海外メディアも注目する ドコモ「世界最薄ケータイ」実機レビュー ── 「名刺サイズ」はどこまで使える?

カードケータイ

NTTドコモの新モデル「カードケータイ KY-01L 」(メーカー:京セラ)が、11月下旬についに発売となる。そのコンパクトさは名刺入れに名刺と一緒に入ってしまうほどだ。

  • 名刺と同じサイズ。中身が入ってるのか不思議なほどの重さ
  • 通話とテザリング機能は非常に実用的
  • バッテリーもちなどが不安だが、2台持ちや法人用途にオススメ

NTTドコモの2018年秋冬モデルの内、最も衝撃的な製品はなんといっても世界最薄・最軽量の4Gケータイ「カードケータイ KY-01L」だ。大きさはほぼ名刺サイズ、LTEに接続して通話や通信ができる携帯電話になっている。

この衝撃は海を越えて、米Business Insiderを含む海外メディアも取り上げている。

カードケータイの発売日は記事執筆時点で11月下旬。価格はドコモ直販サイトの一括購入価格で3万1752円。まもなく発売となるが、果たして今までにない形状のこの携帯電話はどこまで使えるケータイなのか? 実機で確認してみた。

本当にケータイ?と疑いたくなるコンパクトさ

カードケータイ KY-01L

あまりの小ささのため、定規を当ててみた。

カードケータイの魅力はなんといってもそのコンパクトさだ。

大きさは幅55mm、高さ91mm、厚さ5.3mm。正面の面積は日本で一般的な名刺サイズの4号(55×91mm)と同じだ。重量は約47gと軽く、本当にこれが携帯電話なのかと疑いたくなる。

そして、ディスプレーはアマゾンのKindleなどといった電子書籍端末と同じ「電子ペーパー」を採用している。

カードケータイ KY-01L 大きさ比較

写真左から「iPhone XS Max」、カードケータイ KY-01L 。大画面化が進むスマートフォンだが、小型の端末を久々に見るとどこかホッとするような感覚がある。

電子ペーパーの最大の特徴は省電力性の高さだ。例えば、液晶では画面をオフにしない限りバッテリーを消費するが、電子ペーパーでは画面の書き換え時のみ電力を消費するため、液晶などと比べると消費電力は格段に低い。

電子ペーパーを採用する分、表示はモノクロに限定されているが、本機は「ケータイ電話+α」程度の機能のみを搭載しているため、実際の利用で電子ペーパーが原因で不便になるシーンは少ない。

使える機能は「通話+α」程度

カードケータイ KY-01L

カードケータイのメイン用途はあくまでも通話。

では、そんな超薄型軽量のカードケータイはどんな機能が搭載されているのか。大きくまとめると以下のとおりだ。

  • 通話(VoLTEにも対応)
  • SMS送受信
  • カレンダー
  • 時計(アラーム、世界時計、タイマー、ストップウォッチ)
  • 電卓
  • 簡易ブラウザー
  • メモ
  • テザリング(Wi-FiおよびBluetooth)

カードケータイのVoLTE対応

カードケータイは小柄ながら高音質通話・VoLTEに対応している。

カードケータイで最も利用する機能は、やはり通話だろう。通話はドコモの高音質通話・VoLTE(ヴォルテ)に対応しており、対応する端末とSIM同士であれば、かなりクリアーな音質で通話できる。

カードケータイで通話

耳に当てても当然マイクは口元には届かないわけだが、集音能力はまったく問題ないレベル。

本機は非常にコンパクトなので、きちんと自分の声を集音するか不安だったが、実際に試してみると、(当たり前だが)本体を耳に当てた状態で話しても問題なく相手に声が伝わっていた。

ちなみに、発話する場合は連絡先機能を使う場合が多いだろうが、連絡先は端末上で登録できるほか、SIMカードの保存領域経由もしくはスマートフォンなどとBluetoothで接続することで既存の連絡先を引き継げる。本機はmicroSDカード非対応となっている点は注意が必要だ。

ウェブブラウザーは緊急時用?

カードケータイでブラウザー

カードケータイはデータ通信もサポートしているため、ウェブブラウザーが利用できる。試しにBusiness Insider Japanのトップにアクセスしたところスマートフォン向けのページが表示された。

次に気になる機能はやはり「簡易ブラウザー」だろう。頭に“簡易”と付けたのにはブラウザー自体の機能に制限があるからだが、そもそも電子ペーパーを利用しているため、スマートフォンのようななめらかな表示もできない。

ブラウザーの表示

カードケータイのブラウザーを表示し、スクロールしてみた。

実機の動作を確認すると、画面全体が操作によって常に表示が変わるため、電子ペーパーとの相性が悪い。スクロール時はやや遅延が発生し、表示がうまくいっても写真などはモノクロだ。

試しにウェブ版YouTubeにもアクセスしてみると、ブラウザーが非対応と表示されてしまい動画の再生はできなかった。

機能の面白さはともかくとして、実用性は低いので、“もしもの時用”程度に考えておくといいかもしれない。

テザリングはちゃんと“使える”機能

カードケータイでテザリング

最大通信速度は最新のスマートフォンと比べると遅いものの、テザリング機能が利用できる。

意外かもしれないが、実用的な実装になっているのはテザリング機能だ。テザリング機能は一般的なスマートフォンなどと同じ仕様で、PCやタブレットをWi-FiやBluetooth経由でインターネットに接続できる。

カードケータイの受信時速度は最大100Mbpsと、最新機種級(844Mbpsなど)の性能ではないが、十分実用にはなる。ただ、ストリーミングの動画視聴をするにはやや遅く感じることもあった。Twitterやニュースサイトが見たいといったレベルの使用であれば問題ない。

弱点は「拡張性」と「バッテリー駆動時間」

カードケータイをMacに接続

Macにカードケータイを接続するとAndroid端末として認識し、ファイルの転送は可能だが、本体側でファイルを表示する機能がないため意味がない。

一方、本機の弱点は「拡張性のなさ」と「バッテリーもち」の2点だ。

拡張性のなさは、この端末がフィーチャーフォンという括りでもわかるとおり、スマートフォンのようなアプリによる機能追加の仕組みを持っていない点だ。

ちなみに、カードケータイとMacBook Airを接続したところ、普段Androidスマートフォンにデータを転送するときに使用する「Android File Transfer」が起動した。そのため、本機のベースOSはAndroidだと思われる。ただ、かなりカスタマイズが加えられており、Google Playへのアクセスも、開発者向け機能も有効にできなかった。

試しにAndroid File Transferでファイルを転送しようとしたが、ファイル管理のアプリがユーザーが実行できる場所にないので、「表示したい写真やPDF文章を呼び出す」ということもできない。

カードケータイの薄さ

名刺サイズ&薄さ5.3mmのボディーを実現すると、当然バッテリー容量が犠牲になる。

もう1点のバッテリーのもちだが、NTTドコモによるとカードケータイの連続待受時間はLTE・3Gともに約100時間。2016年1月発売の同社のフィーチャーフォン「AQUOS ケータイ SH-01J」の場合、LTE環境下の連続待受時間が約610時間となっているので、「フィーチャーフォン特有のバッテリーもち」を期待するのは厳しい。

カードケータイのバッテリーは380mAh。前述のSH-01Jが1800mAhなので、4倍以上もの違いがある。3G限定にすればより駆動時間は長くなるだろうが、通信速度やVoLTEの高音質通話を実現するには4Gへの対応が必須だったのだと思われる。

個人の2台持ち端末や会社ケータイとしてオススメ

カードケータイ

編集部の女性部員にもカードケータイを持ってもらったところ、やはり小ささが好評だった。

良くも悪くも、メインで使う端末ではなく、「スマホ以外にもう1台持ち歩く端末」というのが、このカードケータイの立ち位置だ。持ち歩きに関しては、これほど小さくて、そこそこバッテリーが持つ端末は少ない。

ドコモ料金シミュレーション

NTTドコモの料金シミュレーションで、カードケータイとdTabで2台持ちの料金を計算してみたところ。

出典:NTTドコモ

通信料金は、NTTドコモでタブレットとの2台持ちをした場合、カードケータイ側に通話し放題のプランを付与しても2台分で毎月約5200円〜となる(税込、端末代は除く)。

ちなみに、毎月1620円(税込)の割引が受けられるdocomo withでスマートフォンを1台、同じ通話&データプランで契約すると毎月4752円となる。docomo withの場合、2台持ちにしても、スマートフォン1台での契約+500円ほどで使えるというのは、お手ごろ感はある。

カードケータイの背面

カードケータイにはカメラが存在しない。

また、個人よりも法人ユーザーの受けもよさそうだ。

拡張性が少ないことはユーザーとしては微妙だが、会社としては社員に好き勝手されない管理しやすい端末とも言える。また本機はカメラ機能がないため、カメラの持ち込みを制限する工場や機密情報を多く扱う場所にも導入できる可能性は高い。

国内外のニュースサイトでも取り上げられ、外観や機能的にガジェット好き向けのものに見えるカードケータイだが、その実、2台持ちや法人ユーザーに対してアプローチできる堅実な端末だった、というのが使ってみた筆者の感想だ。

(文、撮影・小林優多郎)

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