Fortnite/Epic Games
- JPモルガン・チェース(JP Morgan Chase)の共同社長ゴードン・スミス(Gordon Smith)氏は、テクノロジー人材の確保には全く問題がないと語った。
- スミス氏は、同社が採用した数多くのソフトウエア開発者は、ビデオゲーム業界の出身だと言う。
- JPモルガンはどうやってプログラマーにモバイル・バンキングのためにゲームを捨てさせたのだろうか? 「実際、とても簡単なことだ」とスミス氏は言う。
- 同氏によると、その魅力の1つは、数千万の人々に影響を与えるプロジェクトに携われることだと言う。
アメリカでは、優秀な人材を求める金融街とシリコンバレーのスタートアップやグーグル(Google)、アマゾン(Amazon)、フェイスブック(Facebook)といった大手テック企業との競争が激しさを増している。
だが、JPモルガン・チェースは、同社が必要とするエンジニアや開発者の採用について、全く苦労していないと言う。
同社の共同社長ゴードン・スミス氏は6日(現地時間)、ある金融カンファレンスで「正直なところ、こうした人材を引きつけるのに全く問題はない。実際、とてもエキサイティングだ」と語った。
スミス氏は、4年前には同社にモバイルもしくはデジタル開発者はまずいなかったが、今では約1500人いると言う —— 彼らは主に、ハドソン・ヤードにある同社のテックハブの外で働いている。
そして、同氏が話をした数多くの開発者たちが、JPモルガンに入るためにビデオゲームの開発というキャリアを捨ててきたと明かした。
『フォートナイト(Fortnite)』のような大ヒットゲームのために働く魅力的な仕事から、JPモルガンはどうやって技術者たちをモバイル・バンキングの世界へと引っ張ってきたのだろうか?
「実際、とても簡単なことだ」と、スミス氏はカンファレンスで、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(Bank of America Merrill Lynch)のエクイティリサーチの責任者エリカ・ナジャリアン(Erika Najarian)氏に語った。
ハドソン・ヤードのオフィスに加え、JPモルガンは9月、カリフォルニア州パロアルトに1000人の従業員が働くフィンテックのオフィスを新たに作ると発表している。
2人のやりとりは次のとおり:
スミス氏:ぼくはしばしばやるんだけど、開発者の何人かと話していたときに「どこから来たんだい? 」と尋ねたら、彼らはゲーム業界から来たと言うんだ。ギャンブルではないよ、ゲーム業界だ。
ナジャリアン氏:ええ、フォートナイトね。
スミス氏:そう。それで、JPモルガン・チェースのどこがゲーム業界よりも魅力的だったの? と聞いたら、彼らは「とてもエキサイティングだ。JPモルガンで何かやれば、3000万、4000万、5000万という顧客に影響を与えられる」と言うんだ。友達にも自慢できるし、「この部分は自分がやった」と言えるからね。というわけで、ぼくたちは人材を引き付け、彼らを雇うことに大成功しているんだ。
これは、バンク・オブ・アメリカがテクノロジー人材の採用に使う口説き文句と似ている。
JPモルガンは以前、Business Insiderに対し、同社はテクノロジーに108億ドル(約1兆2300億円)を投資し、5万人の技術者を雇用すると語り、銀行の未来のために「Digital Everything」の戦略を推し進めている。
ビジョンの実現に必要な人材は、安くはない。スミス氏は、同社が年収3万ドル前後のコールセンターの仕事を減らす一方で、年収10万~15万ドル前後の「デジタル・デザイナー、ソフトウエア・プログラマー、ソフトウエア・エンジニア、人工知能(AI)を専門とする博士号取得者」の採用を増やしていると述べた。
スミス氏の考えでは、前者の費用はシンプルに既存の顧客サービスを維持するためのもので、後者は未来の増収にかけるものだ。
「ソフトウエア開発者やAIエンジニアなどに費用を移しているのは、彼らは皆、未来を作っているからだ。彼らは会社の中長期的な成長を加速させている」と、スミス氏は言う。
(翻訳、編集:山口佳美)