ファーウェイCFOの逮捕は、米中貿易戦争が新たな段階へエスカレートしている証拠 —— エコノミストが指摘

習近平、ドナルド・トランプ

Jonathan Ernst/Reuters

  • 12月5日(現地時間)、中国のテック大手ファーウェイの孟晩舟(Meng Wanzhou)CFOが1日、カナダで逮捕されたとのニュースが入ってきた。
  • 孟氏の身柄はアメリカに引き渡される見込みだ。同氏はアメリカの対イラン制裁に違反したとされる。
  • 孟氏の逮捕に中国政府は直ちに抗議。 米中両国は数日前の首脳会談で、貿易戦争の「一時休戦」で合意したと見られていただけに、アナリストや投資家の間には懸念が広がった。
  • この動きは、国際社会で強まる中国の影響力を抑えようとするトランプ政権のより大きな方針にも合致するものだ。
  • 孟氏の逮捕とトランプ政権の中国に対する強硬姿勢は、米中貿易戦争が「新たな段階へとエスカレートしている」ことを意味すると、あるエコノミストは指摘する。

数日前の首脳会談で、米中間の貿易をめぐる緊張は和らいだと見られた後、ファーウェイの孟晩舟CFOが逮捕されたとのニュースが入り、アメリカは再び中国を怒らせている。

ファーウェイ創業者の任正非(Ren Zhengfei)氏の娘である孟氏は1日、カナダで逮捕され、対イラン制裁に違反した疑いでアメリカに身柄が引き渡されると見られる。

この動きに、中国政府と国営メディアは直ちに抗議。投資家やアナリストの間にも、トランプ大統領と習近平国家主席の間の貿易をめぐる「一時休戦」は、すでに消失しているのではないかとの懸念が広がった。

「これは、貿易戦争が新たな段階へとエスカレートしていることの明らかな兆候だと、我々は考えている」と、ドイツ銀行の中国担当のチーフエコノミストZhiwei Zhang氏は6日、指摘した。「米中が3月1日までに貿易で合意に至る可能性は、40%から30%に低下したと見ている」

Zhang氏によると、逮捕が直接、米中の交渉に影響することはなく、合意に達する可能性はある一方で —— 今のところ、中国は合意に達することに乗り気であるように見える —— 展開次第で、交渉に複雑な要素を加えかねない。また、これは対立が貿易をしのぐことを示す直近の一例だ。

米中の対立では、トランプ大統領の関税に注目が集まっているが、孟氏の逮捕はトランプ政権の戦いが関税だけでないことを思い起こさせる。

アメリカ司法省とトランプ政権の一部は、政権が中国経済の制度的な問題とみなしているものに対する取り締まりを強化している。

ここ数カ月で、司法省はいくつかの措置を取っている。

  • 9月25日:司法省は留学ビザでアメリカに入国した紀超群(Ji Chaoqun)氏を、中国の国家安全庁の指示で中国出身のアメリカ人エンジニアや科学者と接触しようとした疑いで逮捕。
  • 10月10日:アメリカは、中国の情報機関の幹部である徐彦君(Yanjun Xu)氏をベルギーにおびき出した後、逮捕した。航空宇宙関連企業から機密情報を盗もうとした疑い。
  • 11月1日:司法省は、中国の経済スパイ対策のための「チャイナ・イニシアチブ(China Initiative)」と呼ばれるタスクフォースの設置を発表

孟氏の逮捕は、これまでで最も大物の逮捕だ。逮捕理由の詳しい内容は分かっていないが、これら一連の動きは、中国の経済行為に対するアメリカ政府の目が厳しくなっていることを示している。これは、歴代政権が同じような問題に取り組んでこなかったということではない。だが、トランプ政権の対応は意図的にメッセージを送っているように見える。

セッションズ司法長官はチャイナ・イニシアチブを発表した記者会見で、政権の立場を明らかにした。

「アメリカに対する中国の経済スパイは増加している —— それはますます急速に増えている」

セッションズ長官は述べた。「はっきり言おう。もうたくさんだ。我々はこれ以上、許さない」

アメリカはまた、中国への輸出を禁止するテクノロジーのリストを拡大し、中国企業によるアメリカへの投資に規制をかけることを検討している。

「貿易戦争とアメリカ企業に対する中国の世論は、ますますネガティブなものになるだろう」と、Zhang氏は言う。「中国政府は、アメリカに大きく譲歩したと国民に伝えるのが難しくなるかもしれない。貿易交渉はG20首脳会議で再開したばかりだ。だが、見通しは暗い」

[原文:Chinese tech giant Huawei's CFO proves Trump's trade war is 'escalating to a new level']

(翻訳、編集:山口佳美)

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