中国で組み立てられるiPhoneは、政治・経済両面で米中の火種になっている。
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iPhoneの販売不振が直撃し、29億ドル(約3300億円)のコスト削減や数十万人規模のリストラ観測が報じられているEMS世界最大手、鴻海(ホンハイ)精密工業(台湾)が、アメリカでリストラに着手したと現地メディアのIBJが報じた。
報道によると、リストラの対象は、カリフォルニア州にある鴻海の子会社「Q-Edge」と「鴻海物流カリフォルニア」。製造・組み立てに従事する従業員155人を3カ月以内に削減する。既に州政府にはリストラ計画を報告しているという。
2018年6月28日、鴻海のウィスコンシン州での工場起工式で握手を交わす郭台銘会長とトランプ大統領。
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鴻海はアップル製品の最大の組み立て企業だが、iPhoneの組み立てのほとんどを中国本土で行っており、カリフォルニア子会社のクライアントについては明らかになっていないが、iPhoneの販売不振などによる業績悪化の影響を受けたものと見られる。
2018年9月に発売されたiPhoneの販売低迷を受け、11月以降、鴻海の大規模コスト削減計画が浮上。アップルは鴻海などサプライヤーに対し、部品の発注やスマホ生産の削減を通知したとも報じられた。
これらの報道に対し、鴻海は肯定も否定もしておらず、「コストを削減しても、研究開発投資は減らさない」とだけコメントしている。
鴻海はアメリカ中西部ウィスコンシン州で100億ドルを投資し、液晶パネル工場の建設も進めている。完成後には5000人超を雇用する予定だが、今回のリストラ計画の影響を受ける可能性もある。
(文・浦上早苗)