東京・日比谷の東京ミッドタウン日比谷に、特別に作られたスペースで開催。
場所、時間、肩書き。私たちを縛ってきたものから自由になる。他人が決めた価値観ではなく、自分が信じる働き方を選ぶ……。そんな Lifegenicな生き方をする人が増えている。この先、働き方はどう変わっていくのだろうか。
2018年11月28日の夜、 東京ミッドタウン日比谷で行われたイベント「Lifegenic Table by LEXUS UX 自由に働く。自分らしく生きる」(主催:Business Insider Japan、協賛:Lexus International)に、パラレルキャリアを実践する正能茉優さんを招き、新しい働き方に関心のある読者とともに「自分らしい生き方」について語り合った。
イベントのハイライト: ・これからは、「社会とのつながりの中で好きなことをする」が加速する ・好きなことを仕事にするには、「困っている人に出会うこと」 ・自分の人生を自分でコントロールできていると幸せ!
集まったのは「働き方」に興味のある13人
まずは参加者一人ひとりが自分の今の働き方を紹介した。
「以前は何千人も社員がいる企業で働いていたが、今は10人のベンチャーに転職。好きなことができている」「会社員だが、それとは別にスタートアップでも働いている」「会社を辞めて最近大学院に通い始めた」と、すでに新たなチャレンジをしている人も。レクサスのミレニアル世代の社員も2人が参加。「Lifegenicとは、自分の好奇心や意思に率直でいる、ということだと思っています。そういう考えの人と直接対話できるのが楽しみ」「実は単身赴任をしているので、家族の時間と仕事の時間をともに大事にする生き方を模索中」と話した。
参加者からは、「みんなの意見を聞きながら、自分の働き方、キャリア、ライフステージを考えたい」という声もあり、同じミレニアル世代で語り合う本イベントへの期待が感じられた。
3つの仕事を持つパラレルキャリア
「今日も18時頃まで会社で働いてからここに来ました」と正能さん。
第1部はトークセッション。正能さんの自己紹介から始まる。
「私は今、3つのお仕事をしています。1つは大学時代に立ち上げたハピキラFACTORYという会社の社長。これは、地方にある外見がイマイチだけど中身はすごくいいお菓子やお酒を、かわいくして販路を開拓するお仕事です。
2つ目はソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社の正社員。最近は、スマートフォンの周辺機器に携わっています。3つ目は慶應義塾大学大学院の特任助教として、大学生と一緒に地方自治体に行って、新しい事業を創造するゼミのようなことをしています」
カレーもパスタもデザートも食べたい
平日は主に会社のある東京で働き、土日は地方に行ってゼミ合宿をすることもあるという。
休みがなくて疲れないか、という問いには「疲れたなと思ったときは、休んでいます。“休んでいます”ってわざわざ言わないけれど、家でのんびりするお休みも結構あるんです(笑)」と、肩に力の入らない回答。
「私は自分の働き方を“ビュッフェキャリア”と呼んでいるのですが、好きなことを、好きなバランスで、好きなだけやる、ということ。ホテルのビュッフェって、カレーもパスタもスイーツも揃っていますよね。私は全部をちょっとずつ食べたい。でもいろいろなタイプの人がいて、カレーが大好きで、カレーだけたくさん食べたいという人は、それも素敵だと思うんです。そして、自分がもうお腹いっぱいだと感じたらやめればいい。どんな働き方を選ぶかは、自分次第だと考えています」
好きなことを仕事にするには
正能さんの聞き手を務めるのはビジネスインサイダーの浜田統括編集長(右)。
今日のトークセッションのテーマは「自由に働く」。自分で今のような働き方を選んできた正能さんが、参加者にアドバイスをする。
「組織の中で自由に働けるようになるには、2つのアプローチがあると思います。1つは社内的なポジションを上げていくこと。社内で実績を残して、つながりをつくって、評判をあげていくことですね。2つ目は、ウルトラCなアプローチですが(笑)、“社外的な価値”を背負った状態で、組織で働くこと。ソニーの仕事で言えば、社内には私よりずっとプロフェッショナルな人がいるので、私は後者ですね。社外で活動して身につけた力を活かして、ソニーに貢献したいと思っています。例えば、自分の会社であるハピキラの販路をソニーでも活かす、またソニーがイベントに呼びたいと考えている人を紹介したり、積極的につないだりもします」
好きなことを仕事にしたいが、どうしていいかわからないという相談もよく受けるという。
「ポイントは、自分が得意なことでお助けできるような、困っている人に出会うことだと思うのです。例えばプログラミング、デザイン、英語などが得意な人が学生たちの中にはいますが、地方自治体ではそのようなスキルを持つ人がいなくて、困っているところもある。青山やここ日比谷でやろうとしたら仕事にならなくても、地方に行くと歓迎されて、それが仕事になるんです」
「お世話になっている人に借りを返したい」
2018年は副業解禁の年と言われたが、2019年は社会そして働き方はどのように変わっていくのだろうか。
「社会と個人の貸し借りの関係がキーになってくると思います。『好きに働きたい』と個人がただ主張するだけでは、なかなか世の中は回っていかない。好きなことを社会の中で価値にしていく必要があります。最近、私も『仕事を選ばないね』と言われることが増えてきたのですが、そうではないんです。あの人にもこの会社にもお世話になってきたから、その借りを返さなくては!という思いから。社会とのつながりの中で、貸し借りのバランスを取りながら、好きなことをする。これからは、そんな現実的で自由な働き方が加速するのではないでしょうか」
ディスカッション時は、正能さん、浜田編集長も参加メンバーのテーブルに加わった。
第2部は、チームディスカッション。4チーム別に「これから社会、働き方はどう変わるか」「自分はこれからどんな働き方をしていきたいか」「自分らしく働くために大事にしたいものは」について意見交換。軽食をとりながら、賑やかに進む。
チーム別の発表では、「自分の人生を自分でコントロールできていると幸せ」「誰かの助けとなっている仕事であればよいなと思う」「自分らしく生きる、働くとは、納得感があるかどうか」など、率直な意見が伝えられた。 イベントは正能さん、浜田編集長の言葉で締めくくられた。
「同じ世代の人たちがこうやって平日の夜に集まって、働くことについてこれだけ話ができるなんて、すごく素敵で、尊い時間だと思いました。たくさんの選択肢があり、やってみたいことにはチャレンジできる時代だからこそ、こういう機会の出会いを大切に、私もいろんなことにトライしたいと思います」(正能さん)
「まさかこんなに働き方が選べる時代が来るとは思いませんでした。これまでずっと私は好きな仕事をしてきていますが、本業の圧が強くて自分で人生をコントロールできている感じがしない。でもこれからはもっと自由に働きたい。何歳からでも遅くない!と思います」(浜田編集長)
軽食は日比谷ミッドタウン「LEXUS MEETS..」内のカフェ「THE SPINDLE」より。
例えば伝統的な企業で働いていたら、働く時間や場所などのルールを変えるのは難しいこと。しかし、勇気を持って変化に導く人が出てこないとみんなの人生は豊かにならない。ミレニアル世代にはそんな救世主のような人々が登場してきている。
自分の人生は、自分でコントロールすれば幸福度が上がる。世代、時代に変化が訪れ、自分に主導権を取り戻すことが少しずつ可能な時代になってきていることに期待が膨らむイベントとなった。
探そう。自分らしく生きる手がかりを。Cue for Lifegenic Supported by Lexus