火星に着陸するインサイトの予想図。
NASA/JPL-Caltech
- NASAの火星探査機インサイトは11月26日午後3時(東部標準時)、火星着陸を試みる。
- 830億ドルを費やしたミッションは数千の手順を完璧に実行しなければならない。燃え尽きたり、クラッシュしたり、宇宙の彼方に弾き飛ばされないように。
- NASAのジェット推進研究所は着陸までの約14分を時間順に追ったイラストを作成した。
NASAの火星探査機インサイトのことが心配ではない? 心配するべきだ。
ロケットを火星軌道に乗せることは簡単なパート。だが宇宙航空エンジニアらは、火星への着陸は太陽系で最も困難なチャレンジと考えている。実際、これまで打ち上げに成功した火星ミッションの約3分の1は、着陸に失敗している。
「大気圏上部から地表に至るまでに数千ステップを実行する。そして全ステップが完璧でなければならない」とNASAジェット推進研究所のチーフエンジニア、ロブ・マニング(Rob Manning)氏はビデオで語った。
重さ789ポンド(約360キログラム)のインサイトは東部標準時(以下略)26日2時40分、火星に向けて下降を始める。着陸後、NASAはインサイトを使って火星の内部構造などの解明を試みる。
インサイトの着陸シークエンスを時間を追って見てみよう。どの瞬間もインサイトの最期の瞬間となりかねない。
午後2時40分、大気圏突入カプセルに積み込まれた探査機インサイトは、火星まで運んでくれた宇宙船から離脱。
NASA/JPL-Caltech
2時41分、大気圏突入カプセルは突入に備えて角度を調整 ── 地表に対して約12度。
Lockheed Martin/YouTube
2時47分、着陸開始。時速約1万2300マイル(約1万9800キロメートル)で火星大気圏に突入開始。
NASA Langley Research Center/YouTube
2時49分、カプセルの耐熱シールドは約1500℃の最高温度に達する。鉄が溶ける温度だ。
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15秒後、大気との摩擦で急減速。高温のため一時的に通信は不可能になる。
NASA Langley Research Center/YouTube
2時51分、パラシュートを展開。
NASA Langley Research Center/YouTube
15秒後、6つの爆破装置が耐熱シールドを吹き飛ばす。
NASA Langley Research Center/YouTube
10秒後、着陸用の3本の脚を展開。
NASA Langley Research Center/YouTube
2時52分、地表までの距離を測定する着陸レーダーが作動。
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2時53分、最初のレーダーを感知。着陸に向けて微調整を行う。
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20秒後、パラシュートを分離、地表に向けて自由落下を開始。
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0.5秒後、逆推進ロケット(降下用エンジン)に点火。
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2.5秒後、着陸に向けて角度や向きを微調整。
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22秒後、速度は時速5マイル(約8キロ)まで低下。
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2時54分、着陸! インサイトは静かに火星表面に到達。NASAの探査機が火星に着陸するのは6年ぶり。
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3時1分、初の「異常なし」の信号を地球に送信。
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3時4分(あるいは数時間後)、火星表面の最初の画像を送信。
着陸地点エリシウム平原の予想図。
NASA/JPL-Caltech
8時35分、NASAの探査機マーズ・オデッセイがインサイトのソーラーパネルが展開したことを確認、2年におよぶ火星表面での探査ミッションがスタート。
火星をまわる探査機マーズ・オデッセイの予想図。
NASA
NASAの着陸のライブ配信は東部標準時26日午後2時から。
(翻訳、編集:増田隆幸)