富裕層が数十万ドルを費やすパニック・ルームは、この映画に出てくるような部屋ではない。
Columbia Pictures
- アメリカの富裕層は、高ければ50万ドル(約5600万円)を払って、贅沢なパニック・ルームを自宅の中に置いている。
- こうした防弾・防爆仕様の部屋には、薄型テレビや高級インテリア、バーが備え付けられている。
- 銃による暴力が増加する中、こうした豪華なパニック・ルームの人気が急上昇している。
ペントハウスや屋上のプールは忘れよう。
アメリカでは、富裕層がある意外なアメニティーに高ければ50万ドル(約5600万円)を費やしている。薄型テレビや高級インテリア、バーを完備した贅沢なパニック・ルームだ。
「パニック・ルームはロンドンを中心に人気が高まっています。特にパニック・ルームが普及している中東やロシアから来た海外の顧客の間で」
金庫やパニック・ルームの製造・設置を手掛けるSafe and Bolt Co.とOpulent Safesのコマーシャル・セールス・マネジャー、リチャード・ウェステル(Richard Westell)氏は不動産情報サイトのマンション・グローバル(Mansion Global)に語った。
「こうした人々は、彼らの他の家にあるものと同じものを置きたいのです」
ニューヨーク・シティでは、都会のエリート層の一部が、アッパー・イースト・サイドの8800万ドル(約99億円)のマンションといった豪勢な自宅にパニック・ルームを作っている。アメリカ以外でも、Business Insider Australiaが2月に報じたように、アメリカのビリオネア、ピーター・ティール(Peter Theil)氏は、ニュージーランドにある480万ドル(約5億4000万円)の家にパニック・ルームを作った。
もちろん、こうした防弾・防爆資材で作られた高級パニック・ルームにとっても、安全が第一だ。しかし、ニューヨークに拠点を置き、エリート向けの贅沢なパニック・ルームを作っているCovert Interiorsのオーナー、クリス・コスバン(Chris Cosban)氏がマンション・グローバルに語ったように、中には1920年代の潜り酒場やラルフローレン(Ralph Lauren)のカタログのような雰囲気のパニック・ルームを希望する客もいる。
マンション・グローバルによると、こうした豪華なパニック・ルームにかかる費用は、ベーシックな装備で5万~55万ドル(約560万~6200万円)。家具やインテリアの費用は別途必要だ。
銃乱射事件が増えるにつれ、贅沢なパニック・ルームへの関心も高まっていると、フロリダ州パークランドに拠点を置くPanic Room USAのクリス・アセヴェド(Chris Acevedo)氏は言う。
「銃による暴力が増えるにしたがい、わたしたちのビジネスの量も増えています」と、アセヴェド氏はマンション・グローバルに語っている。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の最新データによると、銃がからむ殺人や自殺の発生件数は一時期減少したものの、増加傾向にある。
(翻訳、編集:山口佳美)