アメリカのマティス国防長官。
Alex Brandon/AP
- アメリカのトランプ大統領は27日(現地時間)付けのワシントン・ポストのインタビューで、米軍が中東に駐留しているのは、この地域に石油があるからだとの考えを示した。
- 大統領が度々繰り返しているこの考えは、国家安全保障担当のアドバイザーたちから非難されたと報じられている。
- トランプ大統領は、同盟国は米軍の駐留にかかる費用を全額負担すべきとの考えをちらつかせてきた。
ワシントン・ポストの独占インタビューで、トランプ大統領は米軍が中東に駐留しているのは、この地域に石油があるからだとの考えを示した。この考えは、2017年の別の機会に大統領が示唆した際、国家安全保障担当のアドバイザーたちから強く非難されたと報じられている。
同紙のロング・インタビューでトランプ大統領は、米軍が中東に駐留し続けるかどうかは石油価格の動き次第だと話した。
「我々は世界のあの地域に今後もとどまるだろうか? 」「その1つの理由はイスラエルだ。石油は次第にその理由でなくなりつつある。なぜなら、我々はこれまでになく大量の石油を生産しているからだ」
「それで不意に、あそこに駐留する必要はないという考えに至ったんだ」とトランプ大統領は語った。
アメリカは油田・ガス田の掘削に関する規制を緩和し、その石油生産インフラを再建したことで、2018年には世界最大の産油国になった。この変化を主導するのはテキサス州で、すぐにイラクやイラン以上の石油を生産し、アメリカの海外の石油への依存を低下させるかもしれない。
CNBCによると、ゴールドマン・サックスは、2019年までにアメリカがエネルギーを輸入する以上に輸出するエネルギー自給国に、2021年までに石油自給国になるだろうと予測している。エネルギー自給国へと向かうスピードは、オバマ政権の"最後の追い込み"を受け、トランプ政権で低下している。
トランプ大統領はさまざまな機会に、米軍の中東への駐留と石油を関連付けてきたと報じられている。2017年のイラクのアバディ首相(当時)との電話会談では、大統領が戦争にかかった費用をイラクに賠償させるアイデアを伝えたと、複数の関係者が認めている。
トランプ大統領。
AP Photo/Steve Helber
「全般的にありふれた、目立たない会談だった」と、関係者の1人は語ったとアクシオス(Axios)が報じた。「すると最後になって、トランプ大統領はにやりと笑い、『それで、石油についてはどうしようか? 』と言った」
アクシオスによると、アバディ首相は「どういう意味か? 」と尋ねたという。
「すると、トランプ大統領は『我々はそちらで多くのことをやり、数兆ドルを使った。そして多くの人々が石油について話している』と返した」と、関係者は加えた。
その後、アバディ首相との別の電話会談でトランプ大統領が自身の要求を繰り返すと、当時の大統領補佐官(国家安全保障問題担当) H・R・マクマスター(H. R. McMaster)氏は、アメリカの評判を落とすものだとして、トランプ大統領を非難した。ある関係者によると、「そんなことはできないし、そんな話をすべきではない。それは口にするだけでもダメだ」と、マクマスター氏は言った。
中東の石油に対するトランプ大統領の関心は、マティス国防長官をも苛立たせているようだ。マティス長官は、それは物理的に不可能であり、国際法に違反し、同盟国を混乱させるものだと強く主張しているという。
就任以来、トランプ大統領は公然と、同盟国は米軍の駐留にかかる費用を全額負担すべきとの考えをちらつかせてきた。しかし、密室会議では、不当な貿易協定を引き合いに、ドイツや韓国といった国々の駐留米軍を大幅に削減する案を真剣に検討していると言われている。
「我々は彼らに対して、大きな貿易赤字を出している。そして、我々は彼らを守っている」
トランプ大統領は3月、韓国について述べた。「つまり我々は貿易で金を失い、軍で金を失っている」
大統領は付け加えた。
「我々は今、3万2000人の兵士を北朝鮮と韓国の国境の間に駐留させている」「何が起こるか、見てみようじゃないか」
[原文:Trump says US troops may not need to be in the Middle East because 'we're producing more oil now']
(翻訳、編集:山口佳美)