TWICEの慰安婦Tシャツは「ファンからのプレゼント」、BTSとの相違点と共通点

韓国の女性グループ「TWICE」のメンバーが過去に慰安婦支援のチャリティ活動もしている韓国ブランドのTシャツを着用していたことが、「反日」だと批判を集めている。BTS(防弾少年団)に続き日韓に新たな“Tシャツ問題”が持ち上がった形だが、どうも様子がおかしい。

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韓国アイドル+慰安婦支援Tシャツ=反日活動家?

TWICE

K-POPグループに新たに持ち上がったTシャツ問題。だが、BTSのときとはその内容は異なる。

GettyImages/Greg Doherty

注目されるきっかけになったのは、小野寺秀(まさる)前北海道議会議員の以下のツイートだ。

「【悲報】原爆Tシャツで日本人を敵に回したBTSがNHKの紅白落選!これは朗報だが、実は2回目の出場を決めたtwiceのメンバーのダヒョンさんが「慰安婦Tシャツ」を着ていたことが判明。このTシャツの売り上げは韓国の理不尽な慰安婦活動の資金源に…。NHKはこんな反日活動家を紅白に出場させるのだ」(原文ママ)

その後、複数のメディアやまとめサイトがこの件を取り上げて問題視し、ツイッター上には「反日」「韓国人は日本に来るな」などヘイトスピーチ交じりの批判の投稿が見られた。

TWICEがNHK紅白歌合戦への2年連続となる出場が発表されたこともあり、NHKに出演中止を求める声や抗議のメールを送ったという報告、受信料を払わないという宣言などもあった。

小野寺前道議はその後、「今後も日本で活動するならメンバーにも反省して貰うなり、知らなかったなりのコメントを出すなりの義務があると思っています」とツイートしている。

ある業界関係者は言う。

「このTシャツはダヒョンさん本人が購入したものではなく、ファンからプレゼントされたものを着ていたと聞いています。Tシャツ自体に直接的なメッセージがプリントされているわけでもありませんし、彼女はこれまでも一生懸命日本語の勉強をして、最近は日本語でインタビュー取材に応じることも増えていたんですよ」

虐待を受けた子どもたちの支援も

MARYMOND

韓国のソーシャルベンチャー・MARYMONDのホームページ。ブランドストーリーには“You are precious and beautiful, today and forever.”というメッセージが。

出典:MARYMONDホームページ

TWICEの日本デビューは2017年6月。日本語で発売したシングルは初週に20万枚以上を売り上げ、オリコンシングルチャート1位を獲得。また、2018年までに日本で販売したアルバムの売り上げ総数は約194万枚と、200万枚突破を目前にしており、日本での人気がわかる(Kstyle2018年11月14日より)。

9人のメンバーには日本人3人と台湾人1人も参加しており、国籍の多様さも特徴だ。

業界関係者によると、メンバーのダヒョンさんがTシャツを着用していたのは2017年9月24日頃。シンガポールに渡航する際の韓国の仁川国際空港、もしくは到着したシンガポールのチャンギ国際空港で撮影されたものではないかという。

当時のSNS上にはダヒョンさんがTシャツを着ていることを喜ぶ、韓国語で書かれたファンと思われるアカウントの投稿もあった。

ダヒョンさんが着用していたTシャツのブランドは「MARYMOND(マリーモンド)」。

Tシャツには「I MARYMOND YOU」「YOUR GRACEFUL HEART」と書かれている。

マリーモンドは韓国の若者が立ち上げたライフスタイルブランドで、洋服やアクセサリー、スマホケースなどの雑貨を販売している。収益の一部は元慰安婦の女性たちや虐待被害に苦しむ子どもたちへの支援などに使われており、「I MARYMOND YOU」はそんな女性や子どもたち、そして“あなたに”いつでも寄り添っているというメッセージだ。

これまでもBTSやWanna One、miss A、SEVENTEENなど多くの韓国の人気アーティストらが同社の商品を身につけていることがメディアやSNSで報告されており、韓国の若者にとってポピュラーなブランドだ。

エンターテインメントに国境はない

電車

TWICEが泣いている顔文字をまねする「TTポーズ」について、ネットには異なる解釈も生まれている(写真はイメージです)。

撮影:今村拓馬

Tシャツの他にも、「過去にTWICEが出演していたCMのメイキング映像のダヒョンさんのシーンに、原爆のきのこ雲を連想させるような演出がある」「グループ名のTWICEは広島と長崎への2度の原爆投下、両手で下向きの矢印をつくる“TTポーズ”は原爆投下ポーズ」などという趣旨のツイートやネット記事も拡散されている。

前出の業界関係者は言う。

「明らかなこじつけです。芸術やエンターテインメントに国境はありません。国境を越えて人を喜ばせたり勇気づけるものなのに、今回のように政治的道具に利用されるのは非常に残念です」

日本の若い女性グループや歌手たちもK-POPのファンは多いが、それを公言できない空気があるそうだ。

「反韓が盛り上がるチャンス」

そもそも同じTシャツ問題でもBTSのケースと今回では意味合いが異なる。

BTSが過去に原爆投下時の写真があしらわれたTシャツを着用していたり、ナチスを連想させるようなライブパフォーマンスをしていたことが批判されたのは、戦争被害者への配慮が足りないという主張に基づくものだったはずだ。

それなのになぜ、同じ戦争の犠牲者である慰安婦の女性たちを支援するブランドのTシャツが問題視されているのか。

「これだけ反韓が高まるチャンスなかなか無いからもっと盛り上がって欲しい」

これは、TWICEの紅白出演中止を願うツイッターアカウントの投稿だ。

BTSの所属事務所の代表者が日本原水爆被害者団体協議会を訪問し説明と謝罪をしたと報じられた際には、「被爆者団体は反日組織」など被団協へのバッシングツイートが数多く見られた。

TWICEもBTSも両者のTシャツ問題の根底には、“嫌韓”や差別意識が見える。原爆Tシャツを問題にするなら、被爆者団体に対するこんなバッシングはあり得ない。

今回の件でTWICEの所属事務所やレコード会社はコメントを出していない。むしろ考えるべきは私たちだ。問題の本質から目を逸らさないように。

(文・竹下郁子)

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