アップルは優柔不断? 結局、iPhoneの販売台数は重要なのだろうか

ティム・クック

結局のところ、投資家はアップル製品の販売台数を気にした方が良いのだろうか? アップルのメッセージはどっちつかずだ。

AP


opinion

  • 11月はじめ、アップルは投資家に、iPhone、iPad、マックの販売台数をもう気にする必要はないと伝えた。
  • だが発表は投資家を不安にさせた。投資家はiPhoneの販売台数が低迷しているとの憶測から同社株を売却した。
  • 今、アップルは、最新モデルのiPhone XRの売れ行きは好調なため、心配する必要はないと投資家に語った。
  • 販売台数は重要なのかどうか、よく分からない。

筆者は今、混乱している。

アップルは当初、iPhoneの販売台数を心配する必要はないと述べた。しかし今になって(心配している人がいるようだからか)新しいiPhone XRのセールスは順調と語った。iPhone XRはベストセラーとのことだ。

結局、我々はiPhoneの販売台数を気にした方が良いのか、それとも気にしなくても良いのか? 少しややこしい。

11月はじめ、アップルが製品の販売台数を今後は開示しないと発表した時、筆者は不満を覚えた。筆者が知る限りでは、アップルはiPhoneや他の製品の売り上げを四半期ごとに教えてくれていた。

その数字は、投資家、アナリスト、そして筆者のような記者がアップルのビジネス、そしてテック業界の動向を理解する手助けとなった。我々はその数字をもとに、マーケットシェア、スマートフォンの平均購入価格、テック製品市場の変化の推移を把握できた。

販売台数の開示をやめる理由は理解できる

とはいえ、販売台数の開示をやめる理由は理解できた。アップルの競合はどこも販売台数を開示していないため、1社だけ開示を続けることによって、おそらく競争において不利な立場に置かれてしまうのだろう。

さらにアップルのビジネスはより進化したため、もはやiPhoneの販売台数は、売上高や利益に直結していない。

販売価格を上昇させているおかげで、販売台数が以前と同等、あるいは減少しても以前と同等の売り上げを達成できる。利益を伸ばすことも可能だ。

そしてサービスビジネスの重要性が大きくなっている中、売り上げは端末の売り上げだけで決まるわけではない。

だから、筆者はアップルが販売台数の開示をやめる理由を十分理解できた。とはいえ、販売台数の代わりに、同じような、できればよりビジネスに関連した情報を開示して欲しいとも思った。

例えば、サブスクリプションビジネスやサービスビジネスの企業のように、ユーザー1人あたりの年間平均売り上げのよう情報を開示してもらえると、とてもありがたい。そうした情報は役に立つだろう。

だが分かった。アップルは販売台数のことは完全に忘れてほしいのだ。

では、なぜ、アップルはまた販売台数の話をしているのか?

少なくとも筆者はそう思っていた。ところが11月28日(現地時間)、CNETの記事にアップルのプロダクトマーケティング担当バイスプレジデント、グレッグ・ジョズウィアック(Greg Joswiak)氏が登場し、販売台数について語っていたではないか。

最新モデルのiPhone XRは、10月に発売されて以来、ベストセラーになっている同氏は語った。フラッグシップモデルであるiPhone XS / XS Maxよりも売れているとのことだ。また同氏はロイターともインタビューの場を設け、同様のコメントを残した。

確かに、ジョズウィアック氏は明確な数字を開示したわけではない。だから、XRやXSの販売台数は分からない。

しかし、そもそも販売台数のことは心配しなくても良かったはずではないのか?

本当は心配するべきと伝えたいのだろうか? それとも、多くの人が心配していることを認識したうえで、すべて順調だと安心させたかったのだろうか?

投資家と同様に、アップルもナーバスになっているだけかもしれない

本件について、アップルに問い合わせたが回答は得られなかった。だから本当のことは分からない。

だが、もしナーバスになっているならば、気持ちは理解できる。株価があれほど急激かつ急速に下落したら、筆者だってナーバスになる。

時価総額が1カ月足らずで数億ドル分も消えるのを目の当たりにしたら、筆者もおそらく考えを変えるだろう。

アップルは、販売台数はさほど重要ではないと断言したが、投資家は明らかに心配している。だが、投資家たちを責めることはできるだろうか?

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アップルは10月、製造を委託しているメーカーにiPhone XRの生産台数の3分の1を削減するように指示した。そして、11月、さらに生産台数の削減を伝えた。

一方、iPhoneの最大の受託生産メーカーであるフォックスコンは、社内メモに来年は「非常に難しい、厳しい年になる」と記し、200億元(約3260億ドル)の経費削減を目指しているとブルームバーグは伝えた。

アップルを最も強気に支持してきたウォール・ストリートのアナリストでさえも、新型iPhoneの売れ行きは「明らかに期待はずれ」と語った。

さて、アップルは、iPhone XRは順調ですべて本当に問題ないと投資家を安心させる必要があると感じていたのだろうということは分かった。

あとは決心して、我々にも明確にして欲しい。我々はiPhoneの販売台数を心配するべきなのか? 心配しなくてもいいのか?

現状から判断する限り、アップルは明らかに心配している。

[原文:Apple told investors not to worry about iPhone sales — but now it seems worried about them (AAPL)

(翻訳:Yuta Machida、編集:増田隆幸)

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