SlackやLINEとは戦わない、国産ビジネスチャット「Chatwork」の成長戦略

Chatworkオブジェ

写真はChatwork東京オフィスの玄関に飾られていたオブジェ。仕事で必要なすべてのものがChatworkに揃っていることを表していると言う。

電話やメールに代わり、社内外のコミュニケーションを円滑化させるビジネスチャットの導入は効率化とスピード重視のベンチャーでは当たり前だが、いまや大企業でも導入されるようになってきた。

その代表格は、2017年に日本に上陸をしたSlackだが、LINE、フェイスブック、グーグル、マイクロソフトなどもビジネスチャットやグループウェアなどの名前で製品を展開している。

Chatwork 表記

Chatworkは社名やサービス名の表記、ロゴマークを一新した。

競合がひしめくビジネスチャット業界にあって、20万社以上の導入実績をもつ日本のベンチャーがChatwork(チャットワーク)だ。

チャットワークは11月28日、コーポレートミッションやロゴマークなどをリニューアル。同時に中長期的な成長戦略を発表した。

チャットワークはSlackやLINEと戦わない

Chatwork 新UI

チャットワークの最新のユーザーインターフェイス(UI)。一画面にさまざまな機能が表示されている。

出典:チャットワーク

チャットワークは、マイクロソフトやグーグルといったITの巨人、SlackやLINEといったコミュニケーション分野の大手とどう戦っていくのか。

同社のCEO兼CTOの山本正喜氏は、チャットワークの強みを「使いやすく、分かりやすいUI」と話す。

分かりやすいと一言で言っても、PCへの理解度など十人十色の度合いがあるが、「ITに詳しくない人」でも使いこなせるレベルのツールに整えている、というのが同社の特徴だと山本氏は解説する。

「いま表示しているグループとそのチャットの内容に加え、一画面にホワイトボード的に使えるグループの概要欄、タスク管理機能などがひとつの画面にまとまっている。世の中にはそれぞれに特化したサービスはあるが、チャットワークはそれらのいいところをつまみ食いをしている。

このような設計はITに詳しい人にとっては物足りないと感じる部分はあるだろうが、ITに詳しくない人でも使いこなすことができる」(山本氏)

また、山本氏は他社と競争はしつつも「全業種で最高のツールになるのは不可能、ビジネス職では最高のものでありたい」とし、あくまでも非IT分野にも受け入れられやすいツールとして開発を進めると話している。つまり、SlackやLINEなどとユーザーを奪い合うのではなく、チャットワークはあくまで独自の方針を貫き、支持を集めていくということだ。

ビジネスチャットに不慣れな「非IT業界」に注力

Chatwork 導入企業

チャットワークの導入企業は2018年11月に20万社を突破した。

その方針は開発だけではなく現状の導入企業や営業面へも表れている。

チャットワークの導入20万社のなかには、KDDIやサイバーエージェント、マネーフォワードなどの大手IT企業が目立つ。ただし山本氏によると、現在成長の著しい業種は、IT業界とはどちらかといえば距離のある、士業、介護、建築の3業種だという。

チャットワークのホームページによると、確かに社労士や税理士、行政書士といった士業の企業では、導入前後で対応できる顧客の数が2〜10倍にも向上しているケースも存在しており、口コミベースなどでも注目を集めているようだ。

Chatwork事例

チャットワークの導入事例ページで紹介されている税理士事務所の導入実績など。

出典:チャットワーク

チャットワークは山本正喜氏と、元CEOで正喜氏の兄でもある山本敏行氏が学生時代に立ち上げたスタートアップだが、すでにGMOベンチャーパートナーズやジャフコ、SMBCベンチャーキャピタルなどから累計18億円の出資を受けている。

その資金を元手に現在、営業チームの強化に努めており、今後は代理店制度を構築し、自社の営業ではカバーしづらい首都圏以外の企業や官公庁などの大手導入企業を開拓していくという。

チャットの価値を高めて、有料版への誘致も進める

チャットのプラットフォーム化

チャットワークの成長戦略の一つは、「チャットのプラットフォーム化」。

また、無料で使い始められるフリーミアム型ビジネスモデルを持つ同社にとって、新規顧客の獲得と同じぐらい大事な課題は、現ユーザーの継続率を保ち、かつ有料版への誘致をいかにスムーズに行うかだ。

そのため、同社はメイン機能であるチャット自体の価値やその付加価値も高めていく。

記者説明会では、具体的な新機能の中身は語られなかったが、山本氏は外部APIとの連携やチャット内で行える業務支援型サービスといった機能の開発に注力していくという。

特に、業務支援型サービスはチャットワーク内のスタッフが代わりに電話に出て用件をチャットで送ってくれる「電話代行」や、オンラインでできる範囲であれば業務を代行する「アシスタント業務代行」などを提供しており、好評を得ているという。「チャットを超えたプラットフォーム構想を加速させる」と山本氏は意気込む。

山本正喜氏

2018年6月からCEO兼CTOに就任した山本正喜氏。

なお、同社は2018年7月にフリープランの仕様変更を行っている。従来、無料版ユーザーは“所属可能なグループ数が14個まで”と定められており、上限に達した場合グループを抜けることで再度別のグループに所属することができた。しかし、変更後は“グループへの所属は14回まで”となり、無料で実質無制限に利用することは困難になった

この改訂についてインターネット上では、不満の声もいくつか上がっている。山本氏は「ほとんどのユーザーは数個のグループで十分に活用できている。我々としてはグループを多用される方にはその対価を払っていただきたい」と、サービスの健全な運営への理解を求めている。

(文、撮影:小林優多郎)

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