2011年3月、アフガニスタン。
Pfc. Cameron Boyd
アメリカが現在、テロとの戦いを進めている76の国の中でも、イラク、アフガニスタン、パキスタンの3カ国は犠牲者の数が飛び抜けて多い。
ブラウン大学の戦争費用プロジェクト(Costs of War Project)は最近、これらの戦争がいかに多くの犠牲を生んできたかをレポートにまとめた。「9.11(アメリカ同時多発テロ)後のアメリカの戦争」によって、これら3つの国でどれだけの人が命を落としたか、具体的な数字も示している。
アフガニスタンとパキスタンについては2001年10月から2018年10月まで、イラクについては2003年3月から2018年10月までをその対象とした。
2001年10月、アメリカはアルカイダとタリバンを壊滅させるためアフガニスタンに侵攻したが、17年以上が経つ今もほとんど進展は見られない。2003年3月には、核兵器を含む大量破壊兵器を保有しているとしてイラクに侵攻、サダム・フセイン体制を転覆させた。米軍は2011年に撤退したが、その後、ISISが台頭、再度展開している。
パキスタンは、先行きがより不透明だ。9.11以降、アメリカによる何百というドローン攻撃を受け、部隊集結地として利用されてきた —— だが、パキスタン政府はテロリストをかくまっているとして批判されてもいる。
政府やNGO、メディアなどのデータをまとめている戦争費用プロジェクトは、紛争地帯では死者数を報告するのに制限があるため、これらの数字は実際の数字よりも少ないと書いている。
「例えば、モスルやその他の都市をISISから奪還する中で、数万人の民間人が死亡した可能性がある。だが、彼らの遺体は見つからないだろう」
また、同レポートは、これらの死亡者数は直接的な死のみ —— つまり「食料、水、医療施設、電気、その他のインフラにアクセスできなかった」ことによる間接的な死は含まれていないことにも触れている。
最新レポートで明らかになった犠牲者の数は、以下のとおり。
米軍 6951人
2011年3月、アフガニスタン。
Pfc. Cameron Boyd
イラク: 4550人
アフガニスタン:2401人
パキスタン:0
また、国防総省の民間人も、アフガニスタンで6人、イラクで15人、合わせて21人が死亡したという。
アメリカの請負業者 7820人
US Army Corps of Engineers
イラク:3793人
アフガニスタン:3937人
パキスタン:90人
それぞれの国の兵士と警察官 10万9154人
2017年10月、アフガニスタンのカブールにある訓練センターで演習に参加するアフガニスタン陸軍の兵士たち。
Reuters
イラク:4万1726人
アフガニスタン:5万8596人
パキスタン:8832人
同盟国の兵士 1464人
イラクで「生来の決意作戦」を支援するイタリア兵とイラクの対テロ部隊の隊員(モスル、2018年4月5日)。
US Army
イラク:323人
アフガニスタン:1141人
パキスタン:0
民間人 24万4124~26万6427人
避難するイラクの人々(モスル、2016年11月28日)。
Zohra Bensemra/Reuters
イラク:18万2272~20万4575人
アフガニスタン:3万8480人
パキスタン:2万3372人
敵対勢力の戦闘員 10万9396~11万4471人
周囲を警戒するタリバンの戦闘員(アフガニスタン、2016年5月27日)。
Associated Press
イラク:3万4806~3万9881人
アフガニスタン:4万2100人
パキスタン:3万2490人
ジャーナリスト及びメディア関係者 362人
自爆攻撃で命を落とした同僚の写真の前で、ろうそくに火を灯すアフガニスタンのジャーナリスト(カブール、2018年9月7日)。
Reuters
イラク:245人
アフガニスタン:54人
パキスタン:63人
人道支援機関やNGOの職員 566人
イラクでトラックの荷台から食料の入った箱を同僚に渡す、赤新月社のスタッフ(モスル、2018年5月14日)。
US Army
イラク:62人
アフガニスタン:409人
パキスタン:95人
合計 47万9858~50万7236人
アフガニスタンで起きた自爆攻撃で負傷し、運ばれる男性(カブール、2018年1月27日)。
Massoud Hossaini/AP
イラク:26万7792~29万5170人
アフガニスタン:14万7124人
パキスタン:6万4942人
レポート全文はこちら。
(翻訳、編集:山口佳美)