無人兵器から瞑想まで、ビル・ゲイツが選ぶ2018年の本 ベスト5

ビル・ゲイツ

Gates Notes LLC

  • 熱心な読書家でもあるビル・ゲイツはこれまでにも「年間のベスト本」を紹介してきた。
  • 2018年のお薦め本には、瞑想をテーマにした2冊、回顧録、シリコンバレーの注意すべきストーリー、そして無人兵器について考察する本などがあがった。
  • ゲイツは2018年のお薦め本は贈り物に最適で、多くの人の心に触れるものと述べた。

マラリアの根絶世界のトイレ事情の改善に奔走する多忙な人物としては、ビル・ゲイツの読書スケジュールはかなり驚異的。

マイクロソフトの創業者で現在はビリオネアの慈善家として知られるゲイツは週に1冊、年間で約50冊を読破することで知られている。

2018年もゲイツはオススメの5冊を厳選した。すべてノンフィクションだ。

ゲイツは過去にも多くの本を推薦しているが、2018年のオススメ本は、特に贈り物に最適と記した。無人兵器から瞑想まで、幅広いテーマの中には多くの人の琴線に触れる1冊があるはず。

「もし友だちや家族に間違いのないプレゼントを探しているなら、ここから選べば間違いない」とゲイツはブログに記した

ビル・ゲイツ、オススメの5冊を見てみよう。


『Bad Blood』ジョン・カレイルー(John Carreyrou)

Bad Blood

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Business Insiderの読者なら『Bad Blood』をよく知っているはず。セラノス(Theranos)についてのストーリーだ

セラノスは血液検査のスタートアップ、そのテクノロジーが実際に機能しているかのように思わせて、投資家、患者、ビジネスパートナーを騙した。

エリザベス・ホームズ(Elizabeth Holmes)はわずか19歳で同社を立ち上げ、巨額の投資と世界的な名声を得た。

だが、セラノスは検査結果を偽造しているとウォール・ストリート・ジャーナルが暴露すると、実験ラボや検査センターは閉鎖に追い込まれた。ホームズと彼女の元ビジネスパートナーは詐欺罪で起訴された。

著者のジョン・カレイルーは2018年5月、セラノスがいかにして多くの人を騙し通したかをBusiness Insiderに語った

「エリザベスは自分の会社がソフトウエア会社でないという事実を見失ってしまったと思う」とカレイルーは語った。

ゲイツはこの本を「セレブの美徳についての注意すべき話」であり、シリコンバレーのための教訓と呼んだ


『Army of None』ポール・シャー(Paul Scharre)

Army of None

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ポール・シャーの『Army of None』はタイムリーかつ重要な問いを考察した。

「我々はコンピューターに従うべきなのか?」

敵の人間を殲滅するよう無人兵器をプログラムできる今、多くの人は将来、予期せぬ殺人が起こり、市民が犠牲になるのではないかと懸念している。

『Army of None』は、AIと人間の判断を組み合わせることを提唱した。AIが人の命を奪うことのないように。

ゲイツはこの本は欠かすことのできない1冊と語った。

「無人兵器について学ぼうという私の最初の試みは失敗に終わった」とゲイツはブログに記した。

「私が読んだ本は無味乾燥で、とても時代遅れに感じられた。そして数カ月前に『Army of None』を手に取った。これこそ、私が待ち望んでいた本だった」


『Educated』タラ・ウエストーバー(Tara Westover)

Educated

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ネットフリックスのドキュメンタリー『ワイルド・ワイルド・カントリー(Wild Wild Country)』のファンなら、モルモン教徒の家庭で育ったタラ・ウエストーバー氏の回顧録『Educated』を楽しめるだろう。

幼い頃、ウエストーバーは世界の終わりが近いと信じる、陰謀論者の父親の影響を受けて育った。

17歳になるまで学校に行ったことがなかったにもかかわらず、ウエストーバーはブリガムヤング大学に入学できるほどの学力を身につけた。そして彼女はゲイツ奨学金を受け(ゲイツはこの本を読んで初めてその事実を知った)、ケンブリッジ大学に進んだ。

彼女の物語はトラウマ、別離、そして究極的には自己発見。

本書はまた、アメリカの二極化にも触れている。民主党支持者の多い州と共和党支持者の多い州、田舎と都市、そして大学進学者と学歴のない人たち。

ウエストーバーとの対談でゲイツがこのテーマについて聞くと、彼女は次のように語った。

「私は、教育を他人を服従させるための棍棒のように使う人がいること、あるいは教育を受けたことで傲慢な態度をとる人がいることを心配している。私は教育を連帯と均等のための素晴らしいメカニズムと考えている」


『21 Lessons for the 21st Century』ユヴァル・ノア・ハラリ(Yuval Noah Harari)

21 Lessons for the 21st Century

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ゲイツは、歴史家ユヴァル・ノア・ハラリの最新刊のタイトルは正確ではないと語った。

「本書には確かな教訓が散りばめられているが、ハラリは多くの場合、簡単に処方箋を提示するようなことはしていない」

そのかわり、本書はテロリズムや格差問題といった世界規模の差し迫った問題に直面した時、マインドフルネスと瞑想を行うことを勧めている。

ゲイツはいくつかの異論を唱えてはいるが ── 例えば、ソーシャルメディアは政治的な二極化を促進しているなど ── 人生の大きな困難の中で、心配事を和らげるというアイデアには賛成している。

ゲイツはまた、彼自身が人生の中で学んだことも紹介した。

「実際よりも、物事は良くなっている ── あるいは悪くなっている ── と考えて、自分に嘘をつかないように注意しなければならない」


『The Headspace Guide to Meditation and Mindfulness』アンディ・プディコム(Andy Puddicombe)

The Headspace Guide to Meditation and Mindfulness

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さらにゲイツがマインドフルネスをテーマに最後に勧めた本は、瞑想が集中力を高める強力なツールであることを研究に基づく証拠で提示した。

著者のアンディ・プディコムは仏教僧でHeadspaceの共同創業者。人気の瞑想アプリで、ガイドライン付きのエクササイズ、アニメーション、記事、動画を提供している。

ゲイツは、プディコムを自分を「懐疑主義者から物事を信じる人間に変えた人物」と呼んだ。ゲイツはプディコムに自分の家族に1日半の瞑想エクササイズを行って欲しいと依頼したことさえある。

「マイクロソフトを立ち上げた頃、瞑想していれば、どれほど集中力を高めることができたのか分からない」とゲイツは記した

「しかし、結婚し、3人の子どもと、より広範にわたる仕事と個人的な関心事を持っている今、私のフォーカスを向上させる素晴らしいツールになっている」


[原文:Bill Gates reveals his 5 favorite books he read in the past year

(翻訳:忍足亜輝、編集:増田隆幸)

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