アメリカ人が銃で命を落とす確率は? 驚きのデータが明らかに

アメリカ国旗と銃

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  • 11月7日(現地時間)夜、カリフォルニア州サウザンドオークスの飲食店で銃を持った男が発砲。12人が死亡、15人が負傷した。
  • 最新データによると2015年、アメリカでは1万3000人近くが銃による暴力の犠牲になった。この数に自殺は含まれていない。
  • アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のデータでも、はアメリカ人の死因の上位となっている。
  • アメリカでは、およそ20年にわたって連邦法により銃犯罪についての公的調査が制限されてきたが、3月、制限を緩和する条項が発効した。

現地時間11月7日午後11時20分、カリフォルニア州サウザンドオークスにある飲食店「ボーダライン・バー&グリル」に、銃を持った男が押し入り発砲した

容疑者の元海兵隊員イアン・デーヴィッド・ロングは翌8日未明まで発砲を続け、12人を殺害、15人を負傷させた後、自殺した。

今回の銃乱射事件は、近年アメリカで起きた事件としては、死者数が15番目に多いものとなった。アメリカでは、銃による犠牲の数が増え続けている。

この事件の前にも銃乱射事件は起きていた。10月にはペンシルベニア州ピッツバーグのユダヤ教会堂「ツリー・オブ・ライフ(Tree of Life)」で11人が亡くなり、2月にはフロリダ州にあるマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で17人が死亡した

今回の事件はまた、死者58人、負傷者850人と、近年のアメリカでは史上最悪とされるラスベガスの銃乱射事件から1年強というタイミングで起きた。偶然にも、ラスベガスの銃撃事件の生存者数十人が今回の事件現場となった飲食店に居合わせ、その中からも犠牲者が出た

2018年、数百万人が銃による暴力に反対するデモ行進に参加した。また、これまで米疾病予防管理センター(CDC)は、銃暴力に関する調査を連邦法によって制限されてきたが、議会は2018年3月、およそ20年前に定められたこの制限を緩和した

以下の表は、平均的なアメリカ人が銃で命を落とす確率を割り出し、他の死因と比較したものだ(赤でマーキングしたものが銃関連の死因。銃による自殺や事故死は含まれていない)。

銃による暴力はアメリカ人の死因の上位となっている

アメリカ人の死因うち、最も多いのは心臓病、6人に1人が亡くなっている。

アメリカ人の死因リスト

注:多くの数値は、2015年の死亡、人口、平均余命データに基づいて計算された。ここでは、銃撃により4人以上の死傷者が出た事件で亡くなった人を銃乱射事件の犠牲者とした。テロによる死亡の確率は、41年間(1975年〜2015年)の平均に基づいたもの。

Skye Gould/Business Insider

そして、約315人に1人が銃撃(Assault by gun)の犠牲者となっている。これは毎年、約1万3000人が銃撃の犠牲者となっていることを意味する。

また銃乱射事件(Mass shooting)の犠牲者となる確率はその約35分の1、1万1125人に1人の確率となった。

つまり、銃撃の犠牲者になる確率は、車やトラックなどに乗って死亡する確率(491人に1人)よりも50%以上高い。また、ハリケーン、竜巻、地震、洪水、落雷などの自然災害で死亡する確率の10倍。

銃撃と銃乱射事件を足すとその確率は、溺死(1133人に1人)、火災や煙による窒息死(1579人に1人)、飛行機や船舶での事故(2499人に1人)、刺殺(2517人に1人)、自然災害(2586人に1人)、食べ物による窒息死(3461人に1人)などをすべて足した確率よりも高くなる。

サウザンドオークスでの銃乱射事件

サウザンドオークスでの銃乱射事件。現場の近くで体を寄せ合う生存者たち。

Mark J. Terrill/AP

上の表は、犠牲者の生活習慣、年齢、性別、住所など、データに影響を与え得る要因を考慮していない。あくまで全アメリカ人の平均値。

だが、銃がアメリカ人の大きな死因となっていることを明確に示した。CDCも、全米人口動態統計の中で同様の指摘をしている。

アメリカで銃暴力に関する調査研究が少ない理由とは

アメリカ国旗と銃

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銃による暴力はアメリカ人の死因の上位となっている。だが、最も調査研究が進んでいない分野の1つと、2017年1月に米国医師会雑誌(Journal of the American Medical Association)に掲載された論文は記した。

「死亡率で考えると、銃による暴力は死因の中で最も研究されていない。研究に投入されている資金も、転倒に続いてワースト2位となっている」と論文の著者は記した。

研究は、銃暴力に関する調査研究が少ない理由として法規制の存在をあげた。具体的には、1996年に定められた「ディッキー修正条項(Dickey Amendment)」だ。

同条項は「傷害予防および対策のためにCDCに割り当てられた予算は、銃規制を支持あるいは促進する可能性があることに使ってはならない」と記していた。

議会はディッキー修正条項の緩和を図る新たな法案を可決、トランプ大統領が3月に署名して成立した。

新たな条項は、CDCに銃暴力の原因を調査する明確な許可を与えた。だが「割り当てられた予算を銃規制の支持や促進に使うこと」は引き続き禁じている。

さまざまな死因の研究に投じられる資金を比較したグラフ

銃暴力についての調査研究は、他の死因と比べて研究資金が最も少ない分野の1つ。

Dr. David E. Stark, Dr. Nigam H. Shah/JAMA

新たな条項が成立するまで、銃暴力についての調査研究は何が規制対象になるのかが不明確だった。そのため多くの研究者はこの問題についての研究を避けていた。

「銃が健康に与える影響についての基礎的な大規模調査すら、まだ行われていない」とボストン大学・公衆衛生大学院の学部長で疫学が専門のサンドロ・ガレア(Sandro Garea)氏は2017年1月、マザー・ジョーンズ(Mother Jones)に語った

「こうした調査は、我々のような研究者が日常的に行っているもの。しかし、銃については予算や人員が確保されていないため実施されていない」

ディッキー修正条項による規制は緩和されたものの、報道によると、共和党議員は銃暴力の調査研究のために、CDCの年間予算として260万ドル(約2億9000万円)を支出することには無関心。

「共和党の有力議員らは銃暴力についての新たな調査研究に予算を割くことにまったく関心がない」とザ・ヒル(The Hill)は4月に報じた

Harvard Injury Control Research Centerのような民間機関が行った研究は、銃の保有や所持、殺人、暴力による死には明確な関係があることを明らかにした。

Voxによる銃規制と銃暴力に関する記事によると、アメリカ人が世界の全人口に占める割合は5%に満たないが、全世界の民間人が所有する銃の50%近くをアメリカ人が所有している。

さらにヴォックスの記事は、銃保有率が高い州では、警官が死亡する確率が約3倍になること、銃が多い国ほど銃による死亡者数が多いこと、アメリカ国内でも銃規制が厳しい州の方が銃に関連した死亡者数が少ないことを記した。

[原文:How likely is gun violence to kill the average American? The odds may surprise you

(翻訳:長谷 睦/ガリレオ、編集:増田隆幸)

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