従来機に比べ4分の1ほどのサイズになった「Phantom REACTOR」がついに日本上陸。すでにグローバルでは発売されており、品薄状態の地域も出てきているという。
フランスのオーディオメーカー・デビアレ(Devialet)は、新型スピーカー「Phantom REACTOR」の日本展開を発表した。直販価格は以下の通り、発売予定は11月22日。直販サイトおよび伊勢丹 新宿店本館や蔦屋(二子玉川店、代官山店、六本木店)で取り扱い予定だ。
- Phantom REACTOR 600・95dB SPL・600W……15万9000円(税込)
- Phantom REACTOR 900・95dB SPL・900W……19万9000円(税込)
現行機種に比べ小型&低価格化を実現
写真左からPhantom REACTOR、右が従来機の「Phantom PREMIER」。
Phantom REACTORの最大の特徴は、前作「Phontom PREMIER」に比べて約4分の1という大幅な小型化を実現しつつも、音質にこだわりながら15万円台の価格とした点だ(Phontom PREMIERの直販価格は税込24万9000円から)。
大きさは幅157mm×長さ219mm×高さ168mm。外見はSF映画に出てくるような、繭のような丸みを帯びたデザイン。従来機ほど圧迫感はなく、知らなければスピーカーとすら思わないかもしれない。
Phantom REACTORの側面。迫力の音が左右両側面から部屋いっぱいに広がる。
Phontom PREMIERにはなかった特徴として、操作用のボタンが本体上部にある。これはPREMIERが複数台設置してサラウンド環境を構築するようなマニア向け製品であるのに対し、REACTORはこれ1台で音楽を楽しみたいより広い層をターゲットしているからだ。
再生するサウンドの帯域幅は18Hz〜21KHz。音の入力には3.5mmジャックでの接続のほかに、Wi-Fi、有線LAN、Bluetooth経由での入力にも対応。アップルのAirPlay、Spotifyの「Spotify Connect」なども利用できる。
入力端子などは背面に集中している。
実際、AirPlayで接続したiPhoneから再生して聴いてみたが、触れ込み通りの迫力のサウンドが楽しめた。また、音量を下げても音のバランスが極端に変わらないのは、日本の住宅事情にも合っていると感じる。
日本の主流「薄型4Kテレビ市場」の穴場を狙う
Phantom REACTORにあるデビアレのロゴ。同社の涙状のロゴは「創立時、同社のアンプから音楽を聴いた投資家たちが、あまりの良質な音楽体験に感涙したから」という実話に基づいている。
デビアレは2007年に創業したフランスのスタートアップで、アンプやスピーカーの設計・製造を行っている。同社によると160以上の特許を所有し、世界各国で製品を販売、2018年9月に日本に上陸した。
デビアレには、Androidの父とも言われるアンディー・ルービンなどの有名投資家や各国の大企業、日本だとシャープやLINEなども出資し、すでに累計1億5500万ユーロ(約200億円)の資金調達を完了している。
デビアレの日本ビジネスを担当するルカ・フェネック(Lucas Fenech)氏。
とくに北米や欧州と比べて住居が狭い日本では、Phantom REACTORで小型化したとは言え、大音量の音楽再生ができるスピーカーの需要はそこまで大きくない。さらに個人向けとしては15万円台からという価格設定は、デジタル音楽向けのスピーカーとしてはなかなか強気な設定にも感じられる。
同社の日本でのビジネスを担当するルカ・フェネック(Lucas Fenech)氏は、「4Kや5Kの時代がやってきて、TVの高画質化は進んでいる。一方で、TVは年々薄型になってきており、高音質なスピーカーを搭載するスペースが減ってきている。高画質化に合わせた、高音質化のニーズは必ず出てくる」と意気込みを話した。
(文、撮影・小林優多郎)