孟氏を応援するため、中国からバンクーバーに駆け付けた男性。
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バンクーバーの裁判所は2018年12月11日(現地時間)、カナダで逮捕された中国企業ファーウェイ(華為技術)の孟晩舟(Meng Wanzhou)副会長兼最高財務責任者(CFO)の保釈を認めた。保釈金は1000万カナダドル(約8億5000万円)。
一方で、保釈にあたっては、GPS(衛星利用測位システム)で24時間、孟氏の居場所を監視するなど、「事実上の軟禁」とも言える16条件を課し、違反した場合はただちに逮捕するとした。
裁判所の前で孟氏の保釈を求める人々。
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裁判官は審理で、「孟氏の逮捕はアメリカの要求だが、アメリカは孟氏の引渡しを正式に要求してきておらず、証拠の詳細も提供していない」と指摘。60日を期限に、アメリカに対し引渡し要求を正式に行うよう求めた。
孟氏は期限となる2月6日まで、ブリティッシュコロンビア州にとどまることを条件に保釈を認められた。このほか、中国旅券(パスポート)と香港旅券を当局に預けることや、午後11時から午前6時までは自宅から出ないこと、セキュリティー会社の保護を受け、その費用を孟氏側が負担するなどの16の条件がついた。
孟氏はセキュリティースタッフ同行のもと、カナダでの自由な行動を許されるが、空港や国境に近づくことは禁止される。
バンクーバーの裁判所に入廷する、孟晩舟の夫であるLiu Xiaozong 氏。
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裁判官が保釈を認める判断を宣言すると、傍聴席は拍手が起き、孟氏は涙を流して弁護士と抱き合った。
孟氏の弁護士は、「彼女は保釈後、カナダの自宅で夫と娘と静かに過ごすつもりだ。この数年、小説すら読む時間もなかったので、この時間を利用して、Sauder school of business(ブリティッシュコロンビア大学のビジネススクール)で博士学位を取りたいと言っている」と語った。
ファーウェイは保釈を受け、「当社はカナダとアメリカが法律に従って公正な結論を出すと信じている。当社はこれまでも、ファーウェイが事業を行う国の法律法規を遵守していると強調してきた。アメリカとカナダ政府には、この事件を適切、公正に処理することを期待する」とコメントした。
(文・浦上早苗)