ミレニアル世代は、上の世代の若い頃に比べるとお金がない。それが極めて大きな違いを生んでいる。
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- ミレニアル世代のお金の使い方は、ゴルフ用品メーカーからカミソリメーカーまで、さまざまな業界に大混乱をもたらしている。
- だが、連邦準備理事会の最新調査によると、ミレニアル世代は前の世代と変わらない。違いは1点だけ。ミレニアル世代は、X世代やベビーブーマー世代の若い頃に比べるとお金がない。
- 「ミレニアル世代は上の世代が若かった頃よりも経済的に厳しい。低収入で、資産や財産は少ない。年齢や他の要素で考えると、ミレニアル世代は消費を好む傾向が見られず、この点は前の世代と著しく異なる」と調査は記した。
ミレニアル世代は、多くの業界を消滅させたと非難されている。だが米連邦準備理事会の調査によると、ミレニアル世代のせいではない。
「ミレニアル世代は長い間、アメリカ経済を支えする消費行動に興味がないと思われてきた。だが米連邦準備理事会の最新の調査によると、そんな違いはなかったようだ」と11月29日(現地時間)、ブルームバーグが伝えた。
「ミレニアル世代のお金の使い方は上の世代とよく似ている。ただ今、使えるお金が少ないだけということが調査で明らかになった。1981年から1997年にかけて生まれた世代は、世界金融危機が発生した頃に成人したため、経済的に遅れを取っている」
調査によると、ミレニアル世代とその上の世代の違いは、主に「ユニークな好みや優先度」から来ているわけではない。
調査をまとめたクリストファー・クルツ(Christopher Kurz)氏、ゲン・リー(Geng Li)氏、ダニエル・J・ヴァイン(Daniel J. Vine)氏は、全般的なテクノロジーの変化、現在進行形の人口動態の転換、そして経済サイクルが原因と指摘した。
最も重要なことは、ミレニアル世代のほとんどが世界金融危機の頃に成人したため、成人した最初の段階で経済的な豊かさを得られなかったことだ。
「ミレニアル世代は上の世代が若かった頃よりも経済的に厳しい。低収入で、資産や財産は少ない。年齢や他の要素を見ても、ミレニアル世代は消費を好む傾向が見られず、この点は前の世代と著しく異なる」
男性の世帯主がフルタイムで働いて得られる平均的な実質賃金をミレニアル世代と上の世代の若い頃とを比較すると、X世代は18%、ベビーブーマー世代は27%、ミレニアル世代よりも高かったことが調査で明らかとなった。
女性は差が小さいが、それでもX世代は12%、ベビーブーマー世代は24%、高かった。他の世代でも、上の世代の若い頃の方がミレニアル世代よりも高い賃金を得ていた。
ミレニアル世代はこれからも業界を消滅させるのか?
景気回復がミレニアル世代の消費行動を変えるのかどうかはまだ分からない。
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ミレニアル世代は使えるお金が少なく、さまざまな業界を苦境に追い込んでいる。ミレニアル世代は買う物を見極めなくてはならず、手の届かない物も少なくない。
景気回復がこうした不均衡を是正するのかどうかはまだ分からない。
調査は「ミレニアル世代の消費に対する好みや優先度が、上の世代よりも低いという証拠はほとんどない」と記した。
例えば、ミレニアル世代は今、上の世代と同じような金額を車に費やし始めている。景気回復によりローン負担が小さくなっているからだ。
しかし、世界金融危機による心理的影響が残っているかもしれないと指摘する専門家もいる。
「我々は世界金融危機から心理的に大きな傷を負ったのかもしれない」とモルガン・スタンレーのアナリスト、キンバリー・グリーンバーガー(Kimberly Greenberger)氏は2017年、Business Insiderに語った。
「当時、5分の1の世帯が世界金融危機によって極めて深刻な影響を受けた」とグリーンバーガー。
「その世帯の子どものことや、不況の長さと深刻さが人々に及ぼした影響を考えると、ミレニアル世代の消費習慣は完全に変わったと思う」
(翻訳:仲田文子、編集:増田隆幸)