在宅勤務は当然、しかし、退職金はそうでもないようだ。
Kirill Kolchanov/Strelka Institute/Flickr
- 調査会社ギャラップが「ジョブ・ホッピング世代(仕事を転々とする世代)」と名付けられたミレニアル世代は、一般的に現在の職場に2、3年以上とどまるつもりはない。
- 1997年以降に生まれたZ世代も、同じようにせわしなく仕事を変えるようだ。
- グラスドアのチーフエコノミスト、アンドリュー・チェンバレン氏は、若い世代は上の世代が求めてこなかった社員特典を求めることにあまり抵抗がないと語った。
- 一方で、若い世代は雇用主を低く評価している傾向もある。
ミレニアル世代は「ジョブ・ホッピング世代(仕事を転々とする世代)」と呼ばれる。そして、1997年以降に生まれたZ世代も同じようにせわしなく仕事を変えるつもりのようだ。
グラスドア(Glassdoor)のチーフエコノミスト、アンドリュー・チェンバレン(Andrew Chamberlain)氏は、ミレニアル世代の中の若い層とZ世代は全般的にその上の世代が遠慮して求めてこなかったと思われる社員特典や福利厚生、特に有給休暇や在宅勤務の選択肢などを求めているとBusiness Insiderに語った。
「不況を経験したことのない若いミレニアル世代やZ世代が明らかに大勢いる」と同氏。
「前回の不況が終わった後で働き始め、以前よりも仕事を選り好みするようになり、優先順位は変わってきていると感じる」
グラスドアのチーフエコノミスト、アンドリュー・チェンバレン氏。
Courtesy of Glassdoor
2010年代半ばに働き始めた世代は、極めて強い売り手市場しか体験していない。
2018年10月、アメリカの失業率は1969年以来、最低の水準となった。企業は多くの採用枠を埋めるために、「タイム・ニンジャ」という肩書きを設けたり、自動音声で採用面接をするなど、あらゆる手段を講じている。
「数十年に一度の強い売り手市場になっている。アメリカでは現在、700万の職が埋まっていない。そして企業は必要な能力を持った人材の確保に苦戦している」
しかし、極めて強力な採用市場にもかかわらず、ほとんどの20代は雇用主に対して忠誠心を感じていない。
「2018年 デロイト ミレニアル年次調査(2018 Deloitte Millennial Surbey)によると、43%のミレニアル世代、61%のZ世代は、2年で現在の職場を離れるつもり。5年以上、現在の職場にとどまるつもりと答えたのは、ミレニアル世代の28%、Z世代の12%のみ。
またチェンバレン氏によると、若い世代は有給休暇や在宅勤務といった社員特典を求めることに抵抗を持たない一方で、雇用主が企業年金といった必要不可欠なものを提供したいと考えていると信じていない。
Business Insiderも先日、以下のように記した。
「12月はじめ、Business Insiderは1000人を対象に調査を実施した。その結果、現代の若い労働者は、雇用主が提供し得る社会保障をあてにしないで動いていることが分かった。企業年金は良い職場の必須条件と考えている18〜29歳の回答者は、平均的な回答者よりも19%少なかった。一方、60歳以上では13%多かった」
この結果は、若い世代に興味深いパラドックスが存在することを意味する。若い世代は、仕事は簡単にすぐに見つかると考えており、パジャマ姿で在宅勤務する権利を求めることに抵抗はない。しかし、雇用主が自分たちの未来に投資してくれることに対しては今ひとつ確信が持てない。
(翻訳:Yuta Machida、編集:増田隆幸)