ソフトバンク空白の4時間が生んだエモい光景〜怒号だけでなく昭和のドキドキも

携帯大手のソフトバンクで全国的な通信障害が発生した。ネットも通話もできない状況に不安と怒りの声が飛び交う一方、意外な絆やトキメキも生まれたようで……。4時間25分の軌跡をTwitterからたどった。

アポがとれない、辿り着けない

ソフトバンク

4時間25分に及ぶソフトバンクの通信障害が、平成最後の冬にエモい光景を蘇らせていた。

撮影:今村拓馬

ソフトバンクによると、通信障害が発生したのは2018年12月6日午後1時39分頃。

範囲は全国に及んだ。原因は今も調査中だ。

ソフトバンクの携帯電話のほか、第2ブランドの「ワイモバイル」。またソフトバンクの回線を使ってサービスを提供している「LINEモバイル」、ケイ・オプティコムの「mineo」、ソニーネットワークコミュニケーションズが運営する「nuroモバイル」、U-NEXTが運営する「U-mobile」、日本通信の「b-mobole」、「エイチ・アイ・エス」の子会社の「H.I.S.モバイル」、ソフトバンクのグループ会社が運営する「ANAPhone」、スマートモバイルコミュニケーションズの「スマモバ」、岐阜県のケーブルテレビ局が運営する「Hitスマホ」でも、ソフトバンクの回線を使用しているユーザーに同様の障害が出たという(NHKより)。

平日日中の思いがけないトラブル。ユーザーが困ったのは、やはり仕事だ。

「ソフトバンクさん、仕事の携帯使えなくて客先アポ取れないんでやめてもらっていいですか。。。()」「テレアポの携帯全部ソフトバンクで 死んでるから仕事ならん」などのツイートが。

「アポ前にソフトバンク障害でGoogleマップ開けなくて周りの人に聞きまくってなんとかたどり着いた。リスクヘッジという意味では地図が最適解なのだろうか」

「ドコモ、auの人は大丈夫なんだけど、ソフトバンクの大規模障害発生で連絡がつかない人が多数いて、通常どおりの仕事のペースにならない。 部隊損耗率が30パーセントを越えたら全滅、という通説に今まさに一定以上のエビデンスを感じているところです」

あっ、法人契約してたのね

特に法人契約はつらい。

「ソフトバンク…まだ復旧の目処立たないのかなぁ… 手配も出来ない打ち合わせのアポも取れない業者さんに電話も出来ない。固定電話のみでのやり取り不便過ぎる。 法人契約するんでなかった ため息しか出ない」

運送業界では明暗が分かれた。

佐川急便はセールスドライバーの専門端末と携帯電話が使用できず、集荷依頼や再配達の情報がドライバーに届かなくなっていると自社ホームページで報告した。一方、ヤマト運輸は影響は出ていないようだ(NHKより)。

コンサートがピンチ、でもみんな楽しそう

コンサート

GLAYのTERUさんもツイッターで「仕方のないことですからね〜。 臨機応変で!」と呼びかけた。(写真はイメージです)

shutterstock/ salajean

デジタルチケットが普及しているコンサートにも影響が。名古屋でコンサートを開催する予定のGLAYは、午後3時頃から公式ツイッターアカウントで「チケットと携帯電話」を持ってくるようアナウンス。結局、QRコード確認は行わなかったようだ。

「本日のGLAY名古屋公演ご来場のお客様へのご案内です。 17:30現在ソフトバンクで通信障害が発生し、未だに復旧が確認できません。 本日はご来場の皆さんのQRコード確認は行わず入場を行います。 チケットのみでご入場できますので、必ずチケットをお忘れなくお持ち下さい」

ファンは、曲名にちなんで「サバイバルだけに ホンマにサバイバルですね」、また「チケットの有り難さを感じます!」など明るい返信。

他にも、SEKAI NO OWARIはデジタルチケットなどを事前にスクリーンショットするように呼びかけた。

PayPay、お前だったのか

そしてQRコードといえば、「100億円あげちゃうキャンペーン」を実施中のPayPay。

関連記事:PayPay「100億円」に人が殺到、サーバーダウン混乱の現場を見た ── 週末は大混乱か?

Twitterには、アプリが起動しない、起動してもつながりにくく決済ができないという投稿も。

PayPayはヤフーとソフトバンクの共同決済サービスだ。Twitterでは、両社の関係から「ソフトバンクのダウンって、PayPayのが絡んでいるのかなー?」などの憶測が多数飛び交う事態に発展した。

これに対し、ヤフーの川邊健太郎社長がTwitterでまさかのマジレス。

「ソフトバンクの障害は、ご迷惑をおかけしまして申し訳ございません。他方、原因はPayPayでは全くございませんので、宜しくご理解のほどお願い致します」

4時間のタイムスリップ

公衆電話

普段どれほどスマホに頼っていたのか、気づかされた人も多いだろう。

shutterstock/Miyuki Satake

キャリア同士の意外な助け合いもあった。

「auユーザーの皆さま、もしお近くにお困りの方がいらっしゃいましたら、無料Wi-Fi スポットがある場合がありますのでお伝え頂けるとサポートできるかもしれません」

被害はアフター5以降も続いたため、プライベートにも打撃があったようだ。

「よりによってこれからデートするかどうかって大事な時にソフトバンクのサーバーが堕ちてシマタ」

大変!

「2人でディナーデートする予定の女の子がソフバン回線らしく、待ち合わせ場所の連絡ができない」

大変!!

「ソフトバンクめ!!!!俺が女の子とデートしようかなーと重い腰を上げようか迷うチャンスを潰しやがって!!!!!!!!」

ん……?

「いやー、、、ここ最近女の子からデートのお誘いの連絡ないなと思ったらソフトバンクの障害だからか〜!それは仕方ないな〜(╹◡╹) でもこの障害数年も続いてるなんてすごい障害だな〜」

んん……??

「ソフバンが死んでアポの人と改札前で会えるのかドキドキしてるやつ、昭和にタイムスリップした感ある」

わかりみ〜!

他にも、昭和を象徴するような“あるもの”に行列が出来ていたというツイートもあった。

「ソフトバンクの回線が使えないせいで公衆電話に人が群がってるんだけど、みんな電話番号を記憶してないから、つながらないスマートフォン片手に公衆電話をかけるという平成の終わりとは思えない実に滑稽な光景が広がっている。 ワイ氏ドコモなので高みの見物」

ソフトバンクの障害情報ページには、障害が発生していた期間は12月6日13時39分頃から18時4分までの約4時間25分となっている。ソフトバンク広報によると、障害の原因は「交換設備の不具合」だったとのこと。

人やエリアによって被害は異なるが、4時間25分もの間、全国のユーザーが影響を受けたというのは、非常に大規模かつ深刻なものだと言える。同社には原因の究明とユーザーへの詳細な説明が求められるだろう。

(文・竹下郁子、小林優多郎)

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