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- アマゾン(Amazon)の貨物輸送機は、宅配大手UPSやフェデックス(FedEx)の市場シェアを奪おうとしていると、モルガン・スタンレーが指摘した。
- アマゾンは貨物輸送機のボーイング767を40機リースしていて、初の航空貨物ハブにも積極的に投資している。
- 同社の航空便による配達システムは、UPSやフェデックスの売り上げを合計で10%低下させる可能性がある。
アマゾンの貨物輸送機は、宅配大手のUPSやフェデックスの市場シェアを奪おうとしていると、モルガン・スタンレーが指摘した。
ラビ・シャンカー(Ravi Shanker)氏率いる同社のアナリスト・グループは4日(現地時間)、「市場はアマゾン・エアがUPSやFDXの成長に及ぼすリスクを見逃している」と述べた。
アマゾンは2016年8月、ボーイング767を改造し、同社が提携先するアトラス航空が運航する、同社初の貨物輸送機「アマゾン・ワン」を発表。宅配便業界へ進出しようという同社の狙いが注目を集めた。
当時、同社は提携するアトラス航空とエア・トランスポート・サービス・グループ(ATSG)を通じて40機をリースし、UPSやフェデックスといった既存の大手宅配会社への依存度を下げるため、ケンタッキー州ヘブロンにある同社初の航空貨物ハブに積極的に投資していると語った。ウォール・ストリート・ジャーナルは2017年2月、アマゾンが航空貨物ハブに15億ドル(約1690億円)を投資する計画だと報じ、モルガン・スタンレーはこれで100機は運航できるだろうと指摘している。
モルガン・スタンレーによると、アマゾンは配達にアマゾン・エアを利用することで、小包み1つあたり2~4ドル(約230~450円)のコスト削減になり、トータルで20億ドル、2019年の国際輸送コストの6%相当の削減になるという。一方で、UPSとフェデックスの売り上げは、2025年までに合計で10%低下する可能性がある。
「アマゾン・エアの事業は初期段階にあるものの、UPSとフェデックスの国内航空貨物の成長にすでに200~300ベーシスポイント(1ベーシスポイント=0.01%)の打撃を与えていると見られ、アマゾン・エアの構築が進むにつれ、さらなる浸食が見込まれる」とシャンカーは言う。
「また、アマゾン・エアの定期航路は、UPSとフェデックスの3分の2以上とかぶっていると、我々は見ている」
その結果、モルガン・スタンレーはUPSの目標価格を92ドルから87ドルに、フェデックスの目標価格を240ドルから230ドルにそれぞれ引き下げた。
[原文:Amazon's fleet of 767s is bad news for FedEx and UPS, Morgan Stanley says (AMZN, FDX, UPS)]
(翻訳、編集:山口佳美)