- ニューヨーク・タイムズは、日常生活をライブ配信することで生計を立てている25歳のニューヨーカー、ジョバン・ヒルを取り上げた。
- ヒルは自分自身を撮影し、その中でポップカルチャーについてまくしたて、食事をし、マリファナを吸い、友だちと話をしている。そして多くの人がそれに対してお金を払っている。
- 彼は時々、フォロワーにお金の心配を訴える。フォロワーは彼のライブ配信チャンネルやVenmoを通して月4000ドル(約45万円)以上を寄付している。
ソーシャルメディアの何百、何千もの熱心なフォロワーが喜んで寄付してくれるなら、それを利用しない手はないのではないか?
そう語ったのは25歳のニューヨーカー、ジョバン・ヒル(Jovan Hill)。最近、ニューヨーク・タイムズに、日常生活をライブ配信して生計を立てる人物として取り上げられた。
ヒルは、ネット上の熱心なパトロンたちから月4000ドル(約45万円)を超える寄付を受けていると語った。そこからブルックリンのアパートの家賃を払い、マリファナやビデオゲームや服を買い、母親の世話もしている。
ニューヨーク・タイムズによるとヒルは時々、ツイッター、ライブ配信アプリのペリスコープ、YouTuber向けのクラウドファンディングのパトレオン(Patreon)などで「ファンの競争心をあおる」、お金を得るために。
ある動画では「今日は全然お金がない。もし税の控除がしたいのなら、Jovan charityに寄付してほしい」と呼びかけた。
だがフォロワーはしばしば頼まれなくても一方的に、Venmo(個人間で送金できるアプリ)で寄付を送る。彼の動画に感謝の意を示しながら。その動画の中でヒルはポップカルチャーについてまくしたて、メンタルヘルスについて語り、食事をし、マリファナを吸い、友だちと話をし、近所を歩き回っている。
「彼の台本のないライブ配信は、躁うつ病に悩む20代の若者が奮闘する姿を見せている。家族からの経済的支援や普通の仕事もない中、なんとか意味のある存在であろうとする姿を見ることができる」とニューヨーク・タイムズは伝えた。
「これを自分の仕事にした」とヒルは語った。彼がフォロワーからの経済的サポートに頼るようになったのは2018年はじめから。テキサスの大学を中退し、ふとニューヨークにやってきた。一時期、映画館で働いたことはあった。だがオンラインでもっと稼げると気づき、辞めた。
「映画館で働く方が、部屋で1日5回ライブ配信するよりも稼げない」とヒルはニューヨーク・タイムズに語った。
「仕事に行く必要ある?」
ヒルはゲイ。インスタグラムでブランドや製品をプロモーションして何万ドルも稼ぐような人気インフルエンサーと似ていないことはない。彼は自分自身をブランド化し、「貧しいゲイの日常」をプロモーションしているとニューヨーク・タイムズは伝えた。そしてヒルは「クラウドファンディングを聴衆が参加する場」にしたと指摘した。
おそらくフォロワーは、彼の自虐的なユーモア、あるいはストレートな語り口に魅了されているのだろう。いずれにせよ、彼は多くの人に好かれているようだ ── そして彼自身それをよく分かっている。
12月9日、彼は自分自身が感じる不信感をツイートした。
「もし2010年に、自分がいずれ躁うつ病で大学を中退し、メンタルがやられていることをツイートしたり、カメラの前で大麻を吸うことでお金を恵んでもらうようになると知ったら、すぐにFBIに逮捕してもらうだろう」
現在、ヒルはカメラを片手に日常生活を記録しながら日々を過ごしている。
彼はお金を投資に回すことはしていないとニューヨーク・タイムズに語った。なぜならライブ配信仲間であるルームメイトと同様に「資本主義が嫌い」だから。
12月9日には、別のツイートもした。
「これまで受けた中で最も奇妙な『ヘイト』は、恥を知れというもの。だがなぜ家賃を払ってもらうことや大麻を吸うことを恥じないといけないのか」
(翻訳:仲田文子、編集:増田隆幸)