国旗掲揚を強制し、聖書を燃やし、信者の身柄を拘束…… 中国で激しさを増す、宗教への攻撃

中国イメージ

習主席の下、中国では宗教に対する取り締まりが厳しくなっている。

EnginKorkmaz/iStock, Etienne Oliveau/Getty Images, Samantha Lee/Business Insider

  • 中国は、キリスト教徒やイスラム教徒、仏教徒に対する取り締まりを強化している。
  • 当局は、イスラム教徒をこれまでになく厳しく監視し、キリスト教の教会を閉鎖、僧侶らに国への忠誠を誓わせている。
  • 無神論をうたう中国共産党は、その支配を弱体化させかねないあらゆる草の根組織を非難している。

中国は宗教に対し、これまでにない戦争を繰り広げている。

この1年だけでも、中国はその信仰を理由にイスラム教徒を拘束し、仏教徒に中国共産党への忠誠を誓わせ、キリスト教の教会に十字架を下ろすもしくは閉鎖するよう強制した。

宗教の中国化

壁画

「安定は幸せ、不安定は悲惨」と書かれた壁画(新疆ウイグル自治区ヤルカンド県、2012年)。

Eric Lafforgue/Art in All of Us/Corbis via Getty Images

無神論をうたう中国共産党は、その支配を維持するため、何十年にもわたって宗教団体をコントロールしようとしてきた。

1951年に設立された国家宗教事務局は、国の統制の下、仏教、道教、イスラム教、プロテスタント、カトリックの5つの宗教団体の存在を認めている。

国はこれらの団体の人事、出版物、財務をコントロール。厳密に言えば、その団体が政府から認められたものであれば、市民は自由に信仰を持つことができる。

2015年には、イスラム教、仏教、キリスト教の指導者らに対し、その宗教と中国の社会主義思想を融合させるよう呼びかける「中国化」という言葉を中国共産党が政府の公式の辞書に加えた。

在北京イギリス大使館の元一等書記官ロデリック・ワイ氏は、「中国共産党は何かにつけ常に宗教との問題を抱えてきた。宗教活動はしばしば、ある種の組織につながる傾向があるためだ。一度組織ができると、党は彼らをコントロールしたがる」とBusiness Insiderに語った。

しかし、習近平国家主席の下、中国政府の取り締まりは憂慮すべき規模にまで拡大しているようだ。

「イスラム教を根絶したい」

祈る男性たち

食事の前に祈りをささげる、新疆ウイグル自治区の男性たち(トルファン市、2016年9月)。

Kevin Frayer/Getty

新疆ウイグル自治区の西側、イスラム教を信じるウイグル人が半数以上を占める地域では、当局が巨大警察国家を作り上げ、最大で100万人のウイグル人を投獄したと報じられている。

多くの被収容者が、ベールを身に付けたり、ひげを長く伸ばすといったイスラム教を信仰している証しを見せたせいで身柄を拘束されたと話している。

中国各地で散り散りに暮らすイスラム教徒の半数以上を占める回族の人々も、政府が彼らに対する取り締まりを強化するのではないかと恐れている。

イスラム教を信仰する多くの回族が住む北部の都市、銀川市では、当局は騒音公害を生んでいるとして、日々の礼拝の呼びかけを禁じていると、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは報じている

中国中部の都市、臨夏市のある指導者は7月、AFP通信に対して「彼らはイスラム教を排除したがっている。イスラム教を根絶したいのだ。近頃では、子どもたちは宗教を信じることを許されていない。信じていいのは、共産主義と中国共産党だけだ」と語った

監視される礼拝、検閲される説教

「地下」教会

中国は、掲西県にあるこの写真のような「地下」のカトリック教会も取り締まっている(2018年3月)。

Andy Wong/AP

取り締まりはイスラム教にとどまらない。

中国当局は、国が認めたカトリックとプロテスタント以外の団体もその取り締まり対象とし、聖書を燃やしたり、教会を閉鎖したり、信者に自らの信仰を捨てるよう命じていると、AP通信が報じた

存続が認められた一部の教会は、建物内に顔認証カメラを導入するか、教会閉鎖のリスクを受け入れなければならない。中国共産党は牧師の説教の内容を検閲し、国のプロパガンダを加えていると、アメリカの人権団体「ChinaAid」の代表ボブ・フー(Bob Fu)氏はフランス24に語った

中国当局とバチカン(ローマ法王庁)は9月、中国が任命した7人の司教をローマ法王が正式に承認することで合意した。しかし、司教任命をめぐるこの合意は、教皇庁の権力を中国共産党に譲るものだとの批判の声もある

およそ1000万人はいるとされる中国のカトリック信者は、バチカンと国が監督する中国天主教愛国会とに分かれている。フィナンシャル・タイムズによると、中国には約1億人のプロテスタントがいる。

僧侶が国旗を掲揚

国旗を掲揚する嵩山少林寺の僧侶たち

2018年10月、国慶節を記念し、中国の国旗を掲揚する嵩山少林寺の僧侶たち。国旗を掲揚するのは、8月に続き、2度目のことだった。

Yuan Xiaoqiang/Orient Today via Reuters

歴史的に東アジアに深く根付いている仏教と道教も例外ではない。

中国はチベットでの宗教活動を制限していて、指導者ダライ・ラマは今も亡命生活を続けている。活動家たちによると、国はチベット仏教の主な僧院の日々の活動を監視していて信者の移動とコミュニケーションを制限しテロリズムの容疑で定期的に僧侶の身柄を拘束している —— 新疆ウイグル自治区と似たような状況だ。

カンフーの生誕地と考えられている古代仏教の僧院、嵩山少林寺は8月、政府の愛国心を示すキャンペーンの一環として、その1500年の歴史で初めて、中国の国旗を掲揚した

「他の道徳的、社会的権威は認められない」

その権力の座を維持したい中国共産党は、その支配を弱体化させ、国内の安定を破壊しかねないあらゆる草の根組織を非難している。

イギリスの元外交官であるワイ氏は、中国が宗教に対して主導権を発揮したがるのは、海外から受ける影響を抑えるためでもあると指摘する。

「宗教に与える海外からの影響と、社会的な思想を操作するために他国が使うかもしれない手法に対し、中国は常に懸念を持っている」と、現在、王立国際問題研究所のアソシエイト・フェローを務めるワイ氏はBusiness Insiderに語った。

「これは中国を再び大きく、強くするという、習近平が持っているより広義の『中国の夢』の一部だ」と同氏は付け加えた。

「中国が今後、どのような政治的、社会的発展を選ぼうと、それは中国共産党によって決められ、広められるもので、他の道徳的、社会的権威は認められない」

[原文:Jailing Muslims, burning Bibles, and forcing monks to wave the national flag: How Xi Jinping is attacking religion in China]

(翻訳、編集:山口佳美)

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