眞子さまと小室さん。遠い「祝福」と「脱学習院」という問題

眞子さま結婚記者会見

婚約内定の記者会見をする、秋篠宮家の長女眞子さまと小室圭さん

REUTERS/Shizuo Kambayashi

秋篠宮さまの53歳を迎えるにあたっての記者会見の内容が、11月30日に公表された。秋篠宮さまは長女眞子さまの結婚について、

「2人が結婚したいという気持ちがあるのであれば、やはりそれ相応の対応をするべきだと思います」

と述べた。

眞子さまは小室圭さんという同い年の男性と国際基督教大学(ICU)の留学説明会で知り合い、2017年9月には婚約内定会見もした。それから間もなく、小室さんの母親と婚約していたという男性が「400万円を貸したが返ってこない」と複数の週刊誌に語り、2018年2月に結婚式の延期が発表された。

「パラリーガル」という仕事をしていた小室さんは8月、ニューヨークのロースクールに留学したが、勤務先に「結婚の意思に変わりはない」と伝えている。というのが簡単な経緯。

「祝福」一番難しい理由

秋篠宮さま 記者会見

11月22日、53歳の誕生日を控えて、記者会見される秋篠宮さまと紀子さま

REUTERS/Imperial Household Agency of Japan

秋篠宮さまは会見で、

「小室さんに関わること、これが毎週のように週刊誌等で報道されていることは、私も全てをフォローしているわけではありませんが、承知はしております」

と述べていた。確かに留学後も小室さん&母親をめぐる週刊誌報道は止むどころか、ますます騒々しい。だからこそ「相応の対応」が必要だという秋篠宮さまの発言で、「相応の対応」とは何かという追加質問には、こう明言された。

「きちんと、どういうことなんだということを説明をして、そして多くの人に納得してもらい喜んでもらう状況を作る。それが『相応の対応』の意味です」

秋篠宮さまは小室さん側に、3つのことをクリアせよと求めた。説明→納得→祝福である。すべての対象が国民であることは明白だ。皇室は国民と共にある。だから借金問題について説明し、納得してもらい、祝福してもらいなさい、と秋篠宮さまは求めた。最後の「祝福」が一番難しいと思う。

私は過去に3度、朝日新聞のサイト「WEBRONZA」で「眞子さま&小室さん」についてコラムを書いた。1人の女性として眞子さまをとらえれば、好きな人と結婚するのが一番。だから「パラリーガル」でも問題ないと1回目に書き、「親に借金」があってもいいではないかと2回目に書いた。だが、1回目と2回目でまるで反応が違った。「皇室経済法による一時金」が背景にあった。

借金しているのに1億円?

佳子様と眞子様と悠仁親王

眞子さま(左)は結婚と同時に皇室を離れる。その際に一時金として約1億円が支払われる。このことが余計に小室さんとの結婚に反発する声を招いている。

Reuters/Imperial Household Agency of Japan

皇族の女性は結婚で皇籍を離れるが「品位を保つため」に国から一時金が支給され、眞子さまの場合、金額は1億円を超すと見られる。小室さんの母親の借金問題とセットで、この一時金が報じられることが増えた。

結果、2回目には「趣旨はわかるが、借金を返さない人が1億円以上もらうのは、やっぱり解せない」、そういう感想がたくさん届いた。だから「祝福」のハードルが高いと思うのだ。

仮に小室さんが国民に説明する機会(記者会見でも文書公表でも)を持ったとする。小室さん側は「400万円は婚約者としてもらったもので返す必要はない」という認識だと伝えられている。となると、何らかの根拠と共に「もらった」と主張するのだろうか。または「やはり借金でした。これから返します(or返しました)」と説明するのだろうか。

後者の方が「納得」は得やすいような気がするが、それで「祝福」までいくだろうか。

この間の報道で「小室さん=1億円をもらう」という認識が広まってしまった。正確には眞子さまに支給される一時金だが、2人の家庭で使われるお金と考えれば、まあその認識もあながち間違いではない。

「勝ち組」「負け組」という言葉が当たり前になっている時代だから、小室さんが「 1億円を楽してもらう人」に映る。しかもその出どころは税金なのだ。こういうわだかまりを消し、「祝福」までもっていくのは相当大変だと思う。

3回目のコラムでは、この一時金問題を取り上げた。眞子さまのご結婚に賛成する気持ちは変わらないが、納得できない人が多いこともわかる、と書いた。多くの人に読んでもらったが、「眞子さまと小室さんの結婚を支持する人は少ないなあ」とも感じていた。

が、しかし。いたのだ、私以外にも、支持する人が。

「チャラい男」に惹かれる理由

眞子さま

学習院というコミュニティを離れた、眞子さまは小室さんに出会った。

REUTERS/Bruno Kelly

作家の林真理子さんと漫画家の東村アキコさんだった。2人は「文藝春秋」9月号で対談、タイトルはズバリ「眞子さま、初恋を貫いて!」だった。

小室さんを「チャラい男」ととらえた2人は、そういう男に惹かれる気持ちがわかると語り合っていた。林さんは、こう語っていた。

「今、私の周りの二十代で、日本の天皇家や皇室の意義をきちんと理解している人なんてほとんどいません。小室さんもきっとその一人で、皇族の地位には無頓着に、眞子さまとお近づきになったんでしょう」

今の時代における皇室の問題点を、端的に示す発言だと思う。眞子さまは小室さんとICUで出会っている。学習院ではない。その話を書く。

平成における学習院は、皇室と同クラスタの人を育てるインキュベーターの役割を果たしたと思う。それが秋篠宮さまと結婚した1学年下の紀子さまであり、秋篠宮さまの妹の清子さんと結婚した秋篠宮さまの同級生・黒田慶樹さんだ。

ちなみに紀子さまは13歳で海外から帰国、学習院女子中等科に編入して以来、ずっと学習院。黒田さんは初等科からずっと学習院。黒田さんを妹に紹介したのは秋篠宮さまだから、私は学習院のそういう役割を十分に意識した上でのことだったと思っている。

「限られた一つの環境」ではなく

眞子さま

小室さんは眞子さまと結婚する重みをどこまで理解していたのだろうか。

REUTERS/Toru Yamanaka

だが平成も2019年には終わる。眞子さまは高校まで通った学習院と別れ、入学したICUで出会った小室さんとの結婚を望み、極めて難しい状況に陥っている。

小室さんという男性は、林さんの言葉通り「皇族の地位には無頓着に、眞子さまとお近づきになった」に違いない。インキュベーターである学習院では、無頓着に振る舞う人はいなかったろう。だから、眞子さまは小室さんに惹かれた。

その気持ちの一端は、妹の佳子さまが説明している。

佳子さまは学習院大学に一度は入ったものの退学、ICUに入学している。成人にあたっての会見で、退学した理由をこう語った。

皇族姉妹

眞子さまも佳子さまも学習院という環境から外へ。「一つの環境だけ」でなく、広く社会を見てみたいと思われたのだろう。

REUTERS/Thomas Peter

「私は幼稚園から高校まで学習院に通っており,限られた一つの環境しか経験できていないと感じることが多くございました」

多分姉の眞子さまも同じ気持ちでICUを選んだのだと思う。限られた一つでない、新しい環境を求めた。そこには「同クラスタ」でない男性がいた。それが小室さんだから、これまでの皇室の「規格」に沿った人でないことは、ある意味当然なのだ。

秋篠宮さまは、インキュベーターとしての学習院を意識されていると思うと先ほど書いた。だが長男の悠仁さまは幼稚園からお茶の水女子大学附属で、一度も学習院に通っていない。秋篠宮さまご自身が、「限られた一つの環境しか経験できない」ことへの問題点を感じていたからこその選択だったろう。

世界を広げれば、規格外の人と出会う。それは人間の幅を広げもするが、想定外のことを引き起こす。どうすればよいかと考えると、堂々巡りに陥ってしまう。

個人的な話で恐縮だが、2019年1月末に『美智子さまという奇跡』という著書を出版する。皇室にも国民にも、常に100点満点以上の回答を出し続けた美智子さま。その奇跡の軌跡を追い、次の時代を考えた。眞子さまの結婚問題は、今の皇室が抱える困難の象徴のように感じられるから、本の中でもあれこれ考えた。眞子さまが「祝福」される日は来るのだろうか。


矢部万紀子(やべ・まきこ):1961年生まれ。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、「AERA」や経済部、「週刊朝日」などに所属。「週刊朝日」で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長を務めた後、2011年退社。シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に退社し、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』。

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