Amazon Web Servicesはクラウドコンピューティング市場をリードしている。
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- アマゾンはAWS(Amazon Web Services)を子会社化するだろうと『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者スコット・ギャロウェイ氏は12月3日(現地時間)、Business Insiderのイベント「IGNITION」で語った。
- 子会社化によってアマゾンは少なくとも700億ドル(約8兆円)相当の価値を手にすると同氏。
- 同時に、同社に対する規制当局の動きを緩和することにもつながると付け加えた。
アマゾンは近い将来、クラウドサービスのAWS(Amazon Web Services)を子会社化し、数百億ドル、おそらく数千億ドルを手にするだろう。
ニューヨーク大学スターン経営大学院の教授で、『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者スコット・ギャロウェイ氏は12月3日(現地時間)、ニューヨークで開催されたBusiness Insiderのイベント「IGNITION」で語った。
子会社化はまた、同社の反競争的な行動についての調査を開始した当局の動きを緩和することにもつながり、子会社化によってAWSは「世界で最も評価額が高い10社のうちの1つ」になるだろうとギャロウェイ氏は述べた。
「その際の問題は、旧来の(小売業の)アマゾンはどうなるかということ」
AWSの子会社化には多くの合理的理由がある。そしてマーケットもそれを望むだろうとギャロウェイ氏。
クラウドコンピューティングはテクノロジー業界における最も重要なドレンドだが、投資家にとっては、そこから利益を上げることは簡単なことではない。3大クラウドサービス ── AWS、マイクロソフトのAzure、グーグルCloud ── はすべて巨大企業の一部門であり、クラウドサービスの収益は全体の収益の一部になっている。
つまり、クラウドのトレンドが「純粋に追求されているわけではない」とギャロウェイ氏は述べた。
最大手のAWSが子会社として独立することは自然な流れであり、アマゾンの株主も大きなメリットを得ることができる。市場の評価次第だが、AWSの評価額は700億ドル(約8兆円)から6000億ドル(約68兆円)の間になるとギャロウェイ氏は見ている。
AWSの子会社化は株主にも利益
株主にとって幸いなことに、ギャロウェイ氏によると小売業に特化したアマゾンと、新しく子会社化されたAWSの時価総額の合計は、現在のアマゾンの時価総額を上回る可能性が高い。
これは過去の子会社化事例からの教訓とギャロウェイ氏。アマゾンの現在の時価総額は約8640億ドル(約97兆6000億円)にのぼる。
また現状、AWSの利益はアマゾンの他のビジネスを補填していると同氏は述べた。アマゾンの国際部門は慢性的な赤字であり、北米部門の利益も小さい。
マーケティングの専門家、スコット・ギャロウェイ氏はAWSの子会社化を予想した。
Business Insider
子会社化は「株主にとって極めてポジティティブなことになる」。
またアマゾンにとって子会社化には、もう1つの動機がある。当局の規制だ。
世界各地の規制当局は、巨大テック企業のパワーと反競争的な行為に大きな関心を寄せ始めている。
巨大テック企業のパワーを弱め、分割して競争を促進すべきという声も高まっている。
AWSの子会社化は、当局の動きに対応し、会社を自分たちの意図通りに分割するチャンスとギャロウェイ氏は指摘した。
とはいえ、同社の反競争的行為への当局の懸念を完全に払拭できるものではないだろう。
エリザベス・ウォーレン上院議員らは、アマゾンが顧客に直接、商品を販売しつつ、小売業者にプラットフォームを提供していることを問題視している。アマゾンはこうした小売業者の販売実績から得たデータを自社製品の販売を有利にするために使用していると批判している。
当局は「アマゾンという侵略者を恐れている」とギャロウェイ氏は語った。
ギャロウェイ氏はアマゾンについての予想で実績を残している。同氏は第2本社に選ばれる都市を予想し、またホールフーズの買収も予想した。
さらに講演の中でギャロウェイ氏はフェイスブックにも言及、アマゾンと同様にインスタグラムを子会社化すべきで、子会社化すればインスタグラムの評価額は1000億ドルから4700億ドルになると語った。
また同社の取締役会はCEOのマーク・ザッカバーグ氏とCOOのシェリル・サンドバーグ氏を解任すべきと述べた。
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ご応募は、以下のアンケートフォームからお願いします。締め切りは12月11日(火)です。なお、当選は発送をもって代えさせていただきます。
(翻訳、編集:増田隆幸)