Lulus
小売業は死んでいない —— 進化している。そして、2019年はより大きな変化が業界に起こるだろう。
アメリカでは、変化に適応して生き残るか、適応できずに死ぬかの戦いに直面している有名ブランドがある一方で、わたしたちの消費行動を変え、一躍人気となった創業間もないトレンディーなスタートアップを見習わざるを得なくなっているブランドもある。
オンラインから始まった比較的若いブランドが、実店舗を展開し始めることもある。
2019年に最も注目すべきブランドを紹介しよう。
1. アウトドア・ヴォイシズ(Outdoor Voices)
Courtesy of Outdoor Voices
人気の高いアスレティック・ウェア・ブランド「アウトドア・ヴォイシズ」は、ルルレモン(Lululemon)やアンダーアーマー(Under Armour)といった有名ブランドに代わって、世界ナンバー1のアスレティック・ブランドになるというミッションに力を注いでいる。
30歳の創業者タイラー・ ヘイニー(Tyler Haney)氏はわずか5年で、同ブランドをeコマースのみのプラットフォームからアメリカ国内で8店舗を展開するまでに成長させてきた。
同社は2018年に3400万ドル(約37億8000万円)を資金調達し、その総額は5650万ドルに達した。追加資金は、店舗数を増やすために使うという。2019年にはさらなる店舗数の増加が見込まれる。
2. サヴェージ×フェンティ(Savage X Fenty)
AP Photo/Diane Bondareff
人気ポップ歌手のリアーナ(Rihanna)が手掛けるアンダーウェア・ブランド「サヴェージ×フェンティ」は2018年9月に、妊婦2人を含むあらゆる体型、サイズ、人種的背景のモデルを起用したショーを開いて、大きな話題となった。この多様性を大切にする姿勢が、ソーシャルメディアで称賛された。
ビクトリアズ・シークレットの広告が排他的だと批判され、業績が低迷する中、サヴェージ×フェンティのような"ありのままのからだがいい"というブランドが2019年、市場シェアを拡大しそうだ。
3. ライブリー(Lively)
Lively
オンライン・ランジェリー・スタートアップの「ライブリー」にとって、2018年は飛躍の年だった。7月には、ニューヨークのソーホー地区に初めて実店舗をオープンした。
ライブリーは8月、高級百貨店ノードストローム(Nordstrom)と提携し、その一部店舗とウェブサイトでライブリーの商品が取り扱われるようになると発表した。提携拡大も視野に入れているという。
「ノードストロームとの提携は、わたしたちの予想を上回るものでした。2019年に向け、(この提携を)より大きく、より良い、より幅広いものとしていきたい」と、ライブリーの広報担当者は2018年11月、Business Insiderに語った。
4. ルルズ(Lulus)
Lulus
2018年5月、カリフォルニア州に拠点を置くルルズは、ベンチャー投資で1億2000万ドル(約13億3000万円)を調達したと発表した。
ルルズはBusiness Insiderに対し、この資金は配送にかかる時間を短縮するためにフルフィルメント・センターを増やし、パーソナル・スタイリストとチャットしながら買い物ができる新たなサービスを導入し、結婚を控えた女性やそのブライズメイドのドレスの購入をサポートするブライダル・コンシェルジュ・サービスを始めるために使いたいと語った。
2019年、ルルズはカナダ、メキシコ、オーストラリア、イギリスに進出する計画だ。
5. ヴァンズ(Vans)
Facebook/Vans
1960年代からあるカリフォルニアのスケーター・ブランド「ヴァンズ」は近年、その人気が爆発している。2004年にVFコーポレーションに買収された後、商品の90%をカリフォルニアで販売していたヴァンズは、そのリーチを世界に向け、アジアやヨーロッパへ進出した。
パイパー・ジャフレー(Piper Jaffray)の調査「Taking Stock With Teens」によると、調査が始まった2000年以来、ヴァンズは最も急速に人気が高まっているブランドだ。
同ブランドは、アスレジャーとビンテージ/レトロスタイル志向という2つの大きなトレンドに乗っている。これらのトレンドはしばらく続きそうだ。
6. グロッシアー(Glossier)
Business Insider/Jessica Tyler
2018年11月まではロサンゼルスに1店舗しかなかったグロッシアーだが、ニューヨークに新たな旗艦店をオープンするなど、実店舗を増やしている。
グロッシアーは、新たな化粧品ブランドのあり方を示している。創業者のエミリー・ウェイス(Emily Weiss)氏が2013年に化粧品を売り始めてから、同ブランドは8600万ドル(約95億4000万円)を超える資金を調達し、2016年から2017年でその売り上げは3倍になったと言われている。
ブルームバーグによると、グロッシアーでは人気アイテムの1つである眉毛シェイパー「Boy Brow」(16ドル)が1分ごとに売れているといい、これは1年で800万ドルを売り上げている計算だ。
7. オフホワイト(Off-White)
Facebook/Off-White
オフホワイトは、ファッション検索サイト「Lyst」が発表した2018年第3四半期のランキングで、世界で最もホットなブランドに選ばれている。Business of Fashionによると、オフホワイトは創業以来、飛躍的な成長を遂げていて、「その勢いが衰える兆候は見られない」という。
8. サードラブ(ThirdLove)
Facebook/ThirdLove
オンライン・ランジェリー・ブランドの「サードラブ」は、試着なしでのブラの購入を可能にした。顧客はオンラインでクイズに答えるだけで、自分に合った完璧なブラを見つけることができる。届いたブラは30日間試すことが可能で、そのまま購入するか返品するかを決められる。
サードラブは、胸の形やブラのサイズを含め、女性がブラを購入するときに直面しがちな主な課題について、6億を超えるデータポイントを持っていると言い、それぞれにハーフサイズが用意されている。
創業者のハイディ・ザック(Heidi Zak)氏は2018年、実店舗を展開する計画はないが、引き続き入手したデータに基づき、新たなサイズ展開をする可能性はあるとBusiness Insiderに語った。
サードラブは2019年も、テクノロジーと人間のカスタマー・サービスを融合させる方法を模索していくだろう。
「機械学習やアルゴリズムではできないこともあります」と、ザック氏は言う。「どこで人間が介入すべきか? フィット・スタイリストが介入すべきはいつか? わたしたちにとっては、それが面白いんです。」
9. グープ(Goop)
Facebook/Goop
女優のグウィネス・パルトロウのライフスタイル・ブランド「グープ」は、2008年にニュースレターとしてスタートし、2億5000万ドル(約27億7000万円)のビジネスへと成長した。今では複数の店舗、eコマースのサイト、ポッドキャストを展開している。
グープはテレビ業界への参入も計画しているという。
10. ファッションノバ(Fashion Nova)
Facebook/Fashion Nova
カリフォルニアに拠点を置く「ファッションノバ」は、急速にインターネットのファッション・ブランドとして人気を獲得し、その勢いが衰える兆候はない。
同社はインスタグラムで1400万を超えるフォロワーを持ち、2017年にはグーグルで最も検索されたブランドの1つだった。パイパー・ジャフレーが半年ごとに出している10代の消費行動に関する調査では、若者が好きなウェブサイトの6位にランクインした。
ビジネスの急速な拡大をサポートするため、同社は新たな流通センターを西海岸にオープンさせる計画だ。
[原文:These 10 fashion and beauty brands are poised to have a huge 2019]
(翻訳、編集:山口佳美)