新型iPad Pro 12.9実機レビュー:触れてわかる「大きな進化」と「価格の納得度」を探る

新型12.9インチiPad Pro

12.9インチの新型iPad Proは、従来型と比べて画面サイズはそのままにコンパクトなサイズに仕上がっている。

  • キーボードカバーは重くなったが、打鍵音はやや小さくなった
  • ペンは充電方法を中心に使い勝手がかなり向上している
  • カメラ機能はiPhone XSなどで採用された「スマートHDR撮影」に対応

11インチと12.9インチの新型「iPad Pro」が、11月7日に発売された。iPad Proは脱着可能なキーボードカバーやスタイラスペンの純正品がある。各種アプリが充実していることもあり、ビジネスの場でも活躍するツールという側面もある。

筆者は旧12.9インチ(第2世代)iPadユーザーでもあるので、新型が果たしてどこまで変わり、どこが優れているのか、「買い替え検討目線」でチェックしてみた。

アクセサリーを合わせると重さはあまり変わらない

iPad Pro 12.9インチモデル比較

写真手前が新型の12.9インチiPad Pro、奥が第2世代の 12.9インチiPad Pro。

現在、自分の使い方は大きく分けて以下の3つだ。

  • キーボードで文字を打ってメモを取る
  • ペンを使って図版のラフを描く
  • 本体のカメラで撮影し、そのままSNSにアップする

大前提として、自分がこれらの作業を日頃からiPad Proでやっているのは、この作業に十分な性能のハードウェア(12.9インチのiPad Pro)があり、タブレットに最適化されたアプリと、LTEでの常時接続機能、ある程度の携帯性がバランス良く両立しているからだ。

新型iPad Pro

新型iPad Pro、キーボードカバーとペンを合わせた重量は1055g(実測値)。

第2世代iPad Pro

第2世代iPad Pro、キーボードカバーとペンを合わせた重量は1056g(実測値)。

ちなみに、携帯性という観点から言うと、本体+ペン+キーボードカバーを合わせた状態では、12.9インチのセルラーモデルの場合、新旧の合計重量の実測値を見てみると、ほぼ差がない。

本体はセルラーモデルの場合、第2世代が692g、新型(第3世代)が633gとなっており、公称値で約59g、軽量化している。この差は、実際に手に持ってもわかるレベルの「軽さ」だ。

ではこの差がどこで吸収されているのかと言えば、Smart Keyboard(新型は「Smart Keyboard Folio」)だ。新型では、重量が338gから408gへ(いずれも実測値)と重くなっているのが主な原因だ。

そのため、純正アクセサリーと常に一緒に使うのであれば「思ったより軽くなっていないな」と感じるはずだ。

キーボードは静音性と「磁力」が増した

キーボード

打った感覚はあまり変わらないが、打鍵音はやや小さくなった。

純正キーボードカバーは、新型iPad Proの登場に合わせて、Smart KeyboardからSmart Keyboard Folioに生まれ変わった。日本語のキー配列などはそのまま同じだが、本体背面の保護とスタンドとして利用する際、2段階の傾きを選べるようになった。

実際に文字を打ってみると、打ち心地はほとんど変わらないが、打鍵音がやや静かになっているように感じた。

もちろん従来のモデルでも静かに打とうとすればできるのだが、Smart Keyboard Folioであればそんな気を回す必要はない。重量が増して少し残念に思っていたが、その分安定感が増した、ということかもしれない。

カバーの必要性

余談になるが、新型の12.9インチiPad Proの背面カメラは、第2世代機以上に出っ張っている。Smart Keyboard Folioやキーボードなしの「Smart Folio」で保護する必要をかなり感じた。

気になった点としては、良くも悪くも、スタンドとして利用する際の磁力の強さが「かなり強い」という点だ。

旧型では片手で持って強く振ると、本体とカバーが外れてしまうが、Folioではそんなことは一切ない。むしろ、傾きを調整しようと思っても両手じゃないと外れないぐらい磁力が強い。このあたりは「安心」と感じるか「不便」と感じるかはキーボードの傾き調整をする頻度による。

編集部の中には、旧型では「不安定な環境で椅子に座ってタイピングしていると、不意にキーボードと本体(iPad)が分解した(10.5インチモデル)」という声もあるので、磁力強化を好ましく受け止めている人もいる。

ペンのためだけでも買い換えたくなる

iPad Pro

愛用しているEvernoteアプリの手書き機能で、ペンの使い勝手を試してみた。

続いてはペンだ。個人的には「新しいApple Pencilが使えるだけで、新型に買い換えてもいい」と思えるレベルに、使い勝手がよくなっている。

従来のiPad ProとApple Pencil

第2世代のiPad Proまでではこのように不格好な充電方法になっていた。

一番の進化点はやはり充電の仕組みだ。従来のApple Pencilでは、頭のキャップを外し、iPad ProのLightningソケットに直角に挿すことで充電していた。率直に言えば、この仕組みは、本当にイケてなかった。Apple Pencil自体が長いので持ち回しが悪くなるし、外したキャップをなくしやすいからだ。

その点で、第2世代Apple Pencilは改良が進んでいる。充電はiPad Proの右側面(キーボード使用時は画面の上側)に磁石で付けるだけになった。それに伴い充電端子のキャップも廃止された。

また小さな点ではあるがペンの形状が、完全な円柱ではなくなった点も好ましい。第1世代のApple Pencilは机などに置いた際、コロコロと転がってしまうのも難点だったからだ。

ちなみに、新しい無接点充電の規格はアップル独自のもののようだ。市販されているQi準拠のワイヤレス充電パッドに置いても充電できなかった(Qi機器として認識されない)。

新しいApple Pencilの充電方法

新しいApple Pencilでは磁石でくっつけるだけで充電とペアリングが行える。

肝心のペンの書き心地に関しては、ほんの少し摩擦が増したように思えたが、自分のように簡単なラフスケッチしか描かないのであれば、実用上はあまり違いを感じない。ただ、ペンの長さが短くなったので、ペンの頭にかかる遠心力がやや弱くなり、円形が描きやすくなるなど、使い心地は良好だった。

カメラはXSなどと同じ「スマートHDR」対応

カメラ比較

写真左が新型iPad Pro、右が第2世代iPad Proの背面カメラ。

最後にカメラ機能だ。一般的な傾向として、タブレットのカメラはスマートフォンのものほど性能がよくない。しかし、iPad Proシリーズは第2世代で「iPhone 7」並みの1200万画素背面カメラを採用しており、かなり力を入れている印象がある。

自分は取材現場でiPad Proを使って写真を撮り、そのままSmart Keyboardで文字を入力してライブツイートする、という作業をよくするため、カメラの画質は重要だ。

記者のような職業でなくとも、タブレットで板書を撮影してメモ代わりにしたり、日常を撮って何かデザインの素材にしたり、大画面でARコンテンツを楽しみたい、のであればここは重視しておきたいポイントだろう。

新型iPad Proカメラ作例

新型iPad Proで撮影(タップすると実ファイルを表示)。

第2世代iPad Proカメラ作例

第2世代iPad Proで撮影(タップすると実ファイルを表示)。

第2世代と新型で実際に撮り比べてみると、どちらも同じ1200万画素で、画質的に劇的な違いは見られないが、夜景などは光源部の白飛びが少ないように思えた。

これは、新型iPad Proが「iPhone XS」や「iPhone XR」などと同じ「スマートHDR」をサポートしたためだ。この機能は背面デュアルレンズ搭載のXSだけではなく、シングルレンズのXRも搭載していることから、チップセットが「A10X Fusion」から「A12X Bionic」へと変わったことが大きいようだ。

新型12.9インチは「大きすぎる」か?

新型iPad Pro

新型iPad Proの魅力は画面の没入感だけではなかった。

というように、新型iPad Proはキーボード、ペン、カメラのそれぞれの要素において、大なり小なり着実に進化を遂げている。第2世代のiPad Proユーザーとしては、値段的に「即買い替えが必要なレベル」とは言い切れないが、前述のようにペンの使い勝手とカメラ画質の向上は、かなり迷うポイントだと言える。

アクセサリーを含めた重量は変わらないとはいえ、今回の新型12.9インチiPad Proはサイズが小さくなり、「大きすぎるから」という理由で10.5インチiPad Proを選んで買っていた編集部員からも好評だった。

Geekbench 4

Geekbench 4の計測結果。1TBモデルはメモリー容量も約6GBと、ノートPCのようなスペックだ。

ただし、iPad Proは「絶対に買い」と言い切るには、値段の高さが目立つ。新しい12.9インチiPad Proは本体だけでも11万1800円(税別、64GB・Wi-Fi版)。12.9インチiPad Pro用Smart Keyboard Folio(税別2万2800円)とApple Pencil(第2世代、税別1万4500円)を加えると14万9100円(税別)にもなる。

ちなみに、同タイミングで発表・発売された新型「MacBook Air」の最小構成が13万4800円(税別)となっており、15万円弱というiPad Proの価格の高さがわかる。

もちろん、MacBook Airにはペン機能もLTE接続も背面カメラも搭載されていない。これらの機能をフルに活用してビジネスやクリエイティブな仕事を効率化したいのであれば、iPad Proの購入を検討する価値は大いにある。

(文、撮影・小林優多郎)

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