ホンダは、ロボットを含む新しい実験的なプロダクトをCES 2019でお披露目する。
出典:Honda
本田技研工業(ホンダ)は、2019年1月8日から11日(現地時間)にかけてアメリカ・ラスベガスで開催される「CES 2019」に出展すると発表した。
同社は社内外を問わずに手を組み成長を加速させる“オープンイノベーション構想”を掲げ、2017年に10年ぶりにCESに出展。今回の出展もこの構想を継続した3年目のものとなる。
CES 2019でホンダは、さまざまな実験中のプロダクトを披露し、社内の技術者が直接解説することで、より強力なパートナーを募る狙いがある。
人型ではない“人と共存する”ロボットが登場
人が多い公共施設での実験の様子。パスボットは手前から来る人を検知しており、ぶつからないように避けることができる。
ホンダがCES 2019で披露するプロダクトの中で注目したいのは、同社のロボティクス分野の出展で、人と共存することを目的として作られたロボット「Honda P.A.T.H. Bot(パスボット)」だ。
パスボットの高さは1メートル5センチで、重量は21.5キロ。同社が以前開発していた二足歩行ロボット「ASIMO(アシモ)」のような人型ではなく大きな柱のような形状をしているため、一見すると“人と共存する”というコンセプトからかけ離れた工業的なものに感じる。
ただし、パスボットのP.A.T.Hは、“Predicting Action of Human”(人間の動きを予測する)の頭文字であり、人や障害物の位置や動きをリアルタイムに予測してそれらを避け、スムーズに目的地までたどり着く機能を持っている。「人に不安を与えず、人の行き交う公共空間をスムーズに移動する機能」の搭載が特徴だ。
未来ではロボットが人間を理解する必要がある
ホンダは、CES 2018で4つのコンセプトロボットを公開していた。
同社はすでにロボティクスプラットフォーム構想として「3E」を定義しており、3Eとは
- Empower(人の可能性を拡大する)
- Experience(人と共に成長する)
- Empathy(人と共感する)
から来ており、これらの要素を満たすロボットを開発し、実用化につなげることで、人の素晴らしさが際立つロボティクス社会の実現を目指している。実際、CES 2018ではそれらに沿った4つのコンセプトロボットを公開していた。
ホンダでCES 2019でのロボティクス分野を統括する佐野成夫氏。
もちろん、パスボットも3E構想に沿うものだ。同社グループの本田技術研究所R&DセンターX所属の佐野成夫氏は、CES 2019出展に関する事前説明会で「ロボティクスデバイスが身近にいるためには、まず人が(ロボットを)許容する必要がある」と話している。
同社が考えるロボットが当たり前の時代には、人がロボットを認める必要があり、またそのためにロボットが人の動きや要望を事前に察知する能力が必要だというわけだ。
パスボットは現在、ショッピングモールや公共施設などでの来客案内といったユースケースを想定し開発されているが、それ以外の用途にも積極的に検討していきたい姿勢を示している。同社はCES 2019で、公共空間での実証実験を共に行うパートナーを探していく方針だ。
CES 2019では「ロボティクス」にも要注目
CES 2019でのホンダブースの予想図。広さとしては昨年比で1.5倍ほどとのこと。
同社はその他にも、ロボティクス分野ではパスボット以外にも3製品、モビリティーとエネルギー分野ではそれぞれ1製品、スタートアップとの取り組みが2つ、独自のアプリ開発の1製品をCES 2019に出展予定だ。
CESは例年、その年のテクノロジーのトレンドが分かる一大イベントだが、2019年はロボティクスもひときわ熱い分野になるかもしれない。
(文、撮影・小林優多郎)