キラキラ爆弾計画を説明するマーク・ローバー。
YouTube/Mark Rober
- 元NASAエンジニアのマーク・ローバーは、荷物泥棒をターゲットにハイテク“キラキラ爆弾”を自作した。
- ローバーは5月、「ポーチ・パイレーツ(玄関先に置かれた荷物を盗む泥棒)」の被害を受けた。だが警察は助けてくれなかった。そこで自ら解決策を考案した。
- キラキラ爆弾はアップル・ホームポッドの箱に仕込まれ、爆発の様子は内部の4台のスマートフォンが記録する。
- ローバーはニセのスピーカー、つまりキラキラ爆弾を玄関前に置いた。そしてキラキラの粉末と、さらに「おならスプレー」を浴びた荷物泥棒の様子を録画してYouTubeで公開、動画は話題を集めた。
- だがその後、ローバーは動画に「やらせ」があったことを認めた。
- 箱を盗み、当初、動画の中で「泥棒」と呼ばれたうちの2人は、実際は泥棒ではなかった。
- 箱を家に置くことを申し出た友だちの友だちによる「やらせ」だったとローバーは語った。
- ローバーは動画を再編集し、謝罪した。
自宅の玄関先に届けられた荷物を盗まれた元NASAエンジニアは荷物泥棒を撃退するためにキラキラ爆弾を自作した。
NASAジェット推進研究所で9年間働いたマーク・ローバー(Mark Rober)は12月17日(現地時間)、YouTubeに公開した動画で“キラキラ爆弾復讐パッケージ”を6カ月かけて開発したと語った。
2018年5月、不在中に自宅の玄関先から、届けられた荷物を盗まれたことがきっかけだった。
警察はその時、できることはほとんどないないとローバーに言った。
ハイテクドッキリの仕組み
キラキラ爆弾はアップルのスマートスピーカー、ホームポッド(Home Pod)の箱に仕込まれた。箱は透明のセロファンで包装され、玄関先に置かれた。
セロファンで包装され、偽の住所ラベルが貼られた箱。
YouTube/Mark Rober
箱の中にはホームポッドではなく、4台のスマートフォンが隠されている。箱の隠し穴を通して4面どこからでも泥棒と思われる人物の姿を録画することができる。
箱にはGPSトラッカーと箱が動くとスマートフォンの録画をスタートさせる加速度計も内蔵されている。
装置をコントロールする回路基板、GPSトラッカーと加速度計を搭載。箱の4面にはそれぞれ録画用のスマートフォン。
YouTube/Mark Rober
映画『ホーム・アローン』でマコーレー・カルキンが演じたいたずらっ子、ケビン・マカリスターにちなんで、住所ラベルの送り主にはその名前を、そして送り先には映画に登場した泥棒のハリーとマーブの名前を記した。
送り主はケビン・マカリスター、『ホーム・アローン』でマコーレ・カルキンが演じた男の子の名前。
YouTube/Mark Rober
泥棒が荷物を開けるとモーターが回転し、キラキラのパウダーが飛び散る。
一般に、荷物を開けた人物が正当な所有者かどうかを知る手段はない。つまり、この装置には限られてはいるが使い途があるということだ。
まき散らされた“キラキラ”パウダーが泥棒の体に付着する。
Mark Rober/YouTube
さらに偽の所有者に追い打ちをかけるため、ローバーは「おならスプレー」もセットした。
荷物を開けると、ひどい臭いの「おならスプレー」が吹き出す。動画の中でローバーは「冗談ではなく、ひと吹きで部屋から誰もいなくなるほどの威力」と語った。
「無駄に高度な技術を駆使して復讐パッケージを作る人物がいるとしたら、それは私。この話の教訓は、人の物を盗むなということ」
ローバーが作った「ホームポッド」を盗み、キラキラパウダーまみれになった人物と車。
YouTube/Mark Rober
と、ここまでが第1報だった。だが、その後、動画には「やらせ」があったことが分かった。
ローバーが投稿した動画は人気を集めて4000万回以上閲覧され、今年、最も話題を集めた動画の1つとなった。
だが公開から3日後、ローバーは意図的ではないが、動画にはやらせがあったと語った。
動画の大部分はローバーがキラキラ爆弾を作るプロセスを紹介している。だが、見どころは終盤、キラキラ爆弾が入っているとは思いもしない荷物泥棒が荷物を手にした様子をこっそり録画するところから始まる。
だがローバーはツイッターで、キラキラ爆弾の犠牲者は全員が荷物泥棒ではなかったと述べた。
友だちの友だちが玄関先にキラキラ爆弾を置くことを申し出た。そのおかげで、ローバーはお金を払ってキラキラ爆弾を回収することができた。
だが、その友だちの友だちは、箱を盗むよう自分の友だちを誘い込んでいた。そして、2人が動画の最後のシーン(箱が盗まれるシーン)に登場することになった。
「これら2つのケースでは、『泥棒』は実際は私の動画撮影を手伝ってくれようとした知り合いだった」とローバーは述べた。ローバーはこの2人のシーンを動画からカットした。
「本当に申し訳なく思う」とローバーは付け加えた。
「私は、私のチャンネルのコンテンツに責任がある。私は自宅を舞台にもっと撮影するべきだった。箱が私の自宅の前から盗まれた後に起こったことは本当のこと、それは保証できる。とはいえ、私の信用がボロボロになったことは分かっている」
以下は修正済みの動画。
※敬称略
(翻訳:仲田文子、編集:増田隆幸)