容疑者宅の外で待機する、移民関税執行局(ICE)の捜査員(2012年3月30日)。
Gregory Bull/AP
- アメリカの国土安全保障省は、中米からアメリカを目指す移民集団(キャラバン)の情報を収集するため、金を払って情報提供者を潜入させている。
- 同省はまた、メッセージングアプリ「WhatsApp」を通じて移民を監視しているという。同アプリは、約4000人の移民がコミュニケーション・ツールとして使っている。
- このプログラムにかかる具体的な費用は明らかになっていないが、国防総省の関係者は、情報提供者への報酬とその情報の分析に数千ドルはかかっているだろうと見ている。
複数の報道によると、アメリカの国土安全保障省は、中米からアメリカを目指す移民集団(キャラバン)の情報を収集するため、金を払って情報提供者を潜入させている。
同省はまた、メッセージングアプリ「WhatsApp」を通じて移民を監視しているという。同アプリは、約4000人の移民がコミュニケーション・ツールとして使っている。同省の職員2人がNBCニュースに語った。職員は移民たちのWhatsAppグループに入り、そのやりとりを監視するよう言われたという。移民の多くはホンジュラス出身で、亡命を希望している。
情報収集の結果、職員は移民集団がカリフォルニア州サンディエゴ近くで国境を越えるかもしれないとの情報をキャッチ。税関国境警備局(CBP) は午前3時から午前6時まで一帯を閉鎖したと報じられているが、移民が押し寄せることはなかった。
AP Photo/Rodrigo Abd
移民集団の計画に、当局の活動が影響を及ぼしたかどうかは分からない。
このプログラムにかかる具体的な費用は明らかになっていないが、ニューズウィークによると、国防総省の関係者は、情報提供者への報酬とその情報の分析に数千ドルはかかっているだろうと見ている。
国土安全保障省の広報担当ケイティー・ウォルドマン(Katie Waldman)氏は声明文の中で、安全上の懸念に言及し、詳しい情報収集の手法については語らなかった。
「情報源や手法についてはコメントしないが、多くの犯罪者を含む移民について無知であることは、アメリカにとって重大なミスとなる」
NBCニュースによると、ウォルドマン氏はそう語った。
「わたしたちには、自国を脅威から守るため、どんな人間が国境を越えようとしているかきちんと把握しておく義務がある」
連邦裁判所の判事は19日(現地時間)、通関手続地でアメリカ・メキシコ間の国境を越えた亡命を希望する移民の数を抑制しようとするトランプ大統領の動きを阻止した。ホワイトハウスと国土安全保障省は、キャラバンのうち数百人は国家の安全に対する脅威だと警告したが、これは国防総省の独自のリスク評価と矛盾するものだ。
(翻訳、編集:山口佳美)