番インパクトあると思います?

山口:中学かな。

北野:授業を変えるなら、何を変えますか?

山口:うーん。映画をたくさん見せちゃうとか。感性を養う方が大事かなという気がしますね。英語や数学はやる気になれば、高校、大学でいくらでもリカバーできちゃう。人生って面白いと思ってもらう方が勉強するモチベーションになると思うので。「世の中に出る」「生きる」っていうことと「学び」がどうつながっているのかという構造を体感してもらうことの方が大事なんじゃないかなと思います。

北野:ちなみに、映画を見せるとしたら、何を見せますか?

山口:「ショーシャンクの空に」。

北野:やっぱり!僕もそうかなと思いました(笑)

Q5 物事が上手くいっている時ほどアクセルを踏んでしまいますが、次の一手を考えていますか?

北野唯我さん

インプットとアウトプットの時間はゼロサム。

撮影:西山里緒

山口:北野さんも同じだと思うんですけど、僕は「消費される」っていう感覚がある。よく若い子に言っているんですけど、特に若くして脚光を浴びた人っていうのはその後難しくなるケースがあるんですね。

インプットのための時間とアウトプットのための時間ってゼロサムなんですよ。1日24時間しかないので、アウトプットの時間を増やしたらインプットの時間を減らさないといけない。でも活躍すると、アウトプットの値段がどんどん上がって、アウトプットの時間を増やすことになるんだけど、インプットの時間が減るので、どこかで出がらしみたいになっちゃう。

だから、アウトプットの時間が高くなった時ほど、そこはものすごく勇気を出して、絞るということをしてほしい。評価されたり、物事が上手くいったりしている時こそ、自分でピークオフを作って次のフェーズへ行くということはやらないといけないなと思います。

北野:事業と一緒ですよね。プロダクトを作る時のフェーズとマーケティングをする時のフェーズって明確に交互になっているなと思っています。僕にとっては、プロダクトを作る時というのは自分のコンテンツを貯める、レベルを上げるための時間で、マーケティングは認知とかブランドを作る時間です。

僕は1年前までKENというペンネームで活動していて、名前は出したくないなと思っていました。だけど、ある時、このままいっても世の中にインパクトを残せないし、本当に自分がやりたいことも達成できないなと思って、本名を出したんですよ。名前を出すことで認知されるからこそできることや、次のフェーズに行けることがある。

Q6 オッサンにならないために意識していることは?

山口周さん

学ぶことを楽しむことが重要、と山口さん。。

山口:一種の謙虚さだと思うんですよね。一本筋の通った謙虚さっていうのはなかなか難しいですけどね。人を年齢で判断しなければ、基本オッサンにならないと思います。 日本の場合、博士課程って3年なんですよ。3年勉強すれば、それを専門にできる。例えば60歳の定年後でも100歳までには、3年の博士過程を10回はいけちゃうんですよ。みなさん自己イメージがあって、あれもできない、これもできないって思っているけど、時間をかけると大概のことはできるようになっちゃうんです。蓄積が力になる。

北野:それには学ぶことが楽しいという前提がある気がしていて、オッサンは学ぶことが楽しく思えていない人だと思うんです。「学ぶことが楽しい」と思える第一歩っていうのは何なんでしょう?

山口:読み解きができることが楽しくなることのコツだと思います。わかればわかるほど、次にわかりたいことが出てくる。面白くなればなるほど、ますます面白くなっちゃう。最初は我慢して、名著・定番と呼ばれるものを読むなどして一定のリテラシーを身につけることは必要かなという気はしますね。

Q7 理想の上司とは?

山口:自分の能力を最大限に引き出してくれた人。はっきり言ってきつかったですけど、結果的にはその人のおかげで能力は随分上がりましたね。

上司

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北野:僕が人生の中で最大のROI(投資利益率)を持つものの一つって、覚悟を持つことだと思っていて。スキルとかって足し算だと思うんですけど、覚悟が決まったら掛け算くらいで一気にバーっとできるようになる。その覚悟を引き出してくれる人っていうのが、能力という側面でいうと一番持つべき上司なのかなと思います。

Q8 自分が立てた意味が間違っているかもしれない場合、どうすれば早く気づき、再設定できるのか?

山口:微妙な違和感に対する感度が大事。何かしっくりこない感じって必ずあると思うんです。その違和感を無視して乱暴に推し進めていくと、どこかで大きな歪みが一気に出ちゃって人生の大震災みたいになってしまいます。

北野:山口さんが感じる微妙な違和感っていうのは例えば?

山口:ワクワクしない、ドキドキしないっていうのは大事なインデックスだと思います。何かが狂っている。

北野:以前「天職」の話をいろんな人に聞いたことがあるんですけど、みなさん何かしら心体的な感覚と結びついていたりするんですよね。例えば、文章を書くことが天職の人って、呼吸をするように文章を書いているって言うんですよ。そういう、心体というものが変化することが天職と紐づいていると思っていて、「ワクワクする」「ドキドキする」っていう感覚はそれにも似ているなと思います。

(文・岩本恵美)

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