アリババの「独身の日」は、最大のオンライン・ショッピングの日だ。
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- アメリカのショッピング・シーズンが始まったが、中国最大のECプラットフォーム、アリババの「独身の日」の影はいまだ大きく立ちはだかっている。
- 2018年、これまでになく多くのアメリカ人がアリババの「独身の日」(11月11日)に買い物をした。その総額は18億2000万ドル(約2060億円)と、2017年から29%以上増えた。
- 「独身の日」がブラックフライデーに及ぼす最大の影響は、アメリカ企業がアリババを手本に、オンラインでより大きな売り上げを狙ってセールの開始時期を早めることだ。
2018年のブラックフライデーの売り上げは、史上最高を記録した。しかし、だからといってブラックフライデーがこの11月に行われた世界最大のオンライン・ショッピングの日というわけではない。
アドビ・アナリティクスのデータによると、21日(現地時間)に買い物客がオンラインで購入した金額は24億ドルと、2017年から31.8%増えた。翌22日のサンクスギビング(感謝祭)のオンライン売り上げは、前の年から28%増えて37億ドル。翌23日のブラックフライデーは62億ドルだった。
しかし、11月はその前に大きな買い物の日があった。11月11日の独身の日だ。当日のアリババのオンラインでの売り上げは、世界全体で308億ドルとブラックフライデーをはるかにしのぐ。
売り上げの大半は中国だ。だが、アドビのデータによると、アメリカの独身の日の売り上げは2017年から29.1%伸びている。
「(アリババ傘下の)アリエクスプレス(Ali Express)のアメリカの平均的な消費者は、中国同様、ミドルクラスの人々だ」と、アリババの総裁(社長)マイケル・エバンス(Michael Evans)氏は11日、上海でBusiness Insiderに語った。
アメリカ人買い物客が独身の日にオンラインで購入した金額は18億2000万ドル —— これはサンクスギビングの前日の売り上げよりも少ない。だが、アメリカにおける独身の日の影響は、音もなく、しかし急速に拡大している。
アリババ「独身の日」のガラ。
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恐らく、独身の日がアメリカにもたらす最大の影響は、アメリカ企業がアリババのやり方を見習っていることだ。アリババの独身の日のオープニング・ガラに最も近いのは、アメリカの百貨店 メイシーズ(Macy's)のサンクスギビング・デー・パレードかもしれないが、さまざまな企業がアリババを真似してブラックフライデーを前倒しし、延長している。
「来年のショッピングシーズンの参考にすべく、アメリカの小売業者たちはアリババのショッピングの祭典『独身の日』の成功を、特に『セール前』の時期のコンセプトについてよく観察している」と、アクセンチュア・ストラテジー(Accenture Strategy)のフランク・ラヨ(Frank Layo)氏は23日朝のコメントで述べた。
「顧客はメイン・イベントの前に商品や価格を確認し、自身のショッピングカートに(通常はわずかな額の)商品を確保することができる」と、ラヨ氏は続けた。「これが顧客転換率を向上させ、小売業者に必要な在庫数の大体の見通しを与えることに役立つのだ」と。
2019年には、アリババは買い物客により直接的にアプローチしていくかもしれない。米中の貿易戦争がアリババのアメリカでの動きに多少の水を差すとしても、同社幹部は独身の日をよりグローバルなイベントにしたいとの考えを示している。
「わたしは世界中を旅しているが、どこへ行っても11月11日の独身の日を知らない人はとても少ない」と、エバンス氏はBusiness Insiderに語った。
「多くの人が、来年はどうしたら我々も参加できるか? と尋ねてくる。人々の関心は非常に高く、それは彼らがブラックフライデーやサイバーマンデーについて耳にし、それがとても大きなイベントだと考えていることも手伝っているのだろう」
同氏は言う。「彼らはアマゾンのプライムデーについて聞いている。だが、我々はアマゾンがプライムデー全日で売る金額を5分で売る」
(翻訳、編集:山口佳美)