【ゴーン前会長再逮捕】直近2年は西川現社長も当事者?刑事訴追の可能性は?

日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン容疑者(64)が5会計年度分の役員報酬を50億円ほど少なく有価証券報告書に記載したとして逮捕された事件で、東京地検特捜部が2018年12月10日に、ゴーン前会長と、代表取締役だったグレッグ・ケリー容疑者(62)を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで再逮捕した。

カルロス・ゴーン

2018年10月1日、パリで開かれた自動車ショーに主席したカルロス・ゴーン前会長。

REUTERS/Regis Duvignau

12月10日付の朝日新聞デジタルによると、ゴーン前会長とケリー前代表取締役の再逮捕容疑は、2015年度〜17年度の3会計年度分の報酬についても、約40億円を有価証券報告書に記載していなかったとされる。

2回の逮捕で立件されたのは、2010年度から2017年度までの8会計年度分の虚偽記載だが、今回の逮捕容疑には、これまでと異なる点がある。

2016、2017年度については、有価証券報告書の提出責任者が西川広人現社長である点だ。

検察官出身の郷原信郎弁護士は「虚偽の有価証券報告書を提出するのが犯罪である以上、直近の2年については、提出の義務を負うのは西川社長。今後の焦点は、西川社長の刑事責任が追及されるかどうかだ」と話す。

「西川社長を加えず犯罪を構成できない」

郷原信郎弁護士

西川社長の責任追及が今後の焦点だと話す、郷原信郎弁護士

撮影:小島寛明

有価証券報告書の「表紙」には、代表者の役職氏名を記載する欄がある。ウェブサイトで開示されている日産の有価証券報告書には、2010年度〜2015年度については当時社長を務めていたゴーン前会長の名前が、2016、2017両年度には西川現社長の名前が書かれている。

金融商品取引法197条を見ると、有価証券報告書の虚偽記載については「重要な事項につき虚偽の記載のあるものを提出した者」が処罰の対象になると規定されている。

つまり、2010〜2015年度の6年分についてはゴーン前会長が直接の提出責任者だったが、直近の2年にあたる2016〜2017年度については、西川現社長が直接の提出責任者ということになる。

郷原氏は「西川社長を犯罪に加えずに、犯罪を構成することはできない」と指摘する。

西川社長は司法取引対象にはならない

日産西川社長

2018年11月19日、日産・横浜本社で開かれた緊急会見で説明する西川社長。

REUTERS/Issei Kato

12月6日付けの朝日新聞デジタルによれば、ゴーン前会長の年間の報酬総額は約20億円。実際に受け取った額は約10億円、差額は10億円などと記載された合意文書が存在するという。

ゴーン前会長側が受け取っていない差額については、退任後にコンサルタント料などの名目で支払うことで合意していたという。支払い名目についての文書については西川社長も署名していたと報道されている。

西川社長が虚偽の記載を認識したうえで、有価証券報告書を提出したのであれば、少なくとも2016年度〜2017年度については、虚偽記載の当事者といえるだろう。西川社長が、自ら進んで検察側にこうした事実を伝えていたとしても、司法取引の対象にはならないと、郷原弁護士はみる。

「他人の犯罪事実を申告するのが司法取引。西川社長が、この事実を伝えたとしても、自分の犯罪を検察に”自白”しただけということになる」

報道をベースに考えると、仮に、毎年の報酬を事前に決め、その50%を報酬として支払ったうえで有価証券報告書に記載。退任後のコンサルタント料については、支払いが発生した時点で有価証券報告書に書くという処理も可能だったことにはならないか。

各社の報道によれば、計画的な虚偽記載だったとする検察側と、会計処理をめぐる「見解の相違」にとどまるとするゴーン前会長側の主張が、公判開始前から真っ向からぶつかっているようだ。

ゴーン前会長が逮捕された当日深夜に記者会見を開いた西川社長は、自身の関与などについては一切触れなかった。西川社長が、再び会見を開くことはないのだろうか。

(文・小島寛明)

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